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光る海 (014)茂木サーキット

4月もそろそろ、終わろうとしている、金曜日の茂木サーキット。全日本ロードレース開幕の日の早朝。「う~ッ!!まだ、肌寒いなァ~・・」薄暗いサーキットのパドックから少し離れた駐車場に止めてあるロードランナーのロゴの入ったトランスポーターの中で、マサミツヘッドがメカニック担当のヤストモとモーニングコーヒーを飲みながら話していた。「まッ!日が上がってくれば、温かくなるべ。」とマサミツヘッドが言った。「いよいよ、全日本ロードレースが始まりますね。」感慨深げにヤストモがヘッドに言った。「ん。始まるな。」とヘッドが答えた。「全9戦中、アイツ何勝するんすかね?」とヤストモがヘッドに聞いた。「そうだなァ・・・ワークス相手に1勝でもしたら、とんでもねェなァ。まッ今日から本格的に始動するわけだが、茂木でのレースは初めてだからナァ、タイヤテストでもコースのレイアウトに四苦八苦してたしな、まッ、ワークス勢を除いた、4~5番手には入れれば御の字じゃわい。」とマサミツヘッドが言った。「しかし、今回のマシン、あれって、半端じゃァないですよね。」ヤストモが言う。「ああ、RC213Vな。あれ、すげェ~マシンだな。市販車で2000万超えるらしいしな。ホンダさんも一樹にマシン提供してくれるなんてな。一樹がすげェんだろうな。他のワークスには負けるわけには行かないという、ホンダさんの意地だな、ありゃ。まっ、純ワークスマシーンじゃァ、ないがそこそこの戦闘能力は秘めてるぞありゃ~。」と、マサミツヘッドが言った。朝の7時半に午前9時レース開始の前の車検が始まると同時にドライバーのメディカルチェックも始まった。「一樹君。ドクターチェックを受けに行くわよ。」と、ロードランナーのトランスポーター内でモモに言われた一樹が「はァ~い。」と言って簡易ベッドから起きて来て、「おはようございます。モモさん。」と一樹がまだ眠そうにしながらモモに言った。「もう!神経が鈍いのか、図太いのか。全日本の開幕戦なのに起こすまで寝てるなんて、見たことも、聞いたこともないわ。早く顔を洗って目を覚ましなさいよ。」本当に、もう。とモモに、言われる一樹だった。無事にドクターチェックを済ませた一樹がロードランナーのパドックに

姿を現した途端、一樹に向けてバシャッ!バシャッ!っとカメラマンからのフラッシュが浴びせられた。そんな中「OKだったか?一樹」とヘッドがドクターチェックの結果を聞いてきた。「はい。大丈夫でした。問題なしです。」と一樹が答えた。「海原選手、朝日スポーツですが、全日本戦に向けて一言お願いします。」「海原選手、今まで待っていたファンの為に一言お願いします。」などと一樹の周りにカメラマンと取材者が押し寄せて質問を迫った。「はァ~い!!すみませんが、レース前ですので取材関係はご遠慮下さい。インタビューはレース後にお願い致します。」とメディアに対してスタッフの対応がピリピリしていた。当の本人、一樹は全然気にしていない様子だったのだが。そんな中、午前11時に一回目の公式予選が始まった。各車が一斉にピットロードから、飛び出して行く。「さァ、一樹。一発目そろそろ行くか?」とマサミツヘッドから声を掛けられた。一樹が「はい。」と答えてシャッターが徐々に開けられてガレージから勢い良く飛び出そうとしていた。シャッターを開けると、太陽の光がガレージ内に飛び込んできて(いい、一日となりそうだ)と一樹は感じた。「出て来た、出て来た!!ゼッケン27。一樹がんばれよォ~!」「グウ~ッ!!黄色のマシン。ゼッケン27。RC213Vかァ。ホンダからのスポンサードだってさ。」「スゲーッよなァ。フルワークスじゃないそうだけど、一樹ならとんでもなく、速いんだろうなァ。」一樹のマシンを見ながらファンやメディアが話していた。場内アナウンスが言う、『さァ、いよいよ、始まります全日本ロードレース。解説は、お馴染みの元全日本の、チャンピオン黒沢勝彦さんにお願いします。実況は私、宮部でお送り致します。さて、黒沢さん、第一戦のモテギサーキットがいよいよ、始まりますよ。注目の海原選手、どうですか?』『そうですね、いやァ、待ちに待った開幕戦。長かったァ、いやァ、海原選手に早く会いたかったですよォ。昨年の最終戦での怪物的と言うか、化け物走りが今日から3日間見られると思うと非常に楽しみです。・・ですが、心配していることもあって、RC213Vには海原選手、見る所か一度も乗っていなかった様ですからその点ちょっと、心配しております。今日がシェイクダウンとなったみたいなんです。』と、黒沢が言った。『ホンダさんも、もう少し早くスポンサードしてあげればと思うのは私だけでしょうか?』と宮部アナウンサーが言った。『いやァ、やはりポット出の新人にいきなりのマシン提供は、社内の賛否両論があって、今日まで提供を待ったのは当たり前と言えば、当たり前ですかね。?逆に良く提供したな、と思いますよ。過去、たった、一度のレースでしたからねェ。有望株が多々いる中での決断には時間がかかって当たり前ですもん。しかし、ホンダさんも、勝負しましたね。』と黒沢が言った。『勝負と言いますと。?』とアナウンサーが聞いた。『海原選手、ここでとんでもない結果を残せば以降はホンダさんがバックアップすることになりますからねェ。黙って海原選手と契約も・・・となりかねません。当然他社は一歩出遅れますからね』と黒沢が言った。『なるほど、そうとも言えるわけですね、押し切れるか海原選手。コース上はホンダワークスの田中選手に続き、次々にタイムアタックに出て行ってます。ヤマハも新型YZRーM1を初戦から投入してきましたね。』とアナウンサーの宮部が言った。『そうですね、とってもポテンシャルの高いマシンと伺っています。そればかりじゃなくて、スズキも新型のGSV-Rそしてカワサキは耐久使用のZXニンジャをそれぞれ投入してきて、ものすごい戦いとなりそうです。』と黒沢が言った。『どのメーカーも初戦から燃えていますねェ~』と宮部アナウンサーが言った。『ヤマハは下馬評通り速いですか?』と宮部が続けて黒沢に聞いた。『非公式記録ですが、茂木でMOTOGPのロッシ選手が出した1分45秒320に迫る45秒580を出したらしいです。』と黒沢が答えた。『へェ~すごいですね』とアナウンサーが言った。『ええ、エンジンはもちろんですが、フレームも大幅に向上したそうですからね。』と黒沢が言った。『そのヤマハ、斎藤が早くも1分49秒933というトップタイムで去年の自己最速だった1分51秒092を大幅にアップしてきましたァ!!』とアナウンサーが言った。『すごいですね、昨年のポールタイムをいとも簡単に破っちゃいましたね』と黒沢が言った。アナウンサーが言う。『ホンダの田中のタイムは1分50秒485で現在は2位。スズキの石神は1分51秒038で3番目のタイムです。』『いやァー、昨年の全日本のポールタイムが1分50秒878ですからねェ、スタート直後でこのタイムはヤマハワークス、速いですね。』と黒沢が言った。

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