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光る海 (015)茂木サーキット

『さァ、明日のセミファイナルに向けてポールポジションは誰が掴むのでしょうか?非常に楽しみな全日本ロードレース選手権のタイムアタックです。』と宮部アナウンサーが言った。「どうだ?マシンの方は?」マサミツヘッドが一樹に聞いた。「ヘッド。このマシン、すごいッス!パワーが半端じゃないッス!」一樹が答えた。「だろうなァ、逆に乗りにくいか?多分エンジンの出力的にはそんなに変わっていないと思う。要するにフレームが格段に良くなっているから、そう感じるんだろう。何なら去年のマシンに乗り換えるか?ホンダさん、気分悪くするかも知れんが、レースだからしょうがない。」とマサミツヘッドが言った。「違いますよ。いい、意味で、です。乗りやすさ抜群です。嬉しい気持ちで一杯です。今まで経験したことのないマシンで、対話ができてとっても嬉しいんです。スゴイ奴ですよ、この、マシン。」といかにも嬉しそうに語る一樹だった。「対話ができるマシンか?お前らしい言い方だな、でも、タイムは平凡だぞ、おめえ。」とマサミツヘッドが言った。「あと、もう少ししたら、タイムアタックしますが、まだです。もう少しコイツと話してからにします。」と言ってピットアウトしてコースに戻って行った。『海原選手、未だに平均的なタイムですね、黒沢さん。いかがですか、黒沢さんから見た海原選手のタイムアタックは?どの様に見受けられますかね?』と宮部アナウンサーが黒沢に聞いた。『そうですねぇ、マシンが初めてと言う事ですからねェ。彼的には一生懸命なのでしょうがワークス相手の全日本ですからね。しょうがないのかな?前回の菅生のコースレイアウトと比較すると、裏のダウンヒルストレートなんて、文字通り下りながら最終的に直角の、コーナーリングをしながらトンネルの中に入って行くわけですがこのコーナー、ものすごく難しいですからねェ、ほとんどの選手かなりのハードブレーキングで回って行きますもんね、あそこワ。』と黒沢が言った。(さァ。ここの、ダウンヒルストレートだっけ?下って、スピードは乗るし、90度に曲がった狭いコーナーの所からトンネルの中に突っ込まなきゃいけないんだよなァ!トンネルの穴よりトンネルの側面にぶつかりそうになるぜィッ!!!)と思いながら100M、・・・50M・・・のストレートエンドの標識看板に向かってノーブレーキで突っ込む一樹。その異常な走りを目の当たりしたギャラリーから「ぎょっへェ!!!ーッ!!ヤバいッ!アイツブレーキかけてねェ~ッ!!」と驚愕の声が上がる。「長年、ここでレース観戦しているけど、ノーブレーキでバイクを倒し込んだまま、あのトンネルを目指して進入する奴、初めて見たァ!!あれが、奴のズリズリドリフト走法ッテ奴かァ!!?」「ゼッケン27。アイツが海原かァ・・・すげェ~!!」「メチャクチャすげェわア・・・アイツ!!」「普通はさァ、ここのコーナー減速して曲がってトンネル内で立ち上がりの音が聞こえるんだけどアイツはトンネルの入り口で全開オンになってる。」「半端じゃねェぞ~ォ・・アイツ」「見ているこっちが、怖いわァ!!」と歓声が上がった。(ヨシッ!!今の感じだ!!今まで走ったどのコースよりも下りながらの長いストレートだ。直角に曲がって行くので見えにくいコーナーでもある。けど、残り看板を目印にして曲がって行けば何とかクリアーすることが分かったゼイ!!よし!!リズムが取れたゼッ!!相棒ッ!!)と一樹は思った。「ふうむ。少しもタイム上がらんなァ?」とヘッドが言った。「今日の、今日じゃ、無理なんじゃないかな?」とミチルがヘッドに言った。「いいや、奴はそんな人間じゃないはずなんですがね?」と、どうしたのか?と言う表情でマサミツヘッドが言った。『注目の海原選手、どうですか?』とアナウンサーの宮部が黒沢に聞いた。『タイム的には平凡ですね。タイムだけ見れば・・・ですが。』と黒沢が言った。『と、言いますと?』とアナウンサーが聞く。『海原選手、コーナー、コーナーを見ながら、何かしている様に見えるんですよ。まだ、本格的なタイムアタックはしていないのかも知れません。』と黒沢が言った。そんな中、ピットに戻った一樹が「タイムアタック終了の15分前まで休んで最終のタイムアタックに行きます。」と、ヘッドに告げた。分かったとヘッドが言ってヤストモと一緒に最終チェックを行なった。5分位休んだだろうか、一樹が最終ランに飛び出して行った。一週目、一樹がホームストレートを全開で通り過ぎる。オーナーと、マサミツヘッドが並んでストップウォッチを押した!。「いい所、2週位かしら?タイム取れるのは?」とオーナーがヘッドに聞いた。そうですね。とヘッドが答えた。しばらくして、その一樹が一周目を終えて帰って来た。カァーンッ!と言う甲高い音と共にホームストレートのスタートラインを跨ぐと同時に、オーナーとヘッドの二人が同時にストップウォッチを押した。そのタイムを見てオーナーとヘッドが驚きの表情で顔を見合わせた。同時にモテギサーキットの公式タイムも電光掲示板にトップに表示されると同時にアナウンスが流れた。『うわッと!!ゼッケン27海原選手、この周回で1分44秒518って!これって、計測ミスですかね?・・・いや、違うようです。計測ミスではありません。ええッ!!しかしこのタイムはMOTO GPのタイムを上回っていますよ。黒沢さん!』とアナウンサーの宮部が興奮して言った。と、同時に電光掲示板を見た客席からも悲鳴に近い驚愕の歓声が上がった。『いやァ、驚きました。あっさり抜いちゃいましたね。』と黒沢が言った。『そうこう、言っているうちに、海原選手2周めが来たァ・・・果たしてタイムは!今、ホームストレートをタイムアタック終了のチェッカーフラッグを受けながら、スタートラインを通り抜けたァ!果たしてタイムは??・・・っと!1分44秒356だァ!!またしても自身のコースレコードを更新したァ!!一体どこまでタイム伸ばすのか?』とアナウンサーの宮部が興奮しながら言った。

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