第7話 ゴブゴブ
廊下に出た俺は、一歩目から血で滑りそうになった。
足元を見下ろすと、扉の前に倒れる死体がある。
黒のアーマーに揃いのヘルメットとガスマスクを着けている。
どうやら首と腹に弾丸を受けて死んでいるようだった。
それはマイケルの死体だった。
なんとギャングどもに撃ち殺されてしまったらしい。
不運な男だ。
まさか部屋の外にいるとは思わなかった。
「お前は泥棒だったが気の良い奴だったよ」
俺はそう語りかけながら、マイケルの装備品を貰う。
持ち切れない分は他の隊員に投げ渡した。
本人はもう使えない。
有効活用してやるのが一番だろう。
俺はマイケルの死体を引っ張って扉の脇に蹴り転がすと、形ばかりに十字を切っておく。
「さあ、野郎ども。不審な奴がいたらぶっ放せ」
俺は命令しながら、改めて廊下の状態を観察する。
数人のギャングの死体が転がっていた。
射殺されてあるのは俺達がやった分である。
不思議なのが、一部の死体が刃物で切られたり、鈍器で頭部を砕けれたような痕跡が見られた。
部屋に退避した際、何かが彼らに襲いかかっていた。
おそらくはその何者かの犠牲になったのだろう。
「正体がこいつってわけか」
俺はギャングに紛れておかしな死体を発見する。
弾丸で蜂の巣になったそれは、緑色の肌の小鬼だった。
引っ張ることでもないので言ってしまうが、ようするにゴブリンである。