第42話 ゴブリンガンナー
「クソッタレが。原始人からチンピラに進化したか」
俺は舌を鳴らしながら笑う。
ゴブリン達は銃を使えるようになったらしい。
ギャングとの戦いで学習し、奴らの遺品を利用し始めたようである。
肝心の銃の扱いはまるで素人だった。
加えてこの場にいるのはたった七匹だが、それでも奴らが同時に乱射するだけで弾幕を張れる。
棍棒やナイフで武装していた頃より遥かに脅威度が高かった。
そんなゴブリンどもが喚きながら発砲しようとする。
無論、そのままやらせるほど甘くはない。
俺は短機関銃の早撃ちで連中の手足を破壊した。
狙いの狂ったゴブリン達の銃撃は壁や天井を耕すが、こちらに命中することはなかった。
その隙に俺はベッキーを近くの部屋に放り投げて、片手にナイフを持ちながら告げる。
「合図するまで伏せてろよ。ここからアクションシーンのスタートだ」
俺は短機関銃を連射しながら駆け出した。
フルオートで弾をばら撒いて制圧しつつ、最も得意な間合いへと持ち込んでいく。
ゴブリン達から苦し紛れの反撃が飛んできた。
しかし、銃口の向きさえ注意していれば当たることはない。
向こうは予想外の攻撃を受けて慌てている。
一方で俺はいつでもクールだった。
弾丸を避けつつ、奴らに銃撃を浴びせて抹殺していく。
そうして残りは三匹となった。
一気に距離を詰めた俺は、弾切れの銃を持って焦るゴブリン達を嘲笑う。
「無駄遣いするなよ。あとで俺が貰うんだからなァ」
ナイフでゴブリンの首を切り裂く。
その間に叫んだ別の一匹の胸や腹を連続で刺して蹴り飛ばした。
突き付けられた散弾銃を押し退けて、最後の一匹の顔面にエルボーを当てる。
返す動きでナイフを突き刺して動きを制限した。
「お?」
滅多刺しにしたゴブリンが、瀕死ながらもまだ生きていた。
血みどろになりながらも拳銃を持ち上げて引き金に指をかけている。
俺は突き刺していたゴブリンを引き寄せて盾にした。
直後に放たれた弾は、そのゴブリンの頭部を粉砕する。
俺に命中することはなかった。
「ナイスショット」
俺は瀕死のゴブリンの後頭部を踏み付けて、横から首筋を切り裂いて息の根を止めた。
刃を引き抜いた後、付着した血を振り払って息を吐く。
これで奇襲を仕掛けてきた奴は全滅させた。
とは言え、今の銃声で居場所が発覚してしまった。
すぐに応援が来てしまうだろう。
目的はこなした以上、さっさと脱出すべきである。
俺はギャングとゴブリンの死体を漁り、穴だらけのバッグに武器を詰め込む。
そして、ベッキーを連れてその場を立ち去るのであった。




