2-2 一日の始まりとその記憶
◎視点 アルマ・ブルーム
ブルーム王城、女王の間より
一日経過、歌の月(3月)27日 朝より
朝です。大きなベットはふかふかだけど、ふかふかすぎて埋もれて犬を思い出してこわくなったので布団で寝てました。
おふとんはいいぞー。
いいんだけど。今それより寝癖が気になって気になって。
えっと、My wisdon…
「My wisdom teach me how to use the mana.(私の知恵が私にマナの使い方を教える。)」
あとどーしよ?操作する、はcontrolかな?まぁ、大体あってるはずー。
「My hair is controled (私の髪は制御される)…」
うーん、この先分からない。呪文なんて大体でいいんだけども。
「by me.(私によって。)」
でいいかな?やってみよう!
「majic time start now!(魔法の時間が今始まる!)」
ふぅー!まずまずかなー?詠唱は、省略できたりできなかったり。私は大分できる方だけど、だからこそちょっと苦手。単語帳見たまま叩き込んでる感じ。実際、ニュアンスが伝わればいいってところあるし。
ベットにおいてあった手鏡をとって、確かめてみる。うん、オッケー!
さぁ、一日の始まりよ!って始まりよ!じゃないし。
パイン起こそう。
「ほら起きてー」
「ふゃーい」
このベットで寝てたっけね。
「だっこしてーまだねみゅいー」
あーはい。…重いんだよなぁ。
「しつれいなことかんがえたでしょ」
「ごめんちゃい」
あっさりばれた。
だっこして食堂に向かう途中、男の人とすれ違った。若いねー。
「アルマ様?」
あなたは?
「っと、私はバレッタ・ラファエルと申します」
あ、シャメルさんの弟の。
「お久しぶりです」
「あれ、覚えてたんだ?じゃいいや。姉さんは元気してた?」
あれ、どっかからの帰り?
「あ、はい、元気でしたよ」
「おねえちゃんおなかすいたー。あともーおろしていいよ、ありがとう」
パインが話を切った。まぁ大丈夫でしょう。お母さんみたいに勘が利くからか、パインは大体空気が読める。
「それでは、失礼させてもらいますね」
「いえ、失礼しました、女王陛下」
さあて、行きますか。
「パイン、手つないで」
一応最近使われてる思考能力強化も使えるんだっけか。パインが使ってるところ見たことないけど。
適性が人によってあまり変わらない魔法である思考能力強化魔法…ながいから思化魔法にしよう。今思いついた。今更!
この魔法はなんか面倒なのよ。使うとき細かいこと思いだそうかなーってもん。
ま、私は別の魔法と併用(いっしょにつかう、ってこと)してしか使ってないからよく覚えてないだけなのよね。
今わざわざ引き出さなくていいでしょ。
と、食堂ついた。
「豪華なのはいいって言ってるのに…」
というマリルの発言。
「といわれましても、そういった料理とその余りでまかない作るのがほとんどなので」
シェフも苦笑。
「ディアン王にも同じこと言ってたな、マラカッタ男爵」
お父さんも私の後ろで苦笑。というか、あの人も貴族なんだ。
「偉い人なんだねぇ」
「皮肉にしか聞こえねぇからやめろ…。ちなみに、メイドとか雑用してる人さえ貴族なんだぜ、この王城」
え。
「ああそうだ、貴族には爵位があってな、下から男爵、子爵、伯爵、侯爵、そして一番上が公爵な訳だが、こういった役目は大体子爵の家族に与えてるようで、あの人は謎なんだよなぁ」
「おぼえた」
「パインえらい!」
マリルがパインをなで回す。
「パインの食べる邪魔になってるよ」
「あ、ごめんねパイン」
パインの髪、後で整えとこうか。
とりあえずお父さんの疑問について、細かいことは王様しか知らなかったのでしょうけど。今日調べてもだめそう。
さ、私も座って、いただきます!
朝食なんだったっけ?
