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第8話 初めての友達



 名も無き道をどんどんと進んでいく。

 一切、なにも変わらない景色であくびが止まらない。

 さっきから歩く度に、ガサガサと草むらが動き出すのだが、


「メェー」


 ガサガサッ


「メェーメェー」


 ガサガサッ


「メェーメェーメェー」


 と、こんな感じでヤギしか出てこない。

 またもや近くの草むらが、ガサガサッと動き出した。

 おざなりに頭を掻きながら、そちらを見やる。


「はいはい。どうせ、ヤギだ······ろ?」


 ──ヤギじゃなかった。

 ボロ布を纏って、いかにも悪そうな格好をした集団。

 離れたところからでも、プワーンと汗くさい匂いが漂ってくるくらい不衛生なやつら。

 極めつけは、やっぱりブームなのか、短剣をペロペロしている。

 そう、みんな大好き盗賊さんだ。


「あ? 誰がヤギだって? ヤキ入れてやんよ」


 い、いや、誰がうまいこと言えと。

 やっべ、初めて出会った人が盗賊とか洒落にならないんですが。

 まだ戦う覚悟とか何も出来てない。

 俺が望んでたのは平和な旅だったのに!


 しょうがない、ここは俺の必殺技──不可視の邂逅を見せてやろう!


「·········あ、あれー? 今誰かいたと思ったんだけどなぁ? なーんだ、ただの気のせいかな? うふふふー」


 見よ、この華麗な不可視の邂逅知らんぷりを!

 これで相手も「あれ? 気付いてないの? じゃあいいか」みたいになるはず──


「待て待て兄ちゃん、どこ行こうってんだよ?」


 盗賊は俺の肩をガッチリと掴んできた。

 少しずつ振りほどくように、首をグリングリンと動かす。


「んー? ど、どこかで声が聞こえるなー? 僕ちん疲れてるのかなぁ。さーて、早く帰ってお寝んねしないと!!」


 よし、手が退いた。

 俺の前に立ち塞がっていた盗賊の脇を抜けてダーッシュ······!


「──はうんっ!」


 しかし、首根っこを掴まれて持ち上げられた。

 プラーンとぶら下がる俺の首元に、盗賊は短剣を添えてきた。

 ちょ、短剣少し刺さってる!

 あと、お口臭いって!


「無視すんなよ、寂しいだろぉ?」


「あ、こんなところにいたんですね! と、というかお仲間さんいっぱいいるじゃないですか! 寂しくなんてないでしょ!?」


 寂しいのは俺だよ。

 1人で旅して、いきなり盗賊にけしかけられてさ!


「俺ァまだまだ寂しいんだよ。特に懐が寂しくてなぁ。だから、金目のモンを──」


「ていっ!」


 ふん、みなまで言わすものか!

 指をピースのように広げて、目潰しを喰らわせる。

 「ぐあぁ! クソがっ!」と言いながら、俺を掴んでいた手を離した。

 その隙に、俺は颯爽と駆け抜ける!


「捕まえろー!!」 


「待て糞ガキ! 取っ捕まえてぶっ殺してやる!」


 やべぇって!

 なにが楽しくて、こんな奴らと鬼ごっこしなきゃいけないんだよ!

 盗賊達は怒号を上げながら俺を追い掛け回してくる。

 いちいち脅し文句が怖いんですが!


「うおおおおおっ!」


 そんな恐喝を聞かないように大声で走り抜ける。

 今の俺は風だ、ウインドウだ! それは窓だ!



-----------------------------



 よかった。

 俺の方が足が早かったのか、大分距離を取ることが出来た。

 盗賊達の影は豆粒のように小さく見え──


「──ぼふぅ!」


 なにかに顔面からぶつかった。

 首がグギッってなって、ものすごく痛い。

 後ろを見すぎていたあまり、前に注意がいってなかった。

 俺は尻餅をつき、強打した顔面を摩りながら前を見る。


「だ、大丈夫かい?」


 焦りを孕んだ声と同様に、その顔は不安に満ちていた。

 なんと、俺がぶつかったのは人だった。


 少しウェーブが掛かった金髪に、澄んだ青色の瞳。

 その美貌がよく映える純白の鎧を着たその男は、俺に手を差し伸べている。

 その手を取って、俺は立ち上がった。


「すいません、ありがとうございます」


 ウホッ! いい男······!

