表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

-7 アリのひと

新規。だからか短い。(そのため-7)

そのくせ遅れました…。

 ◎視点 アルマ・ブルーム

  ブルーム王城 1階 王城兵士((やくたたず))訓練場

  歌の月30日

  昼前ぐらい


 警備隊の人たちに挨拶に行ってこいとのこと。昨日会ったクアーロちゃんも一緒です。ことの経緯はわかんない。寝坊したから。

「おはよう」

「遅かったナ…」

「そういえばその口調って」

「わざとだよ、お姉ちゃんの真似」

「あ、そうなんだ!」

 なんか不思議。

「護衛や潜入を任されがちでね、だからたくさん口調を使い分けるの」

「なるほど?」

「でもこれには深い意味はないゼ」

「なるほど。ってないんかい!」

 やっべ流すところだった。

「うん、変装しないから割と無駄なんだよね」

 多分全く別の理由があるんだろうけど。そちらは流しておくか。

神足(じんそく)の先祖返り」

「えっ?」

「獣人は神獣の力を引き継ぐことがあるの。私もリックもそうなんだ。神足の持ち主は代々密偵や伝令、護衛を仕事にしてるから、私もそうしてるの」

 なるほど。

「あ、虫人(むしびと)だ」

 ……あぁ、虫人((デミアント))

 呼び方が違うんだね。

「こんにちは」

「ああ、こんにちは」

 とりあえず挨拶をする。

 視察というにはゆるめの雰囲気なのでぱっと見では見抜けない様子。そもそもクアーロちゃん獣の方の耳をキャスケット帽で隠してるからね。

 ちなみに人の耳は普通にあるよ、獣人。今はそれも髪に隠れてるけどね。獣の耳は第六感センサーみたいな感じ。

 ほら、今も何かを感じ取ってる。

「何があったの?」

「戦いの気配だ…」

 早足で進んでいってしまった。目的地がそっちだしついていく。

 ま、所詮(しょせん)ただの警備隊といえばそれまでだから、魔物を狩ったこともあるらしいあの子なら大丈夫だろう。

「聞いたらそう返すし、ね。所詮雑兵よ」

 そんなに弱いわけでもないけど。

「もはや化け物基準と言っていいのよねそれ」

 あ、聞こえてた。追いつけないのですけど。追いつける前提で話さないでー。

「そんな感じかなぁ?」

 ただ信用してないから辛辣(しんらつ)にしてるだけだし。

「あえて知らない…?」

 ?

 あ、ついた。

「女王陛下、灰熊の姫様、歓迎いたします」

 そういえば熊だっけ。

 帽子かぶっててもわかる、というよりは知ってるのか。

 そりゃそうだよね。

 さて、みんな整列しているところですし話しますか。

 軽く一例して、始める。

「……さて、お父さんからはこう聞いてる。こっちに会ってこいと。みんなはこう聞いてるはず。挨拶に来ると。挨拶なんて丁寧な真似そうしないよ。八つ当たりでしかないけどあんたらを信用しない。そもそも事実として、お母さんを誘拐した勢力が私たちに手を出してきたら、君たちが守れるとは思えないよ。さすがに、ね」

 王に忠誠を誓った、兵士たちだ。

 しかし実戦経験はほとんどない。一度だけ魔物の侵攻があったけど、それなりといったところだったか。武器を取り戦った彼ら兵士たちと冒険者たち以外にけが人がいなかったから十分……そうだろう、が。

 詳細は何一つ聞けないまでも、私の親は非常に強い。なんとか魔殺しとかそんな物騒なあだ名がついてる。

 そんな奴を敵に回していいのか?まして、お母さんの居場所は隠しようがない。私なら常に場所自体はわかる。

 そんなことは知ってるはずだよ。少なくとも、私の周りの人は。

「私のお父さんでさえ殺せないのに?」

 皆が沈黙する。というか今の通るのわかってはいたけど理由は知らない。温和な世界線でさえ、聞いても教えてくれない。

 大体どっちの意味なのかな、これ。

「でも無能はいないのは知ってるつもりでいる。私個人は心の整理がつかないけれど」

 ひどい物言いだけど、ただ、ただ単に……殺し合うだけなら私は勝てちゃうから。

「悪いけど、それでも少しだけの間頼むよ。私たちに君たちの力を貸してくれ。つなぎとして程度は働く義務はあるしね、私」

 つなぎ?

「……それ、知ってらしたの?」

 ………取り(つくろ)うの忘れてた。

「今知りましたわ」

「は、え……?」

 というかこの子何か知ってるのか。今の流れで聞くのはおかしいから、今夜把握するか。

 別の世界線ではこの子に聞いているのでしょうし。というか聞く。

 もう周りはどうでもいいので手を振る。これで問題ない。

「そういう力です」

「ただ者じゃないってこういうことでしたの…」

「どんな評判ですか?」

「ある意味最強、と」

「……」

 かなりめちゃくちゃな。攻略手段がかなり少ないから間違っちゃいないかもだけど。

 とりあえず耳元でささやく。

「私の敵は孤独だよ、ひとりぼっちだと弱い」

 自分側がそうでも、相手側がそうでも大分可能性が削れる。そうなるとちょっと困る。

 そもそも可能性の引き出しに限度があるし。

「なるほどねー、…はぁ、多分あんま考えてないんだろうけど複雑。もう行こうか」

「そうだね。それと、そもそも悩みすぎる相手だと結論が見えないんだけどね、今とか」

「いや、悩むよ。もしかしてそんなに先は見えない感じ?」

「基本はねー、無理すればもっと先も見えるけれど、その分範囲やら精度やら落ちちゃうね」

「なるほどナー、具体的な量は隠すんだナ」

「うーん、例えば私のお父さんでも殺せないのに、って言葉、どういう意味かまるでわかってないよ、ぐらいの精度」

「ん~、あー?それぐらいは見えるんだ………あの、隠すのか、それ?」

 大体わかるのか。

 お父さんの抱えた秘密、何だろうね?この子も……他の国の王?の家系の人も知ってるのに、よりにもよって私からわざわざ隠すようなこと。

「あまり洞察力はないみたいだけど、お父さんの目に見えてる範囲の支配力はすごいよ」

「知ってる。あの男はこの廻金世界で最高クラスの脅威だ」

 そんなにか!