ああ、さっきっから私の語りかけあるのって、記憶整理魔法のせいなのよね。この魔法なんか過去に語りかけを持ってくるせいでえらいこっちゃ。
ま、今語りがいい加減ってことは、今日のうちに詳しく語れるのでしょうね。
うん。
あれ、また、いしきが、とおく……?
ご飯食べきる前にこれはちょ…。
◎ ブルーム王城 女王の間
あー、またかー。
「お姉ちゃんまだそれ?」
頭が弱いのか、食事後(?)たまに意識が飛ぶ。
ここは私の部屋だね。居るのはマリルとシャメルさん。
「ん?パインは?」
どこいったの?この部屋には居ないようだけど。
「パ…インはお父さんに叱られてる」
パパっていいかけた?それより、叱られてる?どうして?と思い、なんとなくベットから起きて外を見る。
「うわぁ」
中庭の一部が焼けていた。マジかぁ。パインの魔法なんだろうなぁ。
パインの魔法はバリエーションに欠けてるから何を使ったかわかりやすい。
(この規模の時点で一択)
この、三回テキトーに線をひいたような焼け跡からするに、ライトニングドラゴンだろう。
…ん?あれ!一匹厨房につっこんでんじゃん!?
雷のドラゴン、というより龍か。を暴れさせる、辺り一面焼け野原にしてしまえる危険な攻撃。パインのもつ魔法の中で、直接的に攻撃する魔法はこれだけ。それでも身を守るのには十分強いだろうけど。むしろ周りを巻き込むから危ない。
あれを何で使ったのやら。まぁお父さんが追求してくれるしそこはいいや。
ちなみに、私的には龍は蛇っぽいので、ドラゴンは、羽の生えたトカゲ。って考えてる。けど本来エーデ語では龍、白銀の言語の一つ…英語ではdragonらしい。
エーデ語は北の果て、エーデ民族地域からの言語。白銀にも同じような言語があり、その日本語の影響で、ああ、日本語だった。目本語って間違えた子のせいでこんがらがるんだよねぇ。で、その影響で世界中に広まった、と。
旧ブルーム語はお母さんが知ってたはず。私は知らない。
「じゃあマリル、直すの手伝いに行こうか」
「はーい」
◎ブルーム王城 南の中庭
と言うわけで恐縮されながらお手伝いを申し出て、資材運び。
「しっかしおてんば女王というか、いやおてんばじゃあ失礼だなぁ、こんなにも心優しいんだし」
「おいおい、そもそもが無礼だぞ」
おてんばってそんな悪い意味だっけ?
「よいっしょ」
私も運ぶ。おっもい。
にしても、私が女王である意味ある?教養なくてもおかしくないから、恥をかくことになりかねないのに。お母さんが教えてくれたからよかったけどさ。
かなり事情がこんがらがってるんだろうけど。せめて、理不尽人間の一人や二人いたら……いや、十人以上いないと焼け石に水かな?まぁたくさんいたら無理矢理この事態の理由をまとめられそうだけど。
だいたい、ユーク伯父さんって子供いるのよね。たしかメランちゃん。その子じゃだめな理由が分かんないし。さらわれたのかもしれないけど、聞いてないし。
ねぇ、怖いんだけど。逃げていい?だめ?
さて、と。これで終わり。次は、ない?
「資材はひとまず運びましたぁーー!」
同じことに気づいたらしくめーーっちゃくちゃ大きな声でマリルは叫んだ。気が利くね。ちゃんと見習わないと。妹を見習うってかっこ悪いね。
「了解だぁ!!」
遠くでガタイのいい大男が答えてくれた。あっちいたらうるさそうね。
そろそろ、お昼ごはんかしら。でも厨房こわれたんだよなぁ。
「女王様たち、昼メシどーするんでぇぃ?」
「どうしようね?」
マリルと大工の一人が話していた。というか。
「今はアルマと呼んでくれない?正直平民歴12年弱には荷が重くて」
女王様よびなのはしょうがないけどむずかゆい、という感じなので、こういうときはね。
「ああ、アルマちゃんが構わんのならええんけど」
あっさり。助かるよ、おっちゃん。
「昼ねぇんなら嫁が来るげん、サンドイッチ一緒に食おか」
おお!そりゃあよかば!
