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異世界と金剛(アダマンタイト)の鉄仮面  作者: ユキモン
第一章 ロゼ王国脱出編
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第3話 牢屋で出会った少女

「今夜までここで大人しくしてな、このゴミクズ!」


 牢屋に着き鍵を開け、俺を蹴り飛ばして中へ押し込み、鍵を閉めた後、兵士はそのまま立ち去っていった。


「……さて、こっからどうするか」


 ここからの脱出方法を考え始めようとした時、誰かが声を掛けてきた。


「貴方はなんで捕まったの?」


 声のした方を向くと、そこには俺と同じように手枷をはめられ、壁にもたれかかっている14、15歳くらいの銀髪で耳の尖った女がいた。


「捕まった理由?そうだな……ゴミ共が言うには、俺が災厄をもたらすからだそうだ」

「……そんな理由で?」

「そうらしい。俺は特になにもしていないんだけどな」

「そうなんだ…」

「なんだ?同情でもしたか?」

「…同情なんてしてない…」

「そうか。お前はなんで捕まったんだ?」

「わたし?わたしは、両親にお金のために捨てられたの……お前はもう必要無いって言われて……」

「利用価値が無いなら、せめて金になれということか?」


 俺の言葉に彼女は首を縦に振った。


「そういや、お前の名前はなんだ?俺は矢神悠貴」

「わたしの名前は……シエス・ノワール」

「シエス・ノワールか……お前の種族はもしかしてエルフか?」

「そう。貴方は人間?」

「そうだ。ただし、此処とは違う世界から来た人間だけどな」

「此処とは違う世界?もしかして魔王を倒すために現れた勇者なの?」

「俺は勇者じゃない。ただの人間だ……」

「そうなんだ……」


 そう言うと、ノワールは俯いて黙ってしまった。それにしても両親によって国へ売られたか……


「(コイツは俺とは違った地獄を味わっていくのか……)」


 多分これから先、兵士とかの慰み者みたいになるか、単なる奴隷にされるかの2パターンの未来になるのだろう。

 座っているからよく判らないが、恐らく背は大体150くらいで、顔はエルフということもあり美形、胸は少し大きめ、スタイルも良い。これなら結構高く売れたんだろうな……


「ねぇ、貴方はさっき言ってたゴミ共?が憎くないの?」


 顔を伏せたままノワールは俺に訊いてきた。


「別に、なんとも思っていない。俺は感情のほとんどを失ってるからな」

「感情を失ってる?」

「そうだ。元居たの世界で色々あったからな」

「……どんな事があったの?」

「実の親に捨てられたり、新しい親には毎日殴られる、蹴られる。それに沢山の人間から色々とな……」

「そんな事が…」

「まぁ、俺の事はどうでもいい。で、お前は、お前を捨てた両親が憎いのか?」

「憎いよりも悲しかった。でも今は悲しさも憎さも何も感じない。なんでか解らないけど…」

「そうか……(親に捨てられたショックで感情を失ったか?)」


 さて、ここから脱出するにしてもこの世界の住民がいた方が少しは便利だよな。色々とこの世界について知りたいし…こいつを連れてくか?

 途中で裏切る可能性もなくはないが、裏切られたところで問題ないしな。


「なぁ、お前」

「なに?」

「俺はここから脱出して国外へ行こうと考えているが…お前も来るか?」

「行く。貴方の目はわたしの目と同じだから」

「分かった……それじゃ、今日から宜しくなノワール」

「シエスでいい。わたしもユキって呼ぶから」

「分かった、シエス」







 脱出方法をシエスと相談しながら考案し、2時間が経過した。


「始めるぞシエス」

「うん」


 まず腕を身体強化魔法で強化して、手枷を強引に壊して外す。次に俺が火属性魔法で鍵の部分を融解し扉を開ける。

 兵士に見つからないように光属性の幻影魔法で姿を消し、地上への階段を探す。

 階段を見つけ、上った後は、周りに人がいないことを確認し、外庭へいける窓を開けて、その窓から外へ出る。そして最後、シエスの風属性魔法で城壁を飛び越え脱出することに成功した。


「さて、ザル警備のおかげで脱出できたが……ここから何処へ向かう?」

「それは後で考えようよ。まずは食べ物の調達をしながらここから離れるのが先」

「それもそうだな。だが、シエスはこの辺りについて詳しいのか?」

「ごめんなさい。正直に言うと、あんまり詳しくない……」

「いや、謝らなくてもいいぞ。俺も城から地図とか、本を盗んでおけば良かったと思うしな。とりあえずはこのまま真っすぐ進んで行くぞシエス」

「分かった」


 俺達2人はロゼ王国の近くにある森へ進んでいった。





 悠貴とシエスがロゼ王国から脱出して1時間後、城内は慌ただしい雰囲気に包まれていた。理由は、災厄をもたらす存在と勝手に決めつけられた矢神悠貴とエルフの少女が地下牢から脱走したからだ。国王は2人の指名手配書を作らせ、国中へ配るよう命じた。




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