第80話 扉越しの心音
夕日が窓の向こうで静かに息を潜めるように沈んでいく。オレンジ色の光が次第に薄れ、部屋の中は薄紫に染まった黄昏に包まれていく。カーテンを閉め切った私の部屋は、まるで世界から隔離された小さな檻のようだった。
ベッドの上で膝を抱えて座り込んでいる私の肩には、お気に入りのクリーム色のブランケットがかかっている。けれど、その温もりも今の私の心には届かない。鏡台に映る自分の顔は見るに堪えないほど腫れぼったくて、目の周りは真っ赤になっていた。
今日、何回泣いたんだろう……。
数えるのも嫌になるくらい、涙が止まらなかった。枕元に置いたティッシュの箱は、もう半分以上空になっている。
生まれて初めてだった。学校をずる休みするなんて……。
朝、制服に袖を通そうとした時、急に胸が苦しくなって座り込んでしまった。みんなの顔を見るのが怖くて、優の顔を見るのが怖くて……。震える声でママに「今日、学校お休みしたい」と言った時、てっきり叱られると思っていた。
普段のママなら「体調が悪いの?熱はないでしょう?」と厳しく問い詰めてくるはずなのに……その時のママは、私の顔をじっと見つめて、何も言わずに頷いてくれた。
「わかったわ。今日はゆっくり休みなさい」
その優しい声が、逆に胸に刺さった。きっとママにも、私がどれだけ落ち込んでいるかバレてしまっているんだ。昨夜、あんなにひどいことを言ってしまったのに……。
カルマ君のことで、ママと大喧嘩をしてしまった。ママが勝手に私とカルマ君を二人きりにしようとしたことが許せなくて、感情的になってしまった。今思い返すと、ママは何も知らなくて、私のことを思ってやってくれたことなのかもしれないのに……。
「もう知らない!ママなんて大嫌い!」
そんな子供みたいなことを言ってしまって、ママの悲しそうな顔を見てしまって……。それからずっと、お互いにぎこちない関係が続いている。部屋に引きこもって泣いてばかりいる私を見て、ママもどう声をかけていいか分からないんだと思う。
でも、それだけじゃない。
北斗にも……きっともう見放されてしまった。
優に対してあんな態度を取ってしまったんだもの。当然よね……。
あの時の優の顔が、まぶたの裏に鮮明に浮かんでくる。困惑したような、悲しそうな、それでいてどこか諦めたような……そんな複雑な表情。私が何を言っても信じてもらえなくて、最後には優の方から諦めてしまったような、あの表情。
思い返すだけで、また涙が頬を伝って流れ落ちる。
私……優のことを幸せにするって、心の中で何度も誓ったのに……。なんで、こんなことになってしまったんだろう。
あの日に戻れたらいいのに。まだ何もかもがうまくいっていた頃に……。優が私を見て笑ってくれていた頃に……。
でも、時間は戻らない。当たり前のことなのに、なんでこんなにも切ないんだろう。
ブルルルル……。
突然、枕元に置いていたスマホが震え始めた。着信音が静寂に包まれた部屋に響く。
ハッとして画面を見ると、「北斗」という文字が表示されている。
心臓がドキンと跳ね上がった。北斗から電話なんて……何の用だろう。もしかして、優の様子を知らせてくれるのかな……それとも……。
震える手で涙を拭いて、緑色のボタンを押す。
「北斗……?」
か細い声で名前を呼ぶ。自分でも驚くほど弱々しい声だった。
『……おう』
スピーカーから聞こえてきた北斗の声は、いつものふざけた調子とは全然違っていた。どこか冷たくて、距離を置いているような……そんな響きに、胸がチクリと痛んだ。
『タイアップの件なんだけどよ……』
北斗が重い口調で切り出した。
『一応向こうと話し合ったんだが……最悪、楽曲提供だけでもいいって話になっちまった』
その言葉に、私は思わずベッドから身を起こした。
「そんな……!?」
声が裏返ってしまう。
「私、優の曲を歌いたい!私が歌わなきゃダメなの!」
『どの面下げてそんなこと言ってんだよ……』
北斗の声が、さらに冷たくなった。突き放すような響きに、心臓が縮こまる。
