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伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

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第七十四話 「幕府からの沙汰」

江戸城・西の丸。


老中の間に、大目付と巡見使の報告書が並べられていた。

「伊達領、治水・流通ともに実効あり」

「米価操作の意図、見受けられず」

「蔵王会は公共性高く、私利私欲の形跡なし」

淡々と読み上げられる文言の裏に、

どれほどの視線と計算が重ねられたかを知る者は少ない。


一人の老中が、扇子を畳んで言った。

「問題は一つだ」

「伊達宗高――

 この男が、

 どこまで“個”で収まるか、だな」

別の老中が応じる。

「家としては抑えられている。

 政宗も忠宗も、

 手綱を離してはいない」

沈黙ののち、決が下る。

「よし。

 咎めは無し」

「ただし――」

老中は一文を付け加えた。

「蔵王会・青葉会の活動は、

 今後も幕府への定期報告を義務付ける」

「伊達宗高個人への褒賞は――

 控えめに」

それは、

力を認めつつ、縛る

という、幕府らしい判断だった。

仙台への通達

数日後。

仙台城に、江戸からの正式な書状が届く。

政宗は黙って目を通し、

最後に一言、低く笑った。

「……上出来だ」

忠宗が息を吐く。

「最悪は免れましたな」

政宗は宗高を見た。

「生き残ったぞ、宗高」

宗高は深く頭を下げる。

「伊達の名を、

 汚さずに済みました」

「いや」

政宗は言った。

「伊達の名に、

 新しい重みを足した」

反伊達勢力、最後の悪あがき

――水面下の毒

だが、その報せが届いた時、

江戸の裏では、別の動きがあった。

「幕府は動かぬ……か」

反伊達勢力の一人が、歯噛みする。

「ならば、

 宗高そのものを折るしかない」

彼らが選んだのは、

刃ではない。

言葉と恐怖だった。

「宗高が祈祷で民を操っている」

「蔵王権現を私物化している」

「次は宗教勢力になるつもりだ」

根拠のない噂が、

寺社筋や修験者の間に流される。

さらに――

宗高の身辺を探る動き。

結姫、雪王丸。

家族の名が、

密かに囁かれ始めた。

断ち切る決断

村田城。

報告を受けた宗高は、珍しく怒気を見せた。

「……越えてはならぬ線を越えたな」

福地右近が頷く。

「殿。

 ここで曖昧にすれば、

 いずれ刃になります」

宗高は、即座に手を打った。

寺社・修験者へ正式な説明

蔵王信仰の公的性格を明文化

家族への警護を公然と強化

そして――

最後の一手。

反伊達勢力が接触していた

伊達家中の旧怨派を、

政宗の名で呼び出した。

政宗の裁断

仙台城・奥の間。

政宗は、何も怒鳴らなかった。

「宗高を狙ったな」

言葉は短い。

だが、逃げ場はない。

男は震えながら答える。

「……伊達のためと……」

政宗は、静かに言った。

「違う」

「己の不満を、

 伊達に擦り付けただけだ」

その日のうちに、

関係者はすべて処断された。

理由は表に出ない。

ただ――

二度と名が聞かれることはなかった。

嵐の後

数日後。

宗高は城の縁側で、雪王丸を抱いていた。

結姫が、そっと言う。

「終わったのですね……」

宗高は、ゆっくり首を振る。

「一つ、越えただけだ」

だが、その表情は穏やかだった。

(守れた)

民も、川も、

そして――

家族も。

遠く、蔵王の峰が冬空に聳えている。

それはもう、

試練の山ではなく、

支えの山として。

伊達宗高の歩みは、

この日、

確かに次の段へ進んだ。


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