 ふんわり漂う香水の匂いが、もうイケメンを物語ってる。

 この人の周りとか、なんかキラキラして見えるもん。


「怪我がないようで良かったよ。ところで、どうしてそんなに急いでいたんだい?」


「──! それがですね······」


「やっと追い詰めたぞ、糞ガキが!!」


 盗賊に追いつかれてしまった。

 猛牛のように荒い息を立てる盗賊達は、俺とイケメンさんを睨みつける。


「ふむ、そういうことか」


 顎に手を当てて、納得したご様子。

 どうやら俺の状況を理解してくれたでくれたみたいだ。 

 さぁ、共に逃げようぞ、イケメンさんや!


「僕に任せてよ。これでもシルヴェスタ王国で騎士をしているんだ」


 煌びやかに微笑むイケメンさんは、腰に据えてある剣に手を当てた。

 改めて盗賊達に向き直り、口を開く。


「君達が、この辺りで悪さを働いている盗賊団だとお見受けするが?」


「あぁ? それがどうしたってんだよ、優男!」 


「ま、待て! あれって〈宝剣グラムス〉じゃねーか? ということは······」


 イケメンさんの剣を見た途端、盗賊達の様子がガラリと変わった。

 宝剣ってなによ。

 聖剣でも魔剣でもないの?


 《宝剣っていうのは、世界各地にあるダンジョンで手に入れられる剣のことだよ。物によっては聖剣や魔剣よりも強力なんだ》


 マジかよ、そんなに強いのか。

 ところで、そのダンジョンってなんぞや? 


 《ダンジョンっていうのは、地下に広がる迷宮のことだよ。地上にはいない、強力な魔物がうじゃうじゃいるんだ。宝剣の放つ力強さからして、彼は強大な迷宮の覇者だと思うよ》