「そ、それは……」
言葉に詰まってしまう。確かに北斗の言う通りかもしれない。今の私に、そんなことを言う資格があるんだろうか……。
『優だって……今のお前に歌って欲しいとは思わねえだろ』
「……そうかもしれないけど」
声が震えてしまう。
「でも……でも私は歌いたいの。優が作る歌を……優のために……」
『お前さ……』
北斗が深いため息をついた。
『優のこと……本当に好きなのか?』
その問いかけに、私の胸が熱くなった。
「……うん」
今度ははっきりと答えることができた。
「大好き。私には優しかいないから……優がいない世界なんて考えられない」
『だったらよ……なんで誤解を解こうとしねえんだ?』
北斗の声に、苛立ちが混じっている。
「誤解を解きたくないわけじゃないの……でも、優には言いたくないの……言えないの」
『またそれかよ……』
北斗の大きなため息が聞こえてきた。
『本当、何回聞いても意味分かんねえよ、お前の理屈は』
またこの繰り返し……。でも、これが私の本心なの。
本当に、優にだけは言いたくない。言った方が楽になるかもしれない……全てがうまくいくのかもしれない……。頭では分かってる。でも、私の心がそれを拒絶してしまう。優には言っちゃダメだって……どうして言っちゃダメなのか、自分でもよく分からないけれど。
『まあ、こんな話をいつまで続けても無駄だな……』
北斗の声が、諦めたような響きになった。
『とにかく、今回は代役を立てる予定もねえし、楽曲提供のみで終わる可能性が高い。それだけは理解しとけよ……じゃあな』
そう言って、北斗は一方的に電話を切ってしまった。
「あっ……」
プツンという音と共に通話が終わり、部屋に静寂が戻ってくる。私の小さな声だけが、暗闇の中に虚しく響いて消えていった。
スマホを胸に抱きしめながら、私はまた膝を抱えて座り込んだ。
優に全てを打ち明けることができれば、どれだけ楽になるんだろう……。なのに私は、自分で自分を縛り付けて、身動きが取れないでいる。
この苦しさから解放される日は、来るんだろうか……。
その時だった。
「真珠さん……?」
突然、部屋の外から聞き慣れた声が響いてきた。
私の背筋に、電流のような衝撃が走る。まさか……この声は……。
「えっ?」
慌ててスマホをベッドに置いて、ふらつきながら立ち上がった。足がもつれそうになりながら、扉の前まで駆け寄る。
「か、カルマ君……?なんでここに……」
震え声でそう言いながら、反射的にドアノブに手をかけた。でも、開けることはできなかった。なぜか手が震えてしまう。
「勝手にお邪魔してしまって、本当に申し訳ありません」
扉の向こうから、カルマ君の丁寧で穏やかな声が聞こえてくる。いつものように、とても優しい口調だった。
「玄関のドアが開けっぱなしになっていて……それに、入り口の電気も点いたままだったので、もしかして何かあったのかと心配になってしまって」
そう言えば、ママは今日、結婚式のサプライズ演出のお仕事で出かけていた。慌てて出かけたから、鍵をかけ忘れてしまったのかもしれない。
「あ、あぁ……そうなんだ」
私は慌てて答えた。
「ママったら、本当にそそっかしいところがあるから……ごめんね、心配かけちゃって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
カルマ君の優しい笑い声が聞こえてきた。
「でも、真珠さんの声を聞くことができて、本当に安心しました」
少し間があいて、カルマ君が続ける。
「その……もしよろしければ、お顔を見せていただけませんか?そうすれば、もっと安心できるのですが……」
ドキリとした。
今、この家には私とカルマ君しかいない。ママは夜遅くまで帰ってこない予定だし……。
なんだか急に、胸がざわざわしてきた。今の私の顔は、泣きすぎて腫れぼったくて、とても人に見せられる状態じゃない。それに、勝手に家に入られるのは流石に……。
