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伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

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第六十三話 「復旧へ向けて」

 豪雨が去り、阿武隈川流域には泥と流木が積み上がり、田畑は水に沈み、家屋は半ば崩れ落ちていた。


宗高は早朝、まだ濃い霧が漂う中、濁流の跡が残る村を歩いた。

泥に埋もれた畦道あぜみちはぐしゃりと音を立て、

遠くからは人々の片付ける声、泣き声、そして時折、安堵の声が聞こえる。


石川宗昭が報告書を手に駆け寄る。


「宗高殿……。

 角田北部の田畑三十町歩が流失。

 南部の村で家屋五十軒が損壊。

 死者は少数ながら……被害は広範囲です。」


宗高は深く息を吸い、静かに答えた。


「命が多く救えたのは、皆の働きがあったればこそだ。

 次は“暮らし”を守る番だ。

 治水計画を、急ぎ本格化させる。」


宗昭は安堵の表情を浮かべた。


「はい。

 角田のみならず、丸森、白石、七ヶ宿からも被害報告が届き始めています。」


右近が泥に足を取られながら駆けつけた。


「殿、村田の状況も報せが入りました。

 荒川下流で浸水被害、川崎へ向かう街道で山崩れがあり、谷の村々が孤立しております。」


宗高の眉がわずかに動く。


「南部領全体が、今回の豪雨にやられたか……」

「すぐに各地へ人を送る。

 我ら蔵王会の真価は、まさに今だ。」




昼には、南部領内の村役人や蔵王会の面々が角田に集まり、復旧会議が行われた。


丸森の使者が深々と頭を下げる。


「丸森は川沿いの村々が水を被り、牛馬が多数流されました。

 特に酷い地区は壊滅に近く……」


「人手と食料が足りませぬ。

 蔵王会の救援を仰ぎたい。」


川崎から来た若者は、肩を震わせながら訴える。


「川崎領の西斜面が崩れ、家々が数軒押しつぶされました。

 幸い逃げたため死者は少なく……。

 ですが、多くが住む家を失い……どうか……」


宗高は彼らの前に歩み寄り、手を置いた。


「安心せよ。

 蔵王会を中心に、村田・白石・亘理から物資を送る。

 まずは人命と生活の再建だ。」

「父上と青葉会へも支援の要請を行う。」


右近が補足する。


「各領の街道整備を急ぎ、物資は徒歩と牛馬で並行輸送します。

 川崎は山道が塞がっておりますので……

 蔵王側からの救援隊を先に向かわせます。」


使者たちは目に涙を浮かべ、頭を下げた。



宗高はその日のうちに角田各地へ足を運び、

蔵王会の者たちと共に救援拠点を次々と立ち上げた。


赤坂兵部が叫ぶ。


「太い流木は三人で持て!

 怪我するな、急ぐな、必ず声を掛け合え!」


蔵王会・そして角田の若者たちが泥に足を取られながらも働いた。



佐藤直成が指示する。


「堰の位置をまず出すんだ。

 これを間違えると田んぼが死ぬ!



結姫と牟宇姫は女衆を率いて、炊き出しを担当した。


「焦らず、少しずつ戻っていきましょう。

 必ず再び田は実ります。」


 「まずは食べて元気を出しましょう。」




夜、角田城の大広間。

宗高と宗昭、そして蔵王会の幹部が集まった。


宗高は大きく広げた阿武隈川・白石川の絵図を指し示し、言った。


「今回の氾濫で、治水の急務が明らかとなった。

 ここより、正式に“大規模治水計画”を始動する。」


兵部が問う。


「どのような流れで進められますか?」


宗高は指を走らせながら語った。


「まず決壊した堤防の補修。

 支流の泥上げと流路整備を行う。」


宗昭が続ける。


「そして……阿武隈川の堤防改築と支流に逆流防止閘門ぎゃくりゅうぼうしこうもんの設置、溜め池の設置と灌漑利用。

 桑の木を植林して堤防の負担を減らす。

 工事には南部領すべての協力が必要になります。」


右近は書き留めながら言う。


「新たに再編した、蔵王会が進める最初の大事業となりますな。」


宗高は力強くうなずいた。


「命を守る治水こそ、領の礎。

 必ず成功させる。」




翌朝。

角田の空は嘘のように澄み、

阿武隈川のうねりも穏やかさを取り戻しつつあった。


復旧に携わる者たちは泥まみれのまま笑い合い、

再建の気配が広がる。


宗昭が宗高の側に寄り、静かに言った。


「……宗高殿。

 今回の被害は大きい。

 ですが……あなたが来てくださったことで、

 角田の者たちは未来を信じる力を取り戻しました。」


宗高は川の方へ目をやり、

ゆっくりとうなずいた。


「阿武隈は暴れた。

 だが、必ず恵みをもたらす川にもなる。

 この地を――必ず立て直す。」


風が吹き、川面に光が走った。


まるで、その言葉に答えるように。


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