あ、うつった。
「ありがとー!」
「かまわんわい、たいしたことでもね」
こん年の子を迷惑とはおもわんだろ、と小声で言うのを聞いてなおさら申し訳ない。
「おお、噂すればってやつだべさ」
おー?きたー?
「あなた、その子貴族様なんじゃないの?」
「あ、あの」
あ、娘さんも来ましたね。っていっても、あっちの方が年上そうなんだけど。相変わらずの私の不遜さにあきれた。まぁいつものことだ。
「ど、どうかしました?」
話しかけられたら返さないとね。
「あなたは、えっと、どなた?」
「えっと、私?私はアルマ」
まぁこれだけで私が女王だとは分からないだろう。と、思っていたのだが。
「アルマ、って!もしかして、あっ、と、あの、…」
あれ?ばれてるぞ?
「アルマって、一つ下の学年にいた子……あっ」
お母さんのこと学校にひろまってた。
そう、あれは1年生の5月、授業参観の日。
あろうことか、お母さんがふつーに来たのだ。まぁそれだけなんだけどそれだけで済むとでも?って。よくある普通の服、はっきりいってよそ行きの服ではないけど、それでもその教養による美しい所作は目立つ。そこについてきてたマリルがおねえさまと呼んでとことこと私の所に来て、おかーさまときたよーって言う。はい。以下略。
まぁ、お母さんがリズベット、平民に嫁いだ方だ、と分かったから貴族扱いされなかったけど。なんかお父さんも有名らしくなんやかんやてんやわんや。
何がひどいってどうあがいても内容が絶対に聞き取れないらしいことだよ。後この事態、回避不能なのか…?
「いろいろあって、短い間王家の人間としていることになったんです」
ってとこか。
「た、大変そうだね」
「まぁね」
そりゃあ大変だよ。
「あ、と、忘れてた。わたしはハイナ」
ハイナちゃんね。おぼえとくよ。
そんな感じでなしくずし的な流れでお昼ごはん。
ハイナちゃんのお母さんのサンドイッチ、おいしかったです。
◎ブルーム王城 東の中庭
あのあとは、専門的なとこに入りそうなのと魔法が使えるとはいえ子供にはきつい力仕事なのでやめた。今は、庭でベンチに座って見学してる。マリルはいま、シャメルさんと牢屋の点検中。
ぼーっとみてると、1匹のネコが迷い込んできた。いや、入ってきた。
このネコ、知性があるな。使い魔か。
「にゃ、ばれちゃったかにゃ?」
しゃ、しゃ、
「「しゃべったぁーーーー!?」」
パインとおどろく。って、いつからいたの?
「パイン、そもそもこれどうしてこうなったの?」
ネコの前にしゃがみ込んだパインに聞くと、おどろきのこたえ。
「あのね、ノインおばさんがふしんしゃあつかいされて、きずかなくて、ついまほーどっかーんしちゃったの」
ノイン伯母さんはスパイやってる人。気配が無いに等しくて、それによってかなりたちの悪い隠密魔法がつかえる。
「ノインおばさんみたいなひとが、はんにんなんでしょ?」
だからってことじゃないんだろうけど。にしても見つかるとは、あの人かなり油断したな?
「……いじわる」
答えるわけがないだろうに。あと、私も聞いたわけじゃないし。死ななかっただけよ。
「ねこちゃん、おなまえなんですか?」
しかし、そうだとすると、ノイン伯母さんはお父さんに小言くらってるかな?
