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異世界と金剛(アダマンタイト)の鉄仮面  作者: ユキモン
第三章 魔王領後編
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第31話 武闘大会後編

「お疲れ様だユキ殿」


 待機部屋へ戻った俺を出迎えたのはバルバだった。


「アンタもなバルバ」

「それにしてもあんなにも強いとは知らなかったぞ!」

「そうか?」


 正直に言うと俺自身もあんな結果になるとは思っていなかった。

 アルフの元で魔法と基礎的な武術を習っていただけなんだがな……


「そういえば、ユキ殿が使っていたあの魔法、一体どういう魔法であるのだ?」

「あれか。あの炎纏い(ウェアファイア)って魔法は見た通り体に炎を纏わせるという魔法だ。但し、纏わせた部分は確実に火傷するから使い勝手は悪いけどな」


 と言ってバルバに火傷で多少ボロボロになった右手を見せる。


「こ、これは……ユキ殿この後の試合でも炎纏い(ウェアファイア)を使うのか?」

「現状だと、この方法でしか低コストで火力を出すことが出来ないからな。だが、残りの魔力的にあと1回使うのが限界だ」

「我としてはこれ以上使ってほしくないのだがな…」

「身体を傷つけるからという理由だからか?」

「そうだ」

「分かった。これを使うのは次で最後にする。どちらにせよ、使い勝手が悪いから改良する予定だったからな」

「是非そうしてくれ。とりあえず応急処置をしておこう。『治療(ヒール)』」


 バルバの治療(ヒール)によって俺の右手の火傷痕がある程度無くなった。


「ただの火傷であれば治療(ヒール)で完治出来るのだが、魔法での火傷は治療(ヒール)では完治出来ないのだ」


 なるほど。つまり魔法での怪我は簡単な治療の魔法で完治出来ないのか。

 恐らく魔力が関係しているのだろう…

 少しばかり気になるが、調べるのはまた今度にしておこう。


「応急処置だけでも問題ないバルバ。痛みも大分引いたからな」

「それは良かった。そういえばユキ殿の次の相手は誰であるか?」

「たしか次は……」

「次は俺っちだぜ!」


 いきなり俺達の会話に入り込んできたのは、バルバと同じグリオスの隊長であるヴァイ。


「あぁ、そうだ。次の相手はヴァイだったな」

「次はヴァイであるか」

「何か問題でもあるのか?」

「いや、問題があるっていう訳ではないのだが……」

「俺っちの戦い方が遠距離魔法重視だから心配してるんじゃねえか?」

「そういう事だな」


 遠距離魔法重視か……腕試しの相手としては申し分ないな。


「どうした?いきなり黙って。もしかして怖じ気ついちまったか?いやぁ、わりぃな俺っちが強すぎるばっかりに」

「いや、全く怖じ気付いてない。むしろやる気が出た」

「ほぉ~言ってくれるじゃねぇか。オーケー、全力で相手してやんよ」


 そんじゃな、と言い残して俺達から離れていった。



「ヴァイはあぁ見えてかなりの強者だからな。気を付けて戦うのだぞユキ殿」

「もちろんだ」

「それと無茶な戦い方はするでないぞ」

「……検討だけはしておく」

「そこは“了解だ”と言ってほしかったぞ…」




 それから売店で買ってきた飲み物を飲みつつ、他の参加者達の試合を観ていった。

 圧勝試合、逆転試合、拮抗試合等…どの試合も見応えのある試合ばかりだった。


 バルバはまたも相手を瞬殺したため本当の強さを図れなかったから多少残念だったけどな。

 さて、そろそろ俺の番だな……

 待機部屋を出て、試合の行われるステージへ移動する。


「やっとだな!」

「そうだな」

「手加減無しでやってやるからよ、覚悟しとくんだぜ」

「只今より2回戦最終試合、ヴァイ選手対ユキ選手の試合を行う。……始め!」


「おっと!」

「………」


 試合開始と同時に飛び出してヴァイに右フックをしかけたが、バックステップで躱された。


「あぶねぇあぶねぇ。いきなり来たからビックリしたぜ」

