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第5話 戦えェ!!

「ありがとう、イデア。どうやってお母さんのあの病気を治したの?国中のお医者さんを回っても分かんなかったのに」

「あれは病気なんかじゃなくて呪いだったんだ。高度な魔法技術で隠ぺいされてたんだ」

「そ、そんな…。じゃあ、さっき直すのに使ったのって…」

「ああ、聖水だ。でも問題無い。俺はストックを持て余してるくらいだからな」

「そ、そんな量の聖水を一体どうやって?そもそも、イデアって何者なの?普通、どんなに屈強な人でも魔狼に嚙みつかれて苦しまない人なんていないし、あの牙には猛毒が…」

「まあ、簡単に言うと元勇者兼神だ」

「さ、さすがにそんな冗談通用しないよ。まさか、背が低いからって私を子供扱いしてからかうつもり!?言っとくけど、私は211歳だよ?」

「俺は3436歳だ。俺から言わせてみればクレアも実質子供みたいなもんだな」

「こっ、今回はお母さんを助けてくれたお礼に許してあげるけど…」


おっと、こんなことやってる場合じゃないか。


「それで、誰から300万メイルもする薬を買おうとしたんだ?どっかの藪医者か?」

「いや、私がお母さんの症状について調べる為に国中を回っても結局何も分かんなくて諦めかけた時、1人の旅人らしき人が声をかけてくれて、自分は1か月以内に国を出る予定だが、それまでに300万メイルを集めてくれたら特別な薬を分けてやる、って言ってて、病気だって信じてた私はギルドの酒場のバイトとクエストを掛け持ちするようにして稼いでたの」

「そうか。つまり、クレアが酒場で働いてることを誰にも知られたくなかったのは仲間に心配や迷惑をかけたくなかったからなのか」

「まあ、それもあるんだけど、私自身が冒険者として人気がある所為でお客さんが殺到してお店に迷惑かけちゃうから…」

「とりあえず、その旅人を装ってるヤツに会わせてくれ。相手は確実に悪魔族だがそれなら神の俺が討伐する」

「もしもただのいい人で、その呪いに関係なかったら?」

「さて、それはどうだろうね。今から証明してやるよ」


俺は神の力<呪術追尾>を発動させ、その呪いの発動者のいる場所を目指した。

しかし、ソイツはとても近くにいたらしい。歩く必要もない。


「そこで透明化してるんだろ、このペテン師野郎」


俺はソイツがいるであろう場所に向かって瓶から聖水を振りまいた。すると、予想通り何者かが現れた。ボーイッシュな女?ただのショタ?いや、今はそんなことどうでもいい。


「おい、お前!?何してくれてるんだ!?俺の身体が消えちまうだろうが!!」

「あ、あなたってあの時の…。どうしてここに?」

「それで、300万メイルはどうした?そろそろこの国を発とうと思うんだが」


俺はすぐに分かった。間違いない、コイツは悪魔族だ。


「お前がクレアの母さんに呪いをかけたんだろ?それで困っているところに付け込んで大量の金を手に入れようとした。どうせ薬なんて言っても効き目の薄い安物の呪解霧(じゅげむ)くらいだろ?」

「ほう、こちらの手の内はお見通し、というわけか。今なら生かして帰してやるが。逃げるなら逃げろよ」

「生憎、俺は神なんで出会った悪魔族と戦わないとあのヒゲオヤジからキツイお仕置きを受けることになる。そっちの方が俺は無理なんでね」

「最高神は魔帝様よりもヤバイヤツなのか…。とりあえず、君の死ぬ覚悟は分かったよ。俺の名前はシェーラ。<魔帝二十四騎士>の1人だ。今からお前を殺す」

「か、かかってこい」


シェーラと名乗ったソイツは容赦なく俺に紫色の破壊魔法を撃ってきた。周りの地面が削られ、砂ぼこりが立って俺の視界が覆われたが、俺は何ともなかった。

砂ぼこりに気を取られ、油断していた俺の脇腹にシェーラは1秒で数発のパンチを見舞ってきたが、痛くない。

俺はすかさず回し蹴りを食らわした。しかし…。


「防御は異常なのに、攻撃はもはや人間と同レベルなんだね」


俺にも仕返しの回し蹴りが見舞われ、近くの住宅の壁に突っ込んだ。

痛くはない。ただ、このままだと民間人に被害が及ぶ可能性もある。どうすれば…。

その時、俺の視界が金色の眩い光に包まれ、目を閉じた。


目を開ける、目の前には純白と金色のドレス、露出した谷間、ピンク色のツインテールに童顔の武神、ヴァニラがいた。俺の後輩だが、仕事を真面目にこなすから俺よりも階級が上になっていた。それと、天使から武神になった所為で俺よりも年上の影響か、俺のことは『イデア君』呼びである。


「ダメだよ、イデア君。悪魔族と戦う時は下界の人たちを巻き込まないようにしてっていつも言ってたじゃん」

「おまっ、いつも言ってるだろ。何で俺と話す時だけ顔に胸近づけてくるんだよ」

「そんなことはともかく。今ここは全く誰も住んでない場所だしとりあえず一旦帰るよ」

「え?でもアイツはそのまま放置してくのか?」

「それはヴァーちゃんが最高神様に怒られちゃうから、少しくらい痛い目に合わせてあげないとね」


そう言ってシェーラの方を振り向いたヴァニラの目には光がなかった。


「お前、まさか武神ヴァニラ!?俺が相討ちになってでも殺してやる」

「は?お前ごときにこのヴァーちゃんが殺せるわけないよ。『天の光を拒み、抵抗を続ける愚かな闇に降り注げ、光よ。それは狂気。浄化され、天に召されよ。《獄彩の弾丸(カラフル・バレット)》』」


空には桃色と金色で激しく点滅する魔法陣が幾つも展開され、激しく魔力の弾丸がシェーラに降り注いだ。


「ハハハ!滅んじゃえ、滅んじゃえ!!イデア君に危害を加える害虫は皆滅んじゃえ!!」


普段は大人しく、可愛らしいヴァニラがここまで感情をさらけ出しているのを見るのは初めてだ。

魔法の影響で立った砂ぼこりが晴れると、そこにはシェーラはいなかったが…。


「消滅した痕跡がないな…。逃げられちゃったか」

「ヴァニラ、助かった。本当にありがとう」

「いいんだよ、これくらい当然。じゃあ、一旦天界に来て。そこの女の子も一緒でいいから」


こうして俺は、まだ神具を1つも回収していないのに天界に一時的でも帰れることになった。

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