「名前はないよ、つけてくれるかい?」
で、パインはもう許した、と。
「えーと、くろいから『くろ』?しっぽふたつで『ふたちゃん』?あ、おなかしろい、『しろは』?」
「なかなかいいのないのかな?」
この子たちは何してるのかがわかんないんだけど。話聞いてなかったわ。
………。
なるほど、うん、割とどうでもいい。
「まほーのねこだからウィッチで!これならいいね」
「じゃ、僕はウィッチだね。よろしく!ところで、魔法のネコってどういうことだい?」
ああ、それ私も知りたい。
パインは、立ちあがって一回転。そしてウィッチを指さしどや顔で言った。
「ウィッチはまほーでうまれたいきものなんでしょー!」
えー!?とでもリアクションするか。
「わざとらしくなるよ」
「うぐ…」
「いわゆる使い魔、だね。正解!魔法の解説でも聞きながら、紅茶の時間にでもしたらどうだい?」
◎ブルーム王城 王族の間2 パインの部屋
午後3時ごろ
「My wisdom teach me how to use the mana.(私の知恵が私にマナの使い方を教える。)Tea time now.(今がティータイム。)」
ウィッチの魔法が響き渡る。
「tea cup,tea,plates,sweets,table,tablecloth and chair.(カップと紅茶、皿とお菓子、テーブルとクロス、そしてイス。)are we ready?(君たち、準備はいいかい?)」
そろそろ、発動するね。
「majic time start now!(魔法の時間が今始まる!)」
紅茶とお菓子を窓際のテーブルクロスのきれいにひかれたテーブルにのせ、イスを二つ用意して。
それらを全て魔法一つで用意した。
「さて、語ろうか。その前に、召し上がれ」
「いただきまーす!」
紅茶とケーキ。とってもおいしい。
ウィッチは、テーブルにスペースを確保し座った。
「さぁ、どこからにしようか?」
◎ウィッチの語り
要約してくれるそうです。
この世界、つまり廻金の外にある白銀には、魔力――マナ、妖気――オーラに当たるものがない。生命力――ライフに当たるものもないようだが、濃度の高いライフ、つまりは魂もないというのはふしぎな話。なんでふしぎなのかは省くね?
幻銅の方には逆にそれらしかないという。石も光も木も空も星も火も水も雷も砂もない、生物と呼べる者は魂だけがそこにある。
廻金には、どちらもあるのだが、今はマナなどの方を話していこう。魔法の話だしね。
魔法。それはマナ、オーラ、ライフによって起こせる。詳しく言うとマナによる魔術、オーラによる妖術、ライフによる禁術の3種に分けることができる。これ以上は特にまとまったカタチはないと言っていい。
ちなみに、獣人は妖術に特化している。これは歴史にすら絡むため、説明は「獣の部分の先祖が妖術、というより妖気に特化しているため」程度にまとめておくよ。
虫人は付与術とも言われる身体能力の強化を使う。君たち純人には扱えないかも。例外はあるけど。君たちはそれができるかもね?
またアルマたちにはわからないから僕がいう必要があるのかなぞだが、マナなどに漢字をつけているときは、魔法を使うとき以外、医学などの分野でつかうのが一般的。
ここからは、それぞれの解説。
魔力は、エネルギーとして使うのがかなり効率がいい。そのうえ、発散=熱を出すことと、吸収=熱を取ること=冷気を出すことの両方ができる。ちなみに「=」でつけたが、「エネルギー=熱」ではないため、ほかにも使いようがあるが、意識的でないと制御しにくいのもあり、一回使えばしばらく大丈夫、ということはない。
そのため、マナによる魔術は物を動かしたり、花火ドッカーンしたり、氷を作ったり、あとは「ゴーレム」といわれるようなものを創るのにも向いているが、これら全部維持するのには向いていない。キャッチアンドリリース。
妖気はそれそのものが電気でもあるため、電気などは才能と使い方次第ではこちらの方が効率がいい。また、普段は意思によって形を変える、というより感情を表す。だからか、妖気をみたと言いだした人は少なくない。
そんななので、オーラを用いる妖術は、明かりの代わりをしたりが基本だが、本人の性質やらでいろいろできる。音と光は五感に関わるのかだいたいの妖術を扱う人がむいている。
生命力については、魔法的には命そのものといえる。禁術による攻撃を受けると生命力がうばわれていき、最終的には魂を壊され死んでしまう。ちなみに攻撃が強すぎると魂が丸ごとうばわれてしまう。しかし、魂はあまりにも生命力として濃いため、そうはなりにくい。
これらのことから、ライフを元とする禁術は、傷つけるために使われるのだが、同時に、生命の召喚を可能にする。こうやって出てきた生き物を使い魔という。
僕はこの、使い魔なんだけど、ほかと大きく違うのは、特別することがないということ。
基本、やって欲しいことがあって創られ、終わったら消えるから。
◎視点 パイン・ブルーム
もぐもぐ。たべおわっちゃった。
「あとは、魔法を起動するときの言葉、わかる?」
もちろん!しってる!
