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伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

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第四十四話 「日本橋店 開店」

 江戸日本橋。朝焼けの光が瓦屋根に反射し、人足たちが行き交う大通りの一角に、新築の商家が凛と立っていた。

 看板には力強い筆で――


「蔵王会 日本橋店」


 と記され、青地に白の蔵王山と荒浜の波を象った紋が誇らしく掲げられている。


 入口には祝いの酒樽と、白石・村田・亘理の三家から贈られた巨大な松飾り。すでに周辺の商人たちがざわついていた。


「おい見ろよ、新しくできたあの店が噂の“蔵王会”だとよ」

「あぁ、最近江戸に出回り始めた果実酒や薬草酒の元締めだろ。売れ行きがすごいって話だ」


 庶民の会話が自然と集まり、開店を待ちわびる空気が膨れ上がる。



 定刻になると、店の前に片倉家からの代表として片倉家家臣・佐々木甚兵衛が姿を見せた。

 村田からは宗高の代理として福地右近、そして亘理からは伊達成実の家臣である浜田清十郎が列座する。


 右近が一歩前へ進み、開店の口上を述べた。


「本日、ここ江戸の地に“蔵王会 日本橋店”を開店仕り候。

 村田の薬草・果樹、白石の加工品、亘理荒浜の海産物が港で結ばれ、ようやく一つの形となりました。

 これもひとえに、伊達家並びに江戸商人衆のご助力あってのこと――」


 右近の声は誇りに満ち、集まった人々の胸を震わせた。




「では、鏡を開く!」


 掛け声と同時に、右近・甚兵衛・清十郎の三名が木槌を振り下ろす。

 樽の蓋がぱん、と弾け、芳醇な日本酒の香りが広がった。


「おお……! いい香りだ」


「これが、あの“峰雪の雫”か。江戸でも手に入りにくいって話だぞ?」


 これからの商売に人々の期待が一気に高まる。



「日本橋店の繁栄、そしてこの地を通じて伊達領の富を広く広げんことを祈って――。」


右近は笑みを浮かべ、杯を掲げた。


 歓声が湧き上がり、ここに蔵王会日本橋店は正式に幕を開けるのだった。



 商人たちが次々と店内へ足を踏み入れる。

 店内は木の温もりを生かした造りで、産地ごとに区画が整えられていた。


● 村田の区画

 薬草茶、乾燥薬草、薬膳素材、蔵王薬草果樹園の果物干し、そら豆の加工品、味噌。

● 白石の区画

 白石和紙・白石木綿・漬物、細工品、保存食

● 亘理・荒浜の区画

 海産物の干物、海藻類、塩


 中央には、蔵王果実酒・薬草酒が並び、職人が試飲を勧めていた。


「これは……驚いた。薬草酒といっても、こんなに飲みやすいとは」

「まろやかで喉に香りが残る。江戸でも相当売れるぞ」


 商人たちは目を丸くしつつ、次々と帳面を開き、購入数を記していく。




 店の奥では、日本橋の豪商・多島屋利右衛門が右近に深く頭を下げた。


「右近殿、これほどの品揃えとは……正直、驚きました。

 荒浜港からの荷運びが、こんなにも早いとは思いませなんだ」


 右近は胸を張りつつも、柔らかい声で応じた。


「荒浜の港は、成実公と殿の思惑が一つとなりまして、海路が格段に整いました。

 江戸と伊達領を海で結ぶ――これからは、もっと多くの品を運べましょう」


 利右衛門は満面の笑みを浮かべた。


「では、当方からも正式に大口の取引を。

 とくに、この薬草酒は江戸の医師たちが目をつけましょう。品切れ必至でございますぞ」


「ありがたく存じます」


 右近は深々と頭を下げた。



 店の前はいつしか人であふれ、開店初日にして大賑わいとなっていた。


「こりゃあ、伊達の品が江戸を席巻する日も近いな」

「蔵王会だって? 覚えておこう」

「次の船が来たら、また買いに来るぞ!」


 商人、町人、そして武家の奥方までもが興味津々に覗き込んでいる。


 そんな熱気を見ながら、清十郎がぽつりと右近へ言った。


「……宗高様にも、これをお伝えしたいものだ」

「ええ。村田にいらしても、きっと江戸の空気を感じてくださるでしょう」


 右近は遠く江戸湾へと続く空を仰ぎ、静かに息を吐いた。


「荒浜からの海路が、こうして江戸に実を結ぶ日が来た……。

 殿、そして結姫様の築いたものが、確かに広がっておりまする」


 その言葉に、清十郎も力強く頷いた。


「蔵王会の未来は、ここからさらに輝くだろう」


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