 宝剣の力強さとかわからないけど、鑑定さんがそこまで言うならその通りなんだろう。


「シルヴェスタ王国第一騎士、ランスロット・レイズ。〈聖騎士アークパラディン〉という二つ名を承っているよ」


 イケメンさん改め、ランスロットさんは宝剣を引き抜いた。

 白く輝くその剣身は心強く思えた。

 逆に対峙する盗賊達からは酷く残虐に映ったことだろう。


「やべぇ! 逃げっ──!」


 盗賊達は急いで踵を返そうとした。

 しかし、


「宝剣よ、その輝きを示せ! 光の捕縛ホーリー・チェイン!」


 ランスロットさんが宝剣を振り下ろした瞬間、いくつもの光筋が盗賊達目掛けて飛んでいった。

 その光は鎖のように体を雁字搦めに巻き始め、身動きを封じた。


 盗賊達はそれぞれに罵詈雑言を口にしながら、光の鎖を解こうと身をよじっている。

 それをランスロットさんは宝剣を空虚に振るうと、盗賊達の鎖はガキュィと大きな音を立てた。

 一層苦しそうな顔を見ると、どうやら鎖を締め付けたようだ。


「もうこれで安心だよ」


 かぁー、イケメンは違うね。

 やっぱり、やること成すこと全てがスマートだ。


「あ、そうだ。ありがとうございました! おかげで助かりましたよ」


「ううん、僕は騎士としての勤めを全まっとうしたまでだよ。そういえば自己紹介がまだだったね。僕はランスロット・レイズ、君は?」


「俺は花守咲人です。名前が咲人、家名が花守です」


「変わった名前だね。よろしくサキト!」


 それからランスロットさんは盗賊達の事情聴取をした後、光筋を空に飛ばした。

 程なくして、俺が向かっていた方向から、大きな牢屋を運んだ馬車がやってきて盗賊達を連行した。


 あわよくば、ついでに馬車へ乗せてもらおうとしたのだが、定員オーバーだそうで乗車拒否されたしまった。

 それはランスロットさんも同じで、二人で歩いてシルヴェスタ王国へ向かうこととなった。


「そういえば、ランスロットさんはおいくつなんですか?」


「ランスロットでいいよ。あと、堅苦しいのも無しにしようよ」


「そう言うことなら······わかったよ、ランスロット」


「ありがとうサキト。僕は18歳、成人しているよ」


 この世界では18歳で成人なんだ。

 俺も今年で18だし、同い歳だったんだね。

 俺とは違ってしっかりしてらっしゃる。 


「サキトは冒険者かい? それとも旅人?」


「一応、旅人になるのかな。冒険者になるのもいいなって思ってる」


 現在、俺は一文無し&旅人(身分証明書すら持ってない)だ。

 お金を稼ぐには冒険者になるのが1番早そうだし、冒険者カードとやらが身分証明書になるみたいだし一石二鳥だ。


「それなら、シルヴェスタ王国で冒険者登録するのがいいと思うよ。ほら、あれが僕の仕えているシルヴェスタ王国だ」


 ランスロットが指差した方向を見る。

 どこの国も周壁を覆っているのか、巨大な壁が見えてきた。

 その奥には、ちょこんと白い城が姿を見せている。


「あの少しだけ見えるのが王城だ。名前の通り、王族が住んでいらっしゃるんだ」


 へー、王族ね。

 随分とまぁ良い生活を送っているんでしょーな。

 一文無しの俺とは大違いだ。 


 それからシルヴェスタ王国の話をランスロットから聞きながら、門の前に到着した。

 門を守る衛兵はランスロットを見るなり、体を折り曲げ、それはそれは低く頭を下げた。

 ガラケーなのかな?


「おかえりなさいませ、ランスロット様! 見回りご苦労様です!」


「戻りました、アシモフさん。いつも言ってますけどそんなに畏まらなくていいんですよ?」


「いえいえ、聖騎士アークパラディン様に無礼なことはできません!」


 衛兵の言葉にランスロットは困り顔になった。

 さっきの盗賊達も知ってたし、実はランスロットって有名人なんだね。

 まして、こんなに敬意を表してるってことは、やっぱりすごい人なんだ。

 本当にタメ口でいいのか心配になってきた······。


「む、そちらの方は?」


 衛兵は俺に気が付くと、少しばかり胡乱な視線を送ってきた。

 あまり気分の良いものじゃないけど、そういう仕事だろうししょうがないか。


「彼は僕の友人のサキトです。王国で冒険者になりたいそうなので、冒険者カードを持っていないんですよ。なので証明書の提示は後でいいですか? 彼の身分は僕が保証します」 


 ランスロットよ······俺がこんなことを思うのもなんだけど、いかにも怪しい俺(身分証明書すら持っていない)をそんな簡単に信じちゃっていいのかい?