「さて、次は犯人探しか」

 む、誰か近づいてきた。

「私には捕まえられないみたいです、しかし私の制御の外にはいない、といったところでしょうか」

「なんか今徒労(とろう)に終わるって断言された気がしますわ」

 こっちも早いなー。

「クアーロ様、こちらでマリル臨時宰相がお呼びです」

「そう。ではまたお会いしましょう」

「ええ、またお目にかかるときを楽しみにしてますわ……あ、これちょっと違うわ」

 二人に笑われた。しょーがねーだろ女王になれてる訳ねーんだからよ。

 へりくだるんじゃねーぞ私。それでもいいからこのままで済ませるけど。


 ◎視点 マリル・ブルーム


 私の予想通りなら、お姉ちゃんは大分辛辣にやりとりを済ませたと思う。下手すれば罵倒し((ののしっ))て終わり。

「ばとーよくない」

 パインに考えを口にされました。うん。そうだね。こくこく。

 返してくれた。かわいい。

「アントマン差別ということもないのだろう?」

「単純に衛兵が気に食わないだけみたいです。助けてもらえなかったから」

「なるほど」

 それにしてもだるい。昨日の疲れ取れてないな、これ。

「あまり詳しくはないが、これについて全くわからないのだ。なぜ本体の補足ができない?」

「相当高度に魔法を隠蔽したのか、メンタル内部で特定の箇所を転移し続けているのか、ですっけ?」

「はい!女王陛下の妨害から未だメンタルより物資の補給中と推測しているとのことです!」

 にしても、頭が回らない。目の前のアントマンの外骨格が実質全裸とかいう事実が頭から離れない。

「落ち着くんだ私」

「どうかなさいました?」

「ごめん、お水取って…」

「あ、はい。どうぞ」

 水を飲んで落ち着こう。

「パイン、ちょっとフォリックさんにお届け物」

「はーい!まかせて!」

 忘れてた。


 ◎視点 アルマ・ブルーム

  マル地区 廃倉庫解体番号23


 ……捜し物も諦めた方が良さそうだ。

「見つけたのに補足できてない…?」

 周り引き裂くか?やるか。

My (まい)instinct (いんしてぃんくと)understand(あんだーすたんど)me how to (みぃはうとぅ) use the (ゆーずざ)life(らいふ).(私の本能が私にライフの使い方を理解させる。)」

 禁術、やりますか。

Drastic (どらすてぃっく)search(さーち).(根本的調査。)I elim(あいえりみ)inate (ねいと)hindrance(ひんどれんす).(邪魔は排除する)

|For my dearふぉーまいでぃあ mother(まざー),……lf?(愛する母のために…?)

majic time(まじっくたいむ) start now(すたーとなう)!(魔法の時間が今始まる!)」

 なぎ払え。

 倉庫の中に道を張り巡らせる。

beginning(びぎにんぐ) flare(ふれあ)(始まりの燃焼)」

 張り巡らせた魔力の道に、火の玉を与え、すべて発火させる。

 神様は張ってもらうところまでしか助けてくれないし、ちゃんと制御し続けるのが一苦労。

「っあん!?」

「いってて」

 相手の体が足にかすった。高速移動か。

「狐?」

「だる…journey (じゃーにぃ)and jumpin(あんどじゃんぷぴん)()(旅とジャンプ)」

 獣人ですらない狐だった。

 そしてそのまま消えた。

「逃げ特化過ぎない?」

 さすがにあれを仕留めろと言われても無理があるんだよなぁ…。なんとか潜入特化とは言えないのが救い、か。

 不意打ちって概念もあるし、そのうち仕留める機会もあるでしょう。

「いじめるにもほどがある」

 それはそれとして私一人ではほぼ無理。教えてもらえてるだけの私では、勝ち目があるのかどうか…。

「強くなる方法がほしいなぁ…」

 後で聞こう…。


 ◎王城 エントランス

  日没ごろ


 帰ってきたよ。もうそろそろ夜ご飯かな。

「急ですみませんが、編入テストを受けていただけませんか?」

「あ、はい」

 その前にテストがあったらしい。


 ◎王城 女王の間

  テストは難しかったぜ


 難易度バラバラすぎたんだよなぁ。三姉妹全員に合わせるテストするのやめろ。

 まぁそれなりに解けた。知識系は最速満点回答できるしな。

 ただ最後とんでもなく複雑な空間を解く式があったんですけど。あれ無理だよ。

「夜を食べ終えたところで…thinking (しんきんぐ)accelerate(いくせられー)(思考は加速する)、memory (めもりー)checker(ちぇっかー)(記憶確認)、memory(めもりー) editor(えでぃたー)(記憶の編集者)」

「ここでやるの…?」

「運命を変える余地がないだろうし、ここでいいと思うよ」

 さて……明日は、大してやることなさそう。

 指示だけ出して終わりかなぁ。

アルマは集団戦力の扱いは諦めてますね。


追記 3,4月ほど経過し今もなお完成していませんがさすがに一年周回遅れで再開したりはしないです。前回最後(まだ後日談など作成中ですがそれ抜きで)の投稿までの分を投稿するまでの時間は保証しかねますが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