第一話 「炎の祈祷、思いが繋がる刻」
初投稿です。宜しくお願いいたします。
この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解とご了承の程宜しくお願いします。
「……ここは……どこだ?」
目を開けると、硫黄の匂いと轟音。赤く煮えたぎる岩の川が、闇の中を流れていた。
髙橋高宗は、思わず叫んだ。
「嘘だろ……!? 蔵王山が噴火してるのか!?」
さっきまで蔵王の刈田岳を登っていたはずだった。雲の切れ間から朝日が差し込んで、スマホで風景を撮ろうとした瞬間、足元の岩が崩れ――そこから記憶がない。
しかし、目の前の光景は、現代の登山道ではない。
衣の裾を焦がすほど近くに溶岩流が迫り、遠くでは鎧武者が数人と僧侶らしき人が祈祷を続けている。
「蔵王権現よ……鎮まりたまえぇぇぇ!」
その中心で、額に血を流しながら祈る若い武将がいた。
「蔵王山の噴火で武将と言えば、宗高…」
そう呟いた瞬間、再び轟音。天から落石が直撃し、武将の身体がぐらりと傾く。
咄嗟に高宗は駆け寄り、手を伸ばした――
世界が、真白に光った。
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次に目を覚ましたとき、畳の香りと、鳥の鳴き声が聞こえてきた。
障子の隙間から薄明が差し込んでいる。体を起こすと、頭がずきりと痛む。
「殿! お目覚めになられましたか!」
侍姿の青年が駆け寄る。高宗は思わず言葉を失った。
「……俺、どうなって……?」
「落石で頭を打たれ、昏倒なされて三日。刈田岳の祈祷は無事に成就し、噴火も鎮まったとのことです。まさに蔵王権現の御加護にございまする、宗高様!」
「宗高?」
鏡代わりに盆の水面を覗き込むと、そこには自分ではない青年の顔が映っていた。
周りの反応からすると髙橋高宗――ではなく、自分の住んでいた村田町で、伊達政宗の七男として生まれ噴火を静めた事で知られた、村田城主・伊達宗高なのだろうか?。
「まさか……転生?それとも魂だけの転移か?どっちにしろこれかどうするべきか…」
呟いた声が震えた。
だが、胸の奥には奇妙な力が宿っている感覚があった。祈祷の炎の中で、確かに何かが自分に流れ込んだ――蔵王権現の力だ。
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「宗高様、蔵王の神に選ばれたお方として、領内をお導きくださいませ」
家臣たちの言葉に、高宗――いや宗高は、ゆっくりとうなずいた。
「……わかった。ならば俺が、この地を変えてみせよう」
その夜、高宗いや宗高は現代の記憶を整理しながら考えた。
この時代には、食料不足も飢饉も多い。だが、現代の知識を活かせば、もっと人々を笑顔にできるはずだ。
宗高は空を見上げ、そっと呟いた。
「蔵王権現よ……見ていてくれ。高宗としてでは無く宗高として生きよう。そしてあなたの炎は、破壊ではなく再生の力としてこの地を照らすのだ。」
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