「あの……ごめんなさい」
私は申し訳なさそうに答えた。
「今は……ちょっと体調が悪くて……」
「そうですか……それは心配ですね」
カルマ君の声が、さらに優しくなった。
「風邪でしょうか?それとも……何か心配事でも?」
その瞬間、ドアノブがガチャリと音を立てた。
私は慌ててドアノブを両手で押さえつける。心臓がバクバクと鳴り始めた。
「ちょっと……!」
思わず声を荒げてしまう。
「扉は……開けないで」
「あぁ、失礼しました」
カルマ君の声が、少しだけトーンを落とした。
「でも真珠さん……部屋に入れてもらえないのでしょうか?」
その言葉に、私の息が止まりそうになった。
「真珠さんだって……もういい加減、僕の気持ちに気づいてくださっていると思うのですが……」
静寂が流れた。
分かっていた。薄々は……いや、もっとはっきりと分かっていた。カルマ君が私に向ける優しいまなざしの意味を。いつも私を気遣ってくれる言葉の裏にある想いを。
でも……。
今の弱り切った私には、カルマ君の言葉がとても甘い蜜のように聞こえてしまう。優しくて、温かくて、私の傷ついた心を包み込んでくれそうで……。辛い時だからこそ、そんな優しさにすがりたくなってしまう。
だけど違う。
そんな言葉を言ってほしい相手は、カルマ君じゃない。心から求めているのは、カルマ君の優しさじゃない。
私が本当に聞きたいのは……優の声。優の「大丈夫だよ」っていう、あの温かい言葉。
深く息を吸って、自分を落ち着かせる。混乱した気持ちを整理して、はっきりと答えなければ。
「ごめんなさい、カルマ君」
私は扉に額を押し付けながら、静かに言った。
「でも……帰ってもらえるかな?私の部屋に入れたい人は……たった一人だけだから」
その瞬間、扉の向こうで何かがざわめくような音がした。
「まだっ……」
カルマ君の声が、急に鋭くなった。今まで聞いたことのないような、どこか苛立ちを含んだ響きだった。
「え?」
私は扉に耳を押し当てた。
「今、なんて言ったの……?」
「あ……いえ、なんでもありません」
カルマ君の声が、再び穏やかな調子に戻った。でも、さっきの声は確かに聞こえた。あの苛立ったような……まるで別人のような声を。
「驚かせてしまって、申し訳ありませんでした。また日を改めてお伺いさせていただきますね」
丁寧な口調で、カルマ君がそう言った。
「それでは、お体にお気をつけて……真珠さん」
階段を下りていく足音が聞こえてくる。玄関のドアが開いて、閉まる音がした。
私は扉に耳を澄ませて、カルマ君が本当に帰っていったのを確認する。しばらく待って、もう足音が聞こえないことを確かめてから……その場にへたり込んだ。
「怖かった……」
小さくそう呟いて、全身がぶるぶると震えてしまう。
なんだったんだろう、あの声は。いつものカルマ君とは全然違っていた。まるで……まるで怒っているような、何かに苛立っているような……。
自分を抱きしめるように腕を回し、私は小さく身を縮めた。また涙が頬を伝って流れ落ちる。
どうしてこんなことばかり起こるんだろう……。
ふと、枕元に置いたスマホのことを思い出した。よろよろと立ち上がって、ベッドまで戻る。
スマホの画面を点けて、写真フォルダを開いた。そして、あの時撮った写真を探す。
あった。
画面に映っているのは、優の笑顔だった。デートした時に、こっそり撮らせてもらった写真。優がソフトクリームを食べながら、何か面白いことを言って笑っている時の一枚。
指で画面をそっと撫でる。優の頬を、優の髪を、優の唇を……。
不思議と、心が落ち着いていくのが分かった。さっきまでの恐怖も、不安も、カルマ君への罪悪感も……全部が少しずつ和らいでいく。
「優……」
私は小さく名前を呼んで、そっと画面にキスをした。
冷たいガラスの感触だけれど……今の私には、これが一番の癒しだった。
玄関の方から、カチャリという音が聞こえてきた。
私の背筋がピンと張る。まさか……またカルマ君が戻ってきたの?
