第2話 食事1つ。甘さ4つ
スーパーから家に帰り、俺はそそくさと台所に向かって、料理を始める。かざりは、部屋にいったん戻った。………そう言えば、俺とかざりは2年前から同居している。何故か、2人暮らしで。何でか知らないけど、中学2年の時、俺たちの両親が揃って、仕事の関係で単身赴任になってしまったところを、かざりの両親が、俺の家に突っ込んできて、面倒見てほしいとか言ってきたのを思い出す。
ただ、あの時のかざりの両親の目が何か、獲物を狩り獲るような眼をしてたなぁ、まぁ、後ろにいた幼馴染さんは、もっと怖かった。何か、心臓が少し絞められた気分だった。
うちの両親は、何か微笑ましい笑顔と共に、親指を立てて「強く生きろよ!」とか言ってたっけ。まぁ、細々と生きてますとだけ。ただ、あの時ちょっと、ひそひそ話してたんだよなぁ~なんだんだか。
そんなこんなしているうちに、料理が完成していた。
「かざり~、ご飯だぞ。」
「ん、食べる。」
とてとてと階段を素早く降りる音が聞こえる。そうして、扉が開かれて、かざりがそそくさと椅子に座る。
「生姜焼きな。今日、あんまり時間かけるのもよくないから。」
「ん、好きな食べ物だから大丈夫。」
「そうか。じゃあ、料理テーブルに運んでもらっていいか?少しだけ、片付けたい。」
「ん。分かった。」
かざりに料理を運んでもらう傍ら、俺は調理器具の洗い物だけサッと終わらせて、テーブルに置かれた料理の元に向かって、椅子に座った。
「「いただきます。」」
手を合わせて、ご飯を食べ始める。俺とかざりは、今日あった他愛の無いことや、
くだらない話をする。
それだけで、幸せってのはお釣りが出て来るもんなんだなと思ったとさ。
のぼる。