表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伊達政宗の七男に転生?!転移?!         ~伊達宗高伝~  作者: 榊原ヨッチロ
第一部 伊達政宗の七男宗高

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/79

第二十五話 「 江戸での評判 」

 江戸城下は、春の霞に包まれ、参勤交代で集まった大名の行列がひしめいていた。宗高の一行が江戸入りして数日、村田の名は静かに、しかし確実に広まりつつあった。


 ――将軍家光へ献上された黒前掛け組の料理。

――新種そら豆「澄王の恵み村田そら豆」の加工品。


 これらすべてが、江戸の知識人や武家の評判をさらっていったのである。



「おい、聞いたか? 奥州村田より献上されたとい料理。」


 城下の飯屋で町衆たちが噂をしている。


「黒前掛け組とかいう料理衆……あれが将軍様に出した椀物が、たいそう美味であられたとか」


「奥州の一隅に、そんな料理人衆がいたとは……世は広いもんだ」


 宗高の名はここでも囁かれる。


「しかし、その宗高という若殿……政宗公が目を掛けておられるとか。村田周辺の開発も進んでいるそうじゃないか」


「江戸に来て間もなく、もう“蔵王の若き才”などと呼ばれているらしい」





 一方、江戸城・大広間。


 諸大名が集う場で、宗高の名はさらに重く響く。


「宗高殿、見事な御献上でしたな」


 老中が言葉をかける。宗高は礼をとる。


「身に余るお言葉にございます。この酒も、料理も……村田の民が力を尽くしてくれた賜物にございます」


「奥州の小領と侮ることなかれ、か。いやいや、まことに将来が楽しみよ」


「恐れ入ります」



 その頃、江戸の城下町では村田への興味がふくらんでいた。


「そら豆の豆菓子、まだ手に入らぬのか」


「すぐ売り切れだ。あれは茶菓子としても上等よ」


「いずれ村田へ行ってみたいものだ。あの若殿の治める地を」


 その噂はついに、幕府御用達商人の耳にも届いた。


「村田の産品……将軍家も召し上がるとなれば、商いとしても大いに価値がある。いずれ宗高殿と交渉せねばなるまい」




 旅宿で宗高は静かに文机に向かい、評判を記した報告書をまとめていた。

頁を閉じると、そばに控える赤坂兵部が言った。


「宗高様、江戸での評判……すでに侮り難きほどにございます」


「うむ。だが評判は追うものではない。われらが追うべきは村田の明日だ」


「はっ」


 宗高は小さく息をつき、遠くの江戸城を見た。


(蔵王の加護と、人々の努力……その積み重ねが、ここまで届いたか)


 胸の奥で、静かな決意が燃える。


「兵部、帰ったらさらに産業を整えよう。江戸で得た評判は、民の働きの証。ならば、もっと良い形で返さねばなるまい」


「御意!」


 江戸に響いた名声は、宗高にとって目的ではなく、ただの始まりに過ぎなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