「My wisdom teach me how to use the mana.―――だよね?」
「そう。それが魔術の起動にいるわけだ」
やったー!
「禁術はMy instinct understand me how to use the life.(私の本能が私にライフの使い方を教える。)だね。妖術は使ったことないや」
それ、うそ。
えっと、もういっこケーキたべたぁーいー。
「ちょ、身を乗り出すとあぶないよ?アルマとってやっ…」
あっ、テーブルが――
「あぶなっ」
ばこーん、となる。
おねーちゃんがおさえてくれたからたおれなかったけど、ガタッとゆれたからウィッチはおりちゃった。
「ごめんなさい」
めいわくだったね。いまの。
「うん、これからは気をつけてよ?」
アルマおねーちゃん。
「うん!」
あと。
「ウィッチにも、ごめんなさい」
だいじ。
「だいじょうぶにゃよ、パイン」
ありがと。わぁっ。おひざにのられた。
「あ、ウィッチ、ケーキたべる?」
「いや、それはいらないにゃ。たぶんあまいのだめにゃ」
そっかー。
のこりたべてティータイムはおわり。あれ?
ようじゅつのきどうのことば、なぁに?
……アルマおねえちゃんこたえろー。
◎視点 アルマ・ブルーム
ブルーム王城 3階外向きバルコニーより
午後7時
結局、ウィッチは飼うことになった。
はて、もう夜か。
「女王陛下」
声をかけられたので振り返ると、フォリックがいた。
相変わらず目立つ白っぽい髪と金色の目。こうしてみると、私より背は高いのかな?まぁ大差ないか。それより、前は意識してなかったが、狐の耳としっぽ、つまりは獣人であることだ。
ミラージュス、ってことは獣人の国である妖連邦ミラージュの一地域の長の家系なのだろう。王子。
「フォリック殿下、あー………めんどーだから素でいていいかな?」
今思うとこの発言ぶっ飛んでたと思う。よく聞いてみようと思ったよな。
「そうか、その方が楽そうですね。あなたは王城で一日すごしてどうでした?」
この対応だったけど、さっきの発言は大丈夫だったのね…。
「たいへんねぇ、って感じ?みんなせわしなくて。それと、私を女王にした理由がなさすぎ。なんか利用されてる感じないんだよね」
どうしてもここはわからなかった。
「どうしてもだれか置きたかったけど、一時的なものなので、先王の子のいない現状で継承権が二位でかつ、本来王位を継ぐはずのないあなたが指名されたのだと、僕は思っています」
えっ、と?この言い方から、王の座を一度引退したら、もう一度王になるのはよくないみたいだね?まぁそりゃそうか。というか何で二位?
「…ラファエル伯爵家も王家の血を引いてますが、ほかの王家の血も引いてますし、今の血筋が絶えるまではないでしょうね」
へー?あー。よくわかんないけどわかった。
「そういえば、ブルーム王家の証、花弁の火の傷を持っていますよね?」
あー、なんかあったね?魔力を集中させると出てくるんだったかな?
