浪速 北斗 -過去から今へ- (前)
北斗side中心です!
俺の家は大金もちだ。
ものすごく広い家の中に俺の血がつながっているのはただ1人しかいない。
全ての事を金で解決する父だ。 母はこんな父に呆れて家を出て行ってしまった。
そんな俺の家に泥棒が入ったと聞いたのは今日の早朝の事だった。
それは、俺が朝早く起きて読書をしていた時の事。
部屋の外からメイド達の声が聞こえてきた。
「ねぇ。 聞いた? 昨日の夜この家に泥棒が入ったんですって!」
「そうなの? 何が盗まれたの?」
「盗まれたものは今のところないみたいだけど・・・」
泥棒が入った?
そんなはずはない。 俺の家はセキュリティが厳しくなっていて泥棒がたやすく入れる場所ではないのだ。 もし仮にセキュリティが突破されたとなるとそれは一大事だ。
俺はその泥棒とやらが気になったが、俺は一切の部屋から出ることを禁じられているため確かめる術がなかった。
それから、時間は流れ今日はもう眠りにつこうとした時、部屋の扉が開いた。
「誰? 呼びだしてはないはずだけど」
俺がそう問いかけても返事はなかった。 しかし、確かに部屋の扉があいた音がした。
不思議に思い部屋の扉へ行ってみると扉は開いているがそこには誰も居なかった。
部屋の外、出たことのない世界。 俺は部屋の外へ出た。
その時後ろで声がした。
「ねぇ君! 外の世界を見てみたいとは思わない?」
とっさに後ろを向くが誰も居ない。 俺は少し恐怖を感じたがさっきの声が言ったことが気になって返事をした。
「そりゃ、外は見てみたいよ。 でも、父が許してくれないさ。 誘拐されたら面倒だ。ってね」
「へぇ。 だったらそのお父さんが居なくなれば・・・いいんじゃない?」
「!!それは・・・どういう意味?」
「そのままの意味だよ。 君のお父さん、この世に生きてていい影響をもたらすとは思えない。誰かにお金を払って嫌いな人を1人1人消させてるって知らないの?」
「そんな・・・まさか・・・そんなわけがない!」
目の前がぐらついてきた。
「君が決めて欲しい。 君のお父さんを生かすかどうかを。 そして君が実行するの。それまでの過程は私に任せれば大丈夫。 明日またここに来るね」
その言葉を最後に俺の記憶は途切れた。