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伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

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第七十一話 「反伊達家の動き」

江戸・日本橋裏通り。

表の米市とは隔てられた奥座敷に、数名の男が集まっていた。


「……下がりすぎだ」


最初に口を開いたのは、関東の中堅譜代藩の勘定奉行である。


「仙台米が流れすぎている。

 しかも質が良い。

 我らの米が売れぬ」


別の男が、盃を置いた。


「治水で増産、舟運で大量輸送……

 伊達は“戦をせずして”国を太らせている」


「放っておけば、

 江戸の食を握るのは伊達になるぞ」


空気が重く沈んだ。




そこにいたのは、

関東・中部の数藩の勘定筋、

そして商人たち。


共通しているのは一つ――

伊達の台頭で損をしている者たち だった。


「表立って咎めることはできぬ。

 民は伊達米を歓迎している」


「ならば、裏から揺さぶるしかあるまい」


声が低くなる。


「米の値を崩しているのは、

 村田城主・伊達宗高だ、とな」


誰かが小さく笑った。


「若造一人に責を負わせる。

 “出過ぎた個人”としてな」


それは、最も幕府が嫌う形を装う策だった。



彼らは名を掲げない。

誓紙も交わさない。


ただ、

同じ方向へ動くことを確認しただけだ。


江戸の米問屋に圧をかける


伊達米の買い控えを誘導する


「相場を乱す若殿」という噂を流す


幕府中枢へ“危惧”として書付を回す



「宗高を、

 伊達家の重荷にすればよい」


「伊達家中が、

 自ら首を締めるように仕向けるのだ」


盃が重なった。



数日後。

江戸の町に、奇妙な噂が流れ始める。


「仙台米、

 出すぎじゃないか?」


「幕府に睨まれてるらしいぞ」


「村田の若殿、

 派手にやりすぎたって話だ」


蔵王会の店でも、

客の声が変わり始めていた。


「……米は旨いが、

 先が不安だな」


大沼庄太郎は、その変化を逃さなかった。


「これは……

 仕掛けられている」


即座に、村田へ急報が飛ぶ。




報告を受けた宗高は、静かに目を閉じた。


「来たか……」


福地右近が歯を噛み締める。


「殿。

 これは偶然ではありません。

 誰かが、意図して相場を揺らしています」


宗高は頷いた。


「分かっている。

 次は人の心が荒れるか」


宗高は立ち上がった。


「恐れるな。

 相手は、力ではなく“不安”を使っている」


「ならば――

 こちらは“信”で応える」




宗高は命じた。


「南部領内の米の出荷量をさらに抑える。

 余剰米は領内の備蓄米として領内の備蓄蔵にて管理する」


右近が驚く。


「殿、それでは……」


「だからこそだ」


宗高は続ける。


「酒、味噌、乾物、薬膳。

 名を出すのは“蔵王会”のみ。」


「過剰供給は諸藩の反発を生む、適正量のみ今は送る時だ。」


それは、

商いでありながら、

政治そのもの だった。




ほどなく、老中のもとにも報告が届く。



「伊達は、

 流通を絞り、

 相場を落ち着かせております」


老中の一人が、静かに言った。


「……反伊達の動きが、

 先にあったな」


別の老中が頷く。


「宗高、

 なかなか肝が据わっている」




まだ終わらぬ


夜、宗高は城の縁側に立ち、星を見上げた。


(次は、

 もっと露骨に来るだろう)


結姫が、静かに隣に立つ。


「殿……

 怖うございますか?」


宗高は微笑した。


「いや。

 覚悟は、もう決めている」


阿武隈川の流れは穏やかだ。

だが、人の世の流れは、

これからさらに激しさを増す。


反伊達家は、

まだ、本気を出していなかった。


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