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第80話 ゾンビといっしょ

 俺達は押し寄せるゾンビを始末しながら中央ビルを目指す。

 ホテル付近の個体はウィマが皆殺しにしたが、奴らはあちこちから湧いてくる。

 一連のトラブルで死体は各所に転がっていた。

 そいつらが残らずゾンビになっているのだとしたら、これだけの数も納得だった。


 ホテルエリアを出たところで、前方から十数体のゾンビが現れる。

 ゴブリンと全身鎧の騎士のゾンビだ。

 それぞれが不気味な呻き声を上げており、緩慢とした動きながらも俺達を包囲するように接近してくる。


「上等だ。銃だって捨ててぶっ飛ばしてやるよ」


 俺はナイフを片手に待ち構えると、掴みかかってきたゴブリンの手首を切り裂いた。

 腹に蹴りを打って怯ませて、顎下からナイフを突き込んで捻る。

 さらに膝を蹴り砕いて投げ倒す。


 横合いから迫る騎士はドロップキックで吹っ飛ばした。

 数体のゾンビを巻き添えにしたのを確かめて、倒れた連中の頭部に弾丸をお見舞いする。

 俺は銃口から漂う硝煙を吹きながら告げた。


「すまんね。銃を使っちまった」


 他のゾンビはウィマの手によって斬殺されていた。

 彼女はチェーンソーと戦斧を持っている。


 戦斧は騎士のゾンビから奪ったファンタジー武器だ。

 かなり大型で、大の男でもそう簡単に振り回せない重量だが、ウィマは片手で軽々と使っている。


 彼女は恐るべき身体能力の持ち主なのだ。

 見た目はなかなかの美人だが、フィジカルは怒り狂ったゴリラと同等である。

 数だけ揃えたゾンビどもに止められる相手ではない。


 このグループで唯一の常識人であるベッキーは、俺の背後でサポートに徹していた。

 先ほどから接近中のゾンビを射撃している。

 間隔は遅めだが、的確に頭部を撃ち抜いて黙らせていた。


 この状況でも冷静な上になかなかの腕前だ。

 動作も機敏である。


 彼女は並の兵士を凌駕するタフな精神を持っていた。

 極限状態で完全に才能が開花したらしい。

 この異世界において、それは何物にも代え難いセンスと言えよう。


 俺はリロード中のベッキーに話しかける。


「疲れていないかい?」


「まだ平気よ」


「そいつは良かった」


 俺は手頃なゾンビを撃ち殺しながら応じる。


 中央ビルはもう目と鼻の先だ。

 ゾンビのせいで移動スピードが落ちているが、一時間もかからないだろう。


 標的であるボスはすぐそこにいる。

 異世界に隔離された犯罪の巣に逃げ場など存在しない。

 さっさと殺してその座を譲ってもらわねば。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第80話到達、おめでとうございます! ……今話のタイトル。www
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