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1.9
それは本番が始まる前の少しの休憩のとき。
わたしは、自販機から出てきたお茶を手に取る。
やっぱお茶だよねー。
無駄に糖分を摂ったって、肥えるだけって知ってるもんね!
それにぬるくてもおいしく飲める。
いいよね。
ほんと。
「好きだよ、わたし、お茶のこと」
「うぇ!?」
何やら声がして、思考から覚醒する。
わたしが空想に耽っていると。
ゆずも飲み物を買いに来ていたみたいだ。
全然気づかなかったわ。
てか、頬が紅潮してる!
気合も入っていたし、一球入魂ってタイプなんだろうな。
集中力すごそう。
わたしは、すごすごとレーンに戻ろうとすると。
「ちょ、ちょっと待って、さくちゃ……!」
「?」
「いやなんでもない、なんでもないや……」
なんかゆずが挙動不審になっている。
珍しいな。
◇
そしてわたしたちは運命の本番を迎えることになる。
みんなでわいわいやるのも楽しいけれど、真剣勝負でぶつかるのもまた違った楽しさがあっていいね。
増えるスコア、跳ねる心臓、祈るわたし。
試合結果は思いもよらない結末へと、至る。