心臓がドキドキと鳴り始めて、思わずスマホを胸に抱きしめた。もう一度あの怖い思いをするのは嫌だ……。
でも、聞こえてきたのは全然違う声だった。
「ただいま……」
その瞬間、私の全身から力が抜けた。
ママの声だ。今帰ってきたんだ。
いつもなら「おかえりなさい」って、何の躊躇もなく言えるのに……今は何だか声が出ない。昨夜のあの喧嘩のことが頭をよぎって、胸が重くなってしまう。
当たり前のことが言えない自分が、何だかとても情けなく感じられた。
階段を上ってくる足音が聞こえてくる。ゆっくりとした、疲れているような足取りだった。きっとお仕事で疲れているんだろうな……。
私は扉の前に座り込んだまま、どうしていいか分からなかった。話しかけた方がいいのかな……でも、なんて言えばいいんだろう。
足音が二階の廊下で止まった。私の部屋の前に、ママが立っているのが分かる。
しばらく静寂が続いて……。
「し、真珠……?」
扉の向こうから、おそるおそるといった感じのママの声が聞こえてきた。
私の心臓がドキンと跳ね上がる。でも、なぜか返事ができなかった。何て答えればいいのか、分からなくて……。
「あ、無理して返事しなくてもいいのよ」
ママの声が、急に優しくなった。
「ただ……私が真珠に話しかけたいだけなの。聞いてくれるだけでいいから」
その優しい口調に、胸がキュンと締め付けられた。昨夜あんなにひどいことを言ってしまったのに、ママは私を気遣ってくれている。
「体調はどうかしら?」
ママが心配そうに続ける。
「お昼、何も食べてないでしょう?お腹、空いてない?」
言われてみれば、確かにお昼は何も食べていなかった。朝も、パンを一口かじっただけ。でも、食欲なんて全然わかなくて……。
「それと……」
ママが少し間を置いて、また話し始めた。声が少しだけ明るくなったような気がする。
「ママね、今日とても素敵な子と出会ったのよ」
え?
「すごいのよ、その子。真珠と同じくらいの年の男の子なんだけれど、とても優しくて、それでいて芯が強くて……」
ママの声が、だんだんと嬉しそうになっていく。
「その子に言われたの。『当たり前のことが話せる今だからこそ』って……『当たり前に言えていたことさえ話せなくなってしまう前に、伝えてあげてください』って」
私の胸が、急に熱くなった。
ママは……私のために、こうして話しかけてくれているんだ。昨夜の喧嘩で気まずくなってしまって、お互いに何を話していいか分からなくなってしまったけれど……それでも、ママは私を心配してくれている。
当たり前のことを、当たり前に話そうとしてくれている。
「その子がね、こんなことも言ってくれたの。『後悔する前に』って――」
もう我慢できなかった。
ガチャリと扉を開けて、私は廊下に飛び出していた。
「ママ……!」
そのまま勢いよく、ママの胸に飛び込む。ママの温かい体温と、いつもの優しい香水の匂いに包まれて……涙が一気に溢れてきた。
「ごめんね……ごめんなさい、ママ……」
声が震えてしまう。
「昨夜、あんなひどいことを言っちゃって……本当にごめんなさい……」
ずっと心の奥で後悔していた言葉が、やっと口から出てきた。
「私もよ、真珠」
ママが私の頭を優しく撫でながら、申し訳なさそうに言った。
「勝手なことをして、ごめんなさい。真珠の気持ちを考えずに……ママを許してくれる?」
「うん……もう怒ってないよ」
私はママの胸に顔を埋めながら答えた。