 もしも俺が悪い奴だったらどうするのよ。

 ほら見てよ、この衛兵さんの疑い深い瞳。

 これもう絶対ダメだよ。


「ランスロット様がそう仰られるのなら······どうぞ」


 あれ、どうやら通してくれるみたいだ。

 ランスロットがいてくれてよかった。

 このままじゃあ、もしかしたら一悶着あっただろうしね。

 衛兵は最後まで胡乱な視線を俺に向けていたが、門を通してくれた。


「ようこそ、サキト。我らがシルヴェスタ王国へ!」


 くぐり抜けた先は、やはり中世ヨーロッパのような建物が並んでいる。

 全体的に文化が進んでいないせいか、どこの国も同じような構造になるようだ。

 だけど、前に行ったアーセルレイ公国よりも賑やかではない気がする。


「いい国だね。周りの人達が元気そうだし」


 もちろんちゃんとした本音だ。

 賑やかではないと言っても、そこら辺にいる人達が俯いているわけじゃない。

 それなりに元気で、顔は正気に満ちている。

 自分たちの国を褒められたランスロットは、口元がニヤニヤするのを必死に耐えていて変な顔をしている。


「よし、冒険者ギルドに行こうか!」


「ちょ、引っ張るなって!」


 跳ねるような声音で腕を引っ張られる。

 これが女の人だったら肘に胸が当たって嬉しいんだけど、硬い鎧の感触しか伝わってこないから残念。


「ここが冒険者ギルドだよ」


 しばらく歩いたところで、ランスロットは立ち止まった。

 やっと開放してくれた腕を摩りながら前を見る。


 家にしてはやや大きく、店にしては小さめ。

 外見は一切手入れなどされておらず、所々朽ちた木材が剥き出しのボロい建物。

 屋根に旗が立てられており、剣と盾が交差した紋様の下部に文字のようなものが書かれている。


「これ······ちゃんと営業してるの?」 


「もちろんだよ?」 


 あまりのボロさに潰れちゃったのかと思った。

 ランスロットを先頭にギルドの中に入る。

 あら? 中は外見よりもボロくないし、結構ちゃんとしてるじゃん。


 俺のイメージ通り、粗野な奴らが席を囲んで酒をらしきものを煽っており、こちらを睨めつけてきた。

 が、ランスロットを目にした途端バババッとお行儀良くなった。


 ふっ、どうだ。

 これこそ、虎の威を借る狐状態じゃい!


「あっ、ランスロットくん! 久しぶり!」


 受付らしきところから、身を乗り出して手を振る少女がいる。

 長い茶髪を緩く結んだ、タレ目が印象的な子だ。


「やあ、エレミア久しぶりだね。今日は僕の友人が冒険者になりたいらしいんだ」


「そうなんだ! 初めまして、エレミア・カーマレードです」


 ペコリと頭を下げたエレミアさん。

 こちらもペコリと頭を下げてつむじを見せた。


「初めまして、サキト・ハナモリです」


 いちいち、名前が咲人で、家名が花守って言うの面倒臭いからこう名乗ることにした。


「よろしくお願いしますね、サキトさん!」


 あっ、この子かわいい。

 人懐っこい笑顔に俺のハートが『トゥンク』って言った。

 それからエレミアさんは、1枚の紙を取り出し、


「それではこちらにご記入ください!」


 差し出された紙を近づけて見る。

 ······読めねぇ。

 大した英語の教養がない日本人には読めない、スラスラと書いた英文字みたいだ。


「······あ、あの」


「どうしました?」


 いや、ダメだ!

 エレミアさんにかっこ悪いところは見せられん!

 ここはランスロットに、ヒソヒソ話のように耳元へ顔を近付けて、


「······ランスロット、ねぇランスロット!」


「······なんだい?」


「······どうしよう、字が書けない」


「えっ!?」


 おいっ、そんな大きな声出すなよ!


「もしかしてサキトさん、字が書けないとかですか?」


 あぁ、ほらエレミアさんにバレちゃった······。


「はい······書けません」


「そうだったんですね! それじゃあ私が代筆しましょうか?」


「······お願いします」


 うあああああ、かっこ悪ぃぃぃい!

