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伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

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第五十五話 「家中の反応」

 江戸より村田に戻った宗高を、仙台伊達家の家臣団はざわめきの中にいた。


「宗高様が……褒美を賜ったと?」

「しかも“幕府直々の個人への褒美”だと聞く。」

「これは……伊達家にとっては吉か、凶か……?」


幕府からの褒美が“宗高個人”に与えられたという報は、伊達家の家中にさまざまな解釈を生んでいた。


祝う者もいれば、

外様である伊達家を牽制する幕府の意図を敏感に読み取る者もいて——

家中は静かだが複雑な空気で満ちていた。




伊達政宗は、宗高の帰還を知るとすぐに呼び寄せた。


その眼差しは、若い頃から戦場で数えきれぬ策と裏を見抜いてきた鋭さを今も失っていない。


政宗はまず息子の顔を見て——

にやりと笑った。


「……見事であったな、宗高。」


その笑みには誇りもあれば、

どこか政治の匂いを嗅ぎ分けた男の含みもあった。


宗高は静かに頭を下げる。


「江戸の民の命を救うことができました。

しかし、褒美は……私個人に。」


政宗は口元を押さえてクックッと笑った。


「案の定よ。“伊達家の力”にせぬための策じゃ。

だがのう宗高――」


政宗はゆっくりと言葉を続けた。


「幕府が恐れるほどの働きをしたということでもある。」

「弱みではない。むしろ、力よ。」




宗高は目を見開いた。


「しかし、父上……幕府の警戒を強めるのでは……?」


政宗は手を軽く振った。


「外様が幕府に畏れられるのは常のことじゃ。

 そなたほど働ける者が我が家から出たのだ。

 素直に喜ばぬでは、伊達の名が泣く。」


その顔は、まぎれもなく“父として誇る”表情であった。




次に宗高は、兄である忠宗のもとへ赴いた。


忠宗は政宗ほど表情には出さぬが、

常に伊達家の行く末を冷静に読む実務家である。


宗高が頭を下げると、忠宗は文を置き、じっと弟を見た。


「宗高。よくぞ無事に戻った。

江戸の働き、我も聞き及んでおる。」


宗高は「個人への褒美」の件を正直に話した。


忠宗は静かに息をついた。


「……老中どもの思惑よな。」


机に指を置いて軽く叩く。


「個人に褒美を与えることで、伊達家本家の功とさせぬ……。

 だが、奥州の地にとって宗高の名声はすでに大きい。

 家中で妬みに似た声が出るのもまた事実だ。」


宗高は膝を正し、黙って兄を見つめた。


忠宗は最後に、兄らしい実務的な言い方で締めた。


「宗高。そなたの功は家の柱になる。

だが目立ちすぎるな。幕府だけでなく、家中にも敵を生む。まずは家中で多くの仲間を作れ。我も味方となり、そたなを支えよう」



宗高は深く頷いた。


「心得ております。お心遣いありがたく存じます。」


忠宗は顔を緩め、弟の肩に手を置いた。


「……誇りに思うぞ。

 ただ、それを守るためにも、慎重に歩むのだ。」




こうして伊達家中には二つの流れが生まれた。


政宗のように“宗高を大胆に評価し、誇りとする勢力”


忠宗のように“宗高の功が大きすぎることを警戒する現実派”



どちらも宗高を大切に思ってはいたが、

政治的環境の中では、功績がそのまま影にも変わる。


宗高自身はその空気を敏感に感じ取り、

村田へ戻る道すがら、静かに心を引き締めた。


—伊達家のために。

  村田の民のために。

  力を誤れば、誰かを傷つける。




宗高にとって、江戸の病との戦い以上に

“政治”という新たな試練が始まっていた。


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