『聖剣さんと、私の物語』
あの場所にたどり着いたのは……
まだ文字もちゃんと読めないくらいの小さい頃、春の日のことでした。
道に迷って、泣きながら森の中をさまよって、気づいたらそこにいた。
木漏れ日がふわりと降りそそぐ、静かな、静かな場所。
真ん中には、古びた剣がぽつんと立っていました。
まるで、ずっと昔からそこにいて、ずっと誰かを待っていたみたいに。
私は怖くなかった。
むしろ、あの剣を見たとき、不思議と安心したのを覚えています。
風も音もやさしくて、あたたかくて……泣いていたことさえ忘れてしまったほどです。
それから、私は毎日のように通うようになりました。
その剣に、私は名前をつけました。
「聖剣さん」って。
喋ったり、動いたりはしないけれど、私にとっては大切な、大切な友だちでした。
嬉しいことがあっても、悲しいことがあっても、何も言わずにそばにいてくれた。
あの頃、私が一番話をしたのは、家族でも友だちでもなく、聖剣さんだったと思います。
……そんな聖剣さんとの日々を、私は物語にしたいと思いました。
これは、子どもだった私と、朽ちた聖剣との、ささやかで特別な時間の記録です。
私、桜木ひよりが書く、
『聖剣さんと、私の物語』。
よかったら、少しだけでも、読んでいってください。
まだ文字もちゃんと読めないくらいの小さい頃、春の日のことでした。
道に迷って、泣きながら森の中をさまよって、気づいたらそこにいた。
木漏れ日がふわりと降りそそぐ、静かな、静かな場所。
真ん中には、古びた剣がぽつんと立っていました。
まるで、ずっと昔からそこにいて、ずっと誰かを待っていたみたいに。
私は怖くなかった。
むしろ、あの剣を見たとき、不思議と安心したのを覚えています。
風も音もやさしくて、あたたかくて……泣いていたことさえ忘れてしまったほどです。
それから、私は毎日のように通うようになりました。
その剣に、私は名前をつけました。
「聖剣さん」って。
喋ったり、動いたりはしないけれど、私にとっては大切な、大切な友だちでした。
嬉しいことがあっても、悲しいことがあっても、何も言わずにそばにいてくれた。
あの頃、私が一番話をしたのは、家族でも友だちでもなく、聖剣さんだったと思います。
……そんな聖剣さんとの日々を、私は物語にしたいと思いました。
これは、子どもだった私と、朽ちた聖剣との、ささやかで特別な時間の記録です。
私、桜木ひよりが書く、
『聖剣さんと、私の物語』。
よかったら、少しだけでも、読んでいってください。