第六十話 「合同評定」
仙台・御用屋敷 評定の間
評定の間に、蔵王会・青葉会の代表らが静かに並ぶ。
中央には政宗、忠宗が座し、
その脇には、成実、宗泰、宗高らが控える。
間には緊張と期待が混じり、
新たな組織が動き出す瞬間の空気が満ちていた。
「――皆、よくぞここまで働いてくれた。」
政宗は周囲をゆっくりと見回す。
「これより奥州伊達の地に、
新たな“民の網”を張る。
蔵王会、青葉会は、その中心となれ。」
重々しい声に、一同が深く頭を垂れる。
■組織
▽蔵王会
総目付:伊達宗高
副目付:片倉重長
商務方
五域商掌奉行:福地右近
村田・白石・亘理・角田・柴田の商務頭を統合し「五域商掌」とする
養生方
療養御前奉行:結姫
薬草・医食の開発。黒前掛け組の統括
七ヶ宿・丸森・川崎に新設する薬草園の管理役
修験方(権現法力・祈祷)
宗高直轄
修験山伏衆を「青服」として正式編入
荒浜新港管理方
港湾奉行:浜田清十郎
蔵王会の「港湾荷役付き」として各所から八名配置
▽青葉会
総目付:伊達宗泰
実務総取扱:伊達宗利
北部領内の施策調整
北部総奉行:伊達定宗
涌谷・登米・岩出山・石巻・一関等の開発整備
江戸・京・大坂の情報調査
青葉衆頭:青麻丸
間者、旅商人、僧らの情報網を正式な「黒脛巾組青葉衆」として編成
■合同組織
▽「双会評定」の設立
年に二度、両会合同で施策・救済策・商務計画を協議する。
評定頭:伊達忠宗
相談役:伊達成実、伊達宗直
共同伝馬方
蔵王会との共同連絡所を仙台城麓に設置
伝馬奉行:茂庭良綱
◇茂庭良綱
「南部の要地を押さえた蔵王会の働きは見事。
だが北部には独自の事情がある。私が橋渡しを担おう。」
宗高が深く頷く。
◇宗高
「救いは南北を選ばず。
蔵王会は山の力と港の力を繋ぎ、ただ民のために働きます。どうか、力を共に。」
良綱の口元がわずかに緩む。
◇成実
「互いに領地を越えて行う働きゆえ、
揉め事も増えよう。
ゆえに“合同評定”が要となる。」
その言葉に、両会の者たちは姿勢をただす。
政宗が席から立ち、二つの組織の者たちを見渡す。
「――今日より、
蔵王の山と仙台の青葉は一本の流れとなる。
民を救い、領を富ませ、
後の世に恥じぬ仕組みとせよ。」
部屋が静まり返り、次の瞬間、
全員が床に手を突いて深く礼をした。
評定が終わり、人々が引き上げる頃、
宗高は静かに襖の外へ出る。
遠くに見える蔵王の峰が白く光り、
その向こうに結姫と雪王丸のいる村田を思い浮かべる。
(――この先、会は大きくなる。
その中で、我はどこまで進めるのか。)
宗高は静かに息を吐き、
次の重責へ歩み始めた。




