1.10
結論から言えば、わたしは窮地を脱した。
何より、燦然と輝く114点に心が躍る。
だけれど。
意外だったのはゆずだ。
スペアをも逃しに逃して、81点だった。
あのゆずでも乱れることはあるんだな。
恥ずかしさか悔しさか、耳まで赤く染まっている。
結果、あおいとかえでが大接戦し、りんがぎりぎり三桁に乗せたので。
すなわち、ゆずが最下位となり、この熱い戦いは閉幕した。
「くそう……なんでこんなことに……!」
「ふふ、でも罰ゲームありの真剣勝負も悪くはなかったでしょう?」
「それはそうだけどっ」
実際、本気のぶつかり合いは熱いね、わたしはついていくのに必死だったけども!
「よしよし」
あおいがゆずを頭を撫でて慰めていた。
ず、ずるい! わたしもあおいに撫でられたいが!?
すぐに撫で終わっていたが、わたしはいつまでも煩悩を消し去ることができなかった。
で。帰る準備を済ませ、わたしたちは出入り口の前で立ち止まる。
「帰りはどうする? タクシー使ったとしてもひとり乗れないし」
「バスが走っていてくれたらなぁ」
「なら、二台で乗るのは?」
「富裕層なの!?」
りんとかえでのケイドロがまた始まっていたが。
ともあれ、かえでに帰りも走らせるわけにはいかない。
グーとパーでチーム分けをした結果、
わたしはゆずと乗って、もう一台であとの三人が乗ることになった。
「じゃあ、行こうか」
「う、うん……」
どうしてこんなにしおらしいのかわからないけれど、
そんなゆずもかわいい、と思った。