「あんなの、本心じゃないから……私、ママのこと大好きだよ……ずっと大好きだったよ……」
「ええ、分かってるわ」
ママの声も、少し震えているような気がした。
「私も真珠のこと、大好きよ……世界で一番大切な、私の宝物よ」
そう言って、ママがぎゅっと私を抱きしめてくれた。
温かかった。こんなに温かい抱擁を、どれだけ恋しく思っていたんだろう。意地を張って、素直になれずにいた自分が、急にとてもばからしく思えてきた。
「優斗君の言う通りになったわね……」
ママが小さく呟いた。
「話してよかった……」
その瞬間、私の頭の中で何かがパチンと弾けた。
「えっ……?」
慌ててママから離れて、顔を見上げる。
「今、ママなんて言ったの……?」
「え?」
ママがきょとんとした顔で私を見つめる。
「ママも大好きって……言ったのよ?」
「そこじゃなくて!」
私は思わず前のめりになって、ママの肩を揺さぶった。
「そこじゃないって……え?もしかして……」
ママが首を傾げながら、困惑したような表情を浮かべる。
「優斗君が……どうかしたの?」
「どうかしたじゃないでしょ!」
私の声が一オクターブ上がってしまう。
「なんでママが優のこと知ってるのよ!?どこで会ったの?!いつ会ったの?!何を話したの?!」
矢継ぎ早に質問を浴びせかける私を見て、ママがぽかんとした顔になった。
「え……えーっと……」
ママが慌てたように手をひらひらと振る。
「それは……その……」
「それはその、じゃないでしょ!」
私はママの前で両手を腰に当てて、詰問するような姿勢になった。
「説明して!今すぐ!詳しく!」
「あ、あの……真珠?」
ママが苦笑いを浮かべながら、私を宥めようとする。
「そんなに興奮しないで……」
「興奮するでしょ、普通!」
我ながら、すごい剣幕だった。でも止まらない。
「私の……私の優のことを、なんでママが知ってるのよ!?」
「私の優って……」
ママの表情が急に変わった。さっきまでの優しい微笑みが凍りついて、まるで雷に打たれたような顔になっている。
「え……えええええ!?」
ママの声が裏返った。
「ちょっと待って!優斗君を知ってるの?!真珠が?!」
「え?ママこそ何で優のこと知ってるのよ!」
「いやいやいや、待ちなさい!」
ママが慌てて両手をひらひらと振り回す。
「これは……これはまさか……偶然にしては出来すぎてるわよ!?」
「だから私が聞いてるんでしょ!」
私も負けじと声を上げる。
「ママ、まさか……まさか優と付き合ってるとか言わないでよね?!」
「え!?な、何を言ってるの真珠!」
ママの顔が真っ赤になった。
「私は結婚してるのよ!?それに優斗君はあなたと同世代の……って、ちょっと待って!」
ママが突然手をパンと叩いた。
「真珠……まさか、あなたの好きな人って……」
「い、今はそんな事話してないでしょ!」
今度は私の顔が真っ赤になる番だった。
「そういうんじゃなくて……でも……その……」
しどろもどろになりながら、私は必死に言葉を探す。
「とにかく!ママから説明してよ!なんで優のこと知ってるのよ!どこで何をしてたのよ!」
「あ、あの……真珠?」
ママが困ったような笑顔を浮かべながら、恐る恐る口を開いた。
廊下に響く私の声を聞きながら、ママが驚き戸惑っている姿を見て……私はこれからとんでもないことを聞かされるような、そんな予感がしてならなかった。




