空の水色
空の水色にはほんとうは色がないんだよ
あそこには何もない
それがいいんだ
ここには物がありすぎる
血と肉でつくられた自分の体と
君の唇を見つめながら僕は言った。
何もないなんて
それはなんて絶望的で
そしてなんて魅力的なことだろう
僕は実体のない愛になって
君も実体のない何かになって
二人で空をゆらゆら漂うんだ
何も考えずに
何も不安に思わずに
それはなんて水色なことだろう
何もないから
すべてを映すんだ
綺麗な君の心のようにね
すべてを映すだけで
自分には何もない
それはなんて純粋なことだろう
でもそれは許されることじゃなかった
水色は絵の具の色でなければならないんだ
いつかここを離れて行きたいね
空の向こうへ行きたいね
君が一緒に行ってくれるのなら
僕は何も怖くはない