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第43話 愛は爆発

 俺達は帰還を急ぐ。

 道中、立ちはだかるゴブリンは即座に射殺した。

 奴ら全員が銃を持っているわけではないのが幸いだった。

 もし万全に武装されていたら、俺はともかくベッキーは死んでいただろう。


「ねぇ、この道でいいの!?」


「黙って脚を動かせ」


 ベッキーの頭を押さえながら答える。

 すぐさま彼女の頭上を弾丸が通り抜けていった。

 そのまま走っていれば、脳漿をぶちまけることになっていただろう。


「こっちだ」


 俺とベッキーは窓を破って飛び出す。

 安全地帯であるブラックマーケットまであと少しだ。

 見張りのギャングどもが間違って撃ってこなければ一分もかからない。


 しかし、進路上にはスーパーゴブリンが立ちはだかっていた。

 マッチョな体躯にデカい斧がよく似合う。

 あんなものが当たったら、ボディーアーマーなんて関係ないだろう。

 スモークサーモンみたいに切り裂かれてしまうに決まっている。


 後方からはゴブリンの大群が押し寄せていた。

 銃声で釣られてきた連中だ。

 同時進行で動いていた別の班がいるはずだが、なぜ俺達ばかり追ってくるのか。


 文句の一つも言いたいものの、生憎と冗談を言う余裕さえない。

 進むも戻るも困難という素晴らしいシチュエーションだった。


「まったく、モテるならグラマーな美女にしてくれよ」


 俺は苦笑しながら前へと進み出る。

 その瞬間、突進してきたスーパーゴブリンが掲げた斧を叩き付けてきた。


 俺はサイドステップで回避する。

 破滅的なパワーで放たれた斧は、アスファルトの地面を砕いてめり込んでいた。

 もし直撃したらスモークサーモンどころかミンチだった。


 スーパーゴブリンは斧を引き抜くのに難儀している。

 その辺りの知能は普通のゴブリンと変わらないようだった。

 俺は怯えるベッキーに指示を飛ばす。


「ぶっ放せ。浮気男を問い詰める時のようにだ!」


「わ、分かった!」


 ベッキーが至近距離から短機関銃を連射する。

 弾丸が次々とスーパーゴブリンに撃ち込まれていくが、倒れる気配はない。

 鬱陶しそうに威嚇するばかりである。

 目や口だけは片腕で遮ってガードしていた。


 その隙に俺はスーパーゴブリンに近付くと、横から催涙スプレーを噴射した。

 催涙エキスを顔面に浴びたスーパーゴブリンは咆哮を上げる。

 地団駄を踏んで悶絶を始めた。


「よし、今のうちだ」


 俺はベッキーを抱えて脇を抜けて、後方を確認する。


 スーパーゴブリンは暴れ狂っていた。

 仲間を殴り飛ばしながら苦しんでいる。

 そのせいでゴブリン達が追跡を邪魔されていた。

 こちらまで来れずにごたついているようだ。


 その光景で閃いた俺は、温存していたグレネードランチャーを取り出した。

 照準を連中に合わせながら引き金に力を込める。


「地獄で会おうぜ、ベイビー」


 放たれた弾がスーパーゴブリンに直撃する。

 そこから広がる大爆発を横目に、俺達は悠々と帰還するのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アクション映画の爽快感!!
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