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89/94

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

ようやく、ここまでたどり着けました。


実は裏話ですが、真珠の能力にはちゃんと名称があって――

それが『シンフォニック・インフルエンス(Symphonic Influence)』というものです。

真珠の歌声は、彼女の感情によって震えたり、滲んだり、まるで命を持ったかのように聴き手の心に浮かび上がる。それが色づき視覚化できるため、相手が望んだ声を届けられるといったもの。


とまあ、これはあくまでもプロットの設定にしか書かれていない、厨二的裏話です 笑


ちなみにその力の“兆候”は、第41話にて、少しだけですが実は描かれていたりします。詳しく書き過ぎると解析度高い読者様に気づかれてしまうので……。


また、真珠の病(小児白血病・ASD、自閉スペクトラム症)については、第45話、そして第59話以降から現在まで続く彼女の不調がまさにそれに該当しています。


真珠の思いがけない言動、同じことを繰り返す発言、彼女の心理描写――

「またそれかよ」と思った方も、きっと多かったはずです。


おそらく、多くの方が感想で口にしている通り、彼女の言動や感情は“理解できない”ものだったかもしれません。

真珠に対する不平や不満、厳しいご意見を数多くいただきました。

けれどそれは、ある意味で当然のことだと私は思っています。


なぜなら、真珠が抱えているものは、私たちが“普通に”生きていれば、およそ認知することのない事情であり、知らなければ誰もが同じような感想を抱いてしまうからです。

もし私自身がその背景を知らずにこの物語を読んでいたなら、きっと「なんだこの子は」と責めていたでしょう。


執筆中、実際にたくさんの方から言われました。

「なぜこのような描き方をするのか」「回収できないんじゃないか」と。


ですが、そのたびに私ははっきりとお答えしてきました。

「すべて必要なことなので、あえてこう描かせてもらっています」と。


真珠というキャラクターが抱える葛藤や苦悩、その視点での揺らぎを、どうか一つの“異質”としてではなく、まだ多くの人に知られていない“現実”として見ていただけたら嬉しいです。


皆さんがよくご存じの国民的有名歌手、Y.Gさんも、コミュニケーションの困難さについて話している過去があります。

ASDを持つ人は、相手の気持ちを理解したり、場の空気を読むことが苦手な場合があります。過去には人とのコミュニケーションに大変苦労したと、ご本人も語っておられました。


実際にご自分で調べてみると、もっと分かりやすくなるかもしれません。

この症状にはさまざまな形があって、理解して読むのと、そうでないのとでは、キャラクターや描写に対する印象が大きく変わると思います。

読み直してみるのも面白いかもですね。


私は以前、バスの中で、独り言を呟きながら突然体を揺らす男性を見かけたことがあります。

正直に言うと――怖かったです。

何かの発作なのかな?と心配にもなりました。

それに、不穏なニュースが多い時代ですから、どこか身構えてしまったのも事実です。


けれど、それ以来ずっと気になって、調べてみたんです。

それがきっかけで、私は「チック症」や「トゥレット症候群」という言葉を初めて知りました。


知っていますか?

チック症の中には、ただのまばたきや首振りといった身体の動きだけでなく、はっきりと“意味のある言葉”を発してしまうケースもあるんです。

実際に、「死ね!」といった攻撃的な言葉が、本人の意図とはまったく無関係に、チック音として出てしまうこともあります。


もちろん、そう口にしてしまう本人に悪意はありません。

自分の意思とは無関係に、衝動的に出てしまうのです。


ASD(自閉スペクトラム症)も、同じように“意思とは関係なく”、思考や行動に影響が出ることがあります。

たとえ本人の中に明確な理由がなくても、衝動として、言動として、表れてしまうことがあるのです。


伝えたいことが、うまく伝わらない――

そんな苦しみを抱えた人たちの“声”を、私は無駄にしたくありません。


だからこそ、私たちができることは、「理解」だと思うんです。


理解しようとすること。

それだけで、互いに距離を感じていた心が、ぐっと近づける気がしませんか?


もし、明日。

あなたの目の前に、同じような人が現れたら――

「あ、この人はもしかして……」と、少しだけでも理解できるかもしれない。


その“少し”が、私は“理解の第一歩”だと思うんです。


私はより多くの方々に認知されることを願って、当初から、慎重に、丁寧に描き進めてきたつもりです。もちろんくどかったでしょうし、イライラもさせたと思います。ですがすべては、実際に読むことで体験して欲しかった次第です。

もちろんまだまだ深く描けているとは思っていません。

足りない知識は、これから皆さんと補い合えばいいと思っております。


そして、これをきっかけに――

少しでも「知る」機会になってくれたらと、心から願っています。


とにかく、今はようやく一息付けた実感があります。


……とはいえ、長いよママん 笑


まさか、ここまで長くなるとは自分でも思ってなかったんです。

だって、プロットだと毎回2000~3000文字だったんですよ。

でも、それを文章に起こしていくと、どんどん……増殖するんですよね……。


もう軽くホラーです。ほんとに。


というわけで今パートも残りわずか、引き続きお付き合いくださると、ありがたいです。


どうか、これからもよしなに……。

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― 新着の感想 ―
作者様が言いたい事は何となく分かりました。 でもそれじゃあ『実は主人公どころか、ヒロインも障害・病気持ちなんだ。だから許してあげてね♪』って言われてる気がするんですよ。 読み手としては『ん?』ってな…
とても面白いです。
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