 なんだよ、今年で18歳になる奴が字も書けないって······。


 そのあと、エレミアさん必要な事項を記入してもらった。

 字が読めれば大したことのないものばかりだったのが、恥辱に拍車をかけたのは言うまでもない。

 そして、無事に冒険者登録は完了した。


「はい、これで晴れてサキトさんは冒険者となりました! これから一緒に頑張りましょうね!」 


 説明を交えながら代筆をしてもらっていた。

 冒険者は大変危険なお仕事だという。

 魔物討伐だったり、時に盗賊や悪い人達の確保などの命に関わることが多いのだそう。

 その危険を減らすため、自身の実力で遂行できるようにランクというものが制定された。ランクは全部で7種類だ。


 〈Dランク〉

 誰もが冒険者を始めたらこのランクから始まる。

 主に治療で役立つ薬草の採取や、人々の手助け、または弱い魔物の討伐などだ。これらは冒険者の間で雑用依頼と呼ばれている。


 〈Cランク〉

 魔物の討伐依頼が増えるらしいのだが、ほとんど変わらない。

 多くの冒険者がここに名を連ねているとか。


 〈Bランク〉 

 ここからが冒険者の中堅と言われるようになるらしい。

 雑用依頼は一気に無くなり、魔物討伐オンリーになってくる。


 〈Aランク〉

 ここまでくればベテラン冒険者。

 しかし、Bランクからこのランクに上がってくるには苦難の連続だという。

 宿で冒険者カードを見せれば何かと特典が付いてくる。

 高級宿でVIPな部屋を貸してもらえたりとか食事が無料とか。お得なランクだ。


 〈Sランク〉

 このランクにくるまでは本当に才能がなければなれないという。

 大型の魔物討伐を単独で屠る実力が求められるのだとか。 


 〈SSランク〉

 世界的に有名になってきて、知らない者はいなくなる。

 Sランクとは隔絶たる壁がある。


 〈SSSランク〉

 このランクは一言に尽きる。

 皆からこう呼ばれるらしい──"英雄"と。

 冒険者ギルドのランク制度を作った者がこのSSSランクだったという。


「お待たせ致しました! こちらがサキトさんの冒険者カードとなります! 一応、紛失や破損をしたりしても再発行は出来ますが、いろいろと面倒臭い手続きが必要になっちゃいますので気をつけてくださいね!」


 手渡されたのは、手のひらにすっぽり収まる小さなカード。

 素材は鉄で出来ており頑丈そうだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:サキト・ハナモリ "冒険者Dランク"

性別:男

年齢:17

レベル:1

種族:人族

スキル:

特殊:

称号:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 あれ?

 スキルと特殊と称号が書かれてないんだけど。

 おかしいな、鑑定さんに俺を鑑定してもらった時は存在したはずなのに。


 俺の表情を読み取ったのか、エレミアさんは得意げな顔で説明してきた。


「もしかして、スキルが書いてない! って思いました?

 それはですね、他者から盗み見られることを防止するためにワザと消してあるんですよ。ご自身のスキルなどを見たい場合は、魔力を流し込んで貰えれば見れるようになります」


 そうだったのか、びっくりした。

 水を流し込むようにイメージしながら、カードへ魔力を注ぎ込む。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:サキト・ハナモリ "冒険者Dランク"

性別:男

年齢:17

レベル:1

種族:人族

スキル:〈鑑定Lv1〉〈黒魔法Lv1〉〈剣術Lv3〉〈短剣術Lv1〉〈槍術Lv2〉〈格闘術Lv1〉〈身体強化Lv1〉〈気配Lv1〉〈探知Lv1〉〈恐怖耐性Lv6〉〈毒耐性Lv1〉

特殊:

称号:魔王の角、反逆の勇者ブレイブビトレイアー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 おお、出た出た。

 でも、スキルと称号しか出てこない。

 やっぱり特殊は、鑑定さんのLvを上げなければ見れないのか。


 にしても、この状態じゃあカードを人に見せるわけにはいかないよな。

 称号のところなんて見せちゃったら、とんでもない誤解を受けるに違いない。

 勇者らしいことなんて1度もしたこともないし、それなのに"反逆の"なんて付けられてるしね、死ね。


「そのご様子だと、うまく確認出来たみたいですね。他になにか質問はありますか?」


「いえ、大丈夫です。エレミアさん、ありがとうございました」


 お礼を言うと「うふふっ」と微笑んだ彼女。

 冒険者は危険なお仕事だと言った。

 けど、彼女の笑顔があれば、俺はどんな死地でも駆け抜けられる気がするっ!


 と、俺の決意を尻目に、エレミアさんはモジモジしながら顔を赤くし、


「ね、ねぇ、ランスロットくん。今日の夜って空いてる?」


「うん、空いているよ。今日はもう非番だしね」


「それじゃあさ、ご飯でも食べに行かない?」


「もちろんいいよ。よかったらサキトも来······」


「いやいや結構です、コケコッコーです!」


 はっはっは、そういうことか。

 2人は──というより、エレミアさんはランスロットとそういう間柄になりたいと、そんな顔をしていらっしゃる。

 そんなところに俺の入る隙間なんて無いというわけですね。


 異世界で初めての友人ができ、異世界で初めての失恋をしたぜ、こんちくしょう!

 ······俺はこんな死地を望んでない。

 ······よし、魔物ぶっ殺してこよう!



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