多分そんな意識してないのは私自身だけ。
「ちょっと試すね」
しゅーちゅーしゅーちゃーしゅーちゅー。
はい、ふざけたところでやりますか。
「My wisdom teach me how to use the mana.(私の知恵が私にマナの使い方を教える。)」
どう?どっか出てる?どっかみえるところにあるんだけどなー?なんてね?
「あぁ、右ですか、ふぅむ」
うなづいておく。当然見えるよね。私は右目とお腹。少し後、彼はあくびをして、
「はて、もうねますね。よい夜を。次は緩くお話ししましょう」
「そうだね、またね」
……。
ふぅ、緊張した。
「一人になったことだし、と」
魔法は、基本的には先ほどのように詠唱が必要。
しかし、それはあくまで、この世界になかった言語での注文のようなもの。お得意様なら、一言で注文くらいできるってもの。もしかしたら、場合によってはエーデ語でもいけるかも。
さすがにわかりづら過ぎるけど…。
「thinking accelerate(思考は加速する)」
これが思加魔法ね。
「memory checker(記憶確認)」
ああ、一言と言っても、左記の通り使う言語は変わらないし、幼い、それも3才くらいから一日一回つかっても一年かかったよ。
ってか、思加魔法の解説!忘れてるじゃん!
えっと、これは考え事するのに、情報の処理をサポートする、っていえばいいのかな?まるで、頭の外にも脳がくっついてる感じ、かな?
「memory editor(記憶の編集者)」
今日の記憶に、いつもの補足を書き加えていく。
私には全ては把握できないけれど、それは確かに過去に影響を与え、私を見てる者に、その光景と意味を理解するに足る情報を与える。
分かり辛いことを言っているけれど、要は未来を聞くことができる力を持っている。正確には今、今日という過去に言葉を届ける力。
これのせいかな。精神年齢はともかく体感時間では実年齢より30年ぐらいは多く生きてる気がしてます。検証量はそんな程度ですましてないけど、全通りじゃないから完全じゃない。というか現実の出来事に対して全通りは無理。
私を見ているそれは、神なのだろうか。この世界には、法神と呼ばれる存在が居るらしいし、それかもしれない。
今日はパインのおかげで大丈夫だったけど、か。
明日から魔法飛ばしてお母さんの連れ去りの妨害が必要。
わかってることがばれれば、それも無理だし。難しいな。
いいやそれは。編集終了。
「今日も終わり。さて、このきれいな夜空にあの赤い星は…」
ない……か。あれ、なんかたまにしか見えないよね。惑星ってやつ?
ユリウスに祈ろうかと思ったんだけど。
さて、私の部屋どこだっけ?
「……なるほどね」
ん?……ん?フォリック?うーん、別にいっか。
◎ブルーム王城 女王の間
今日は侍女はいない。
一人で着替えたいと昨日いったからか。ごめんね、ありがと、と思いつつ着替えてベットにダーイブ。ぼふって音いいよね。
でも犬のこと思い出すとこわいので近くにひいてもらった布団で寝る。ほんとありがとう。
「ありがとう、おやすみなさい」
また明日。
◎アルマの夢の中
ネコ。本棚が並ぶ中、椅子に座るネコがいた。
それは、語り出す。
だれに、ともなく。
「魔法と聞いたら、君はどんなものを思い浮かべるのだろうか」
魔法―――?
「次の質問かな」
私、この質問知ってるような?確か私の答えは―――
「魔法とは、君の力となるものに、と作られた。その手で、頭で、足で…体でできないことを楽にする、力に。君が求める力は?」
これも知ってる。でもどこで…?
「さて、誰の答えが、何を見せてくれるのか」
私の答えは、何を見せられるのか?
「楽しみだよ、僕。この役―――魔法神の座につけたのは、僕、ウィッチを創ったゼクスと、ここまで連れてってくれた一番の立役者アルマのおかげだよ」
お父さんと、私?ってゆーか、ウィッチじゃない?
あの子、どういうこと?
「ふふ、アルマにゃんがーんばれ、にゃ!」
◎今日もまた終わり、明日がまた始まる