近藤の時代2
一通り歌い終え俺達はトークタイムへと突入する。
結局近藤はあの後4回もずっと好きだったんだぜを歌った。
何回歌えば気が済むのだろうか、しかも全てアリアの目の前でだ。
アリアの気持ちも考えてやって欲しい。
しばらく他愛もない話しをしていると明日香がとんでもないことを言いだした。
「アリアちゃんは誰か好きな人いるの?」
その瞬間、近藤がビクッとし何故か背筋を伸ばす。
「いいえ、今日来たばかりなのでまだそういう人はいません。」
アリアはきっぱりと言った。
「あれ?近藤のこと好きだったんじゃないのか?」
俺はこの後自分のした発言に後悔することとなった。
「いいえ全然。」
アリアはきっぱりと言った。
「だってわざわざ座ってた女子生徒をどかしてまで近藤の隣に座ったじゃないか。」
俺はまた余計なことを聞いてしまった。
「あれは近藤さんが父によく似ているのでこの人の隣なら安心して勉強できると思ったからです。別に異性としてではありません。」
「そっそうだよねーおまえなに聞いてるんだよぉ、そんなわけないだろー。」
近藤が言った。気のせいだろうか若干涙目になっている。
「はい。そんなわけありません。」
アリアが笑顔でとどめをさした。
「アハッアハハハハハ」
近藤は泣きながら笑った。
ごめん近藤、後で何か驕るよ。
俺は心の中で言った。
こうして僅か1日で近藤の時代が幕を閉じた。