「余裕で躱したくせによく言うな」

「いやいやビックリしたのはホントだぜ。そんじゃ、次はこっちからっておまっ」

「話している時間はないぞ」


 俺は相手が話している間、攻撃するのを待ってやるほどやさしい人間ではない。ヒーロー物で、ヒーローが変身中に何故攻撃しないのか、疑問に思っているくらいだしな。

 正拳突き、フック、アッパー等、知りうる限りの殴り技を仕掛けていく。だが、ヴァイは俺の攻撃を全て躱していく。さすがグリオスの隊長だな。


「ちっ!少し離れるんだぜ『烈火散弾(ラピッドファイヤ)!』」

「むっ」


 流石に大量の大きな火の針に突っ込む訳にはいかないので、仕方なくバックステップで避ける。


「ここからは俺っちのターンだぜ参謀!『雷弾丸(サンダーバレッド)!』『闇弾丸(ダークバレッド)!』」

「……」


 ヴァイは右手から雷弾丸(サンダーバレッド)を、左手から闇弾丸(ダークバレッド)を次々と撃ちだしてきた。

 この展開は良くないな。一応これを打開する手はあるが……魔力が持つかが心配だな。


「もう終わりかだぜ、参謀さんよ~!」


 しかし、何かと煽るような発言ばかりしてるなヴァイ。挑発目的なら愚策だな。

 俺には挑発なんぞ効かないからな。


「ホレホレ~、もっといっちゃうぜ。『光の矢(ライトアロー)!』、『闇の矢(ダークアロー)!』」


 このままだとジリ貧だな。それに広範囲の高火力魔法が放たれたら、俺は詰む。

 仕方ない、やるか……


「ふっ!」


 光の矢(ライトアロー)闇の矢(ダークアロー)を躱した後、身体強化の魔法を右足に一瞬だけ思いっきりかけて、ロケットのような加速を生み出しヴァイに高速で接近する。


「ちっ!『雷散弾(ラピッドサンダー)!』」


 俺の接近に即座に対応し、魔法を撃ってきたのは流石だ。だが、判断を見誤ったな。

 ここは雷散弾(ラピッドサンダー)ではなく、土の壁(グランドウォール)炎の壁(ファイヤーウォール)といった守り系の魔法を撃つべきだったな。


「これで終わりだ」

「なにっ!?」


 雷散弾(ラピッドサンダー)を魔力を薄く纏わせた左腕で防ぎながらヴァイへ更に接近し、1回戦でやったのと同じパンチをヴァイの腹にぶち込んだ。


 加速した分パンチが重くなったのか、ヴァイが軽く吹っ飛んだ。

 直ぐに審判が駆け寄っていきヴァイの状態を見る。


 そのまま10秒程経った時、ヴァイが起き上がった。


「あ、アブねぇ……殴られる瞬間腹を魔力で守ってなかったらマジで終わってたぜ… 参謀、まだ俺っちは戦えるぜ…」


 奴はまだ魔力が残っているか……これはもう無理だな。


「悪いがここでギブアップさせてもらう。魔力切れだ」

「は?ギブアップする…だと?」


「最終試合、勝者、ヴァイ選手!」


 さて、俺の腕試しも終わったことだし、シエス達のところへ行き、残りの試合の観戦でもするとしよう。

 ステージを後にし、待機部屋への通路を歩いていると、ヴァイが突っかかってきた。


「おいこら参謀!ギブアップするとはどういうことなんだ!?」

「魔力切れになったためギブアップしただけだ。それがどうかしたか?」

「そういうことじゃねえんだぜ。男なら最後まで戦い抜けって言いたいんだよ俺っちは!」

「お前の言いたい事は解った。だが俺は腕試しで戦っただけであるため、最後まで戦い抜く必要性を感じなかった。ただそれだけだ」

「はぁ………もういいんだぜ。だが、次やりあう時は最後まで戦えよ参謀」

「努力はしよう」

「そこは“分かった”と言って欲しかったぜ。そんじゃ、またな!」


 バルバと同じような事を言ったな。






 ヴァイと別れた後、魔晶石で魔力を少し回復し、転移(トランス)でシエス達の所へ移動した。


「お疲れ様ユキ、カッコよかったよ」

「ユッキーお疲れ様!」

「お疲れ様ですユキさん」

「お疲れ様だユキ」

「お前もなアルゴ」

「にしてもヴァイ隊長を追い詰めるなんてスゲーなユキ!」

「そうか?ヴァイが遊んでいたため上手くいっただけだ。次やる時は、今回のようにはいかないだろう」

「だとしても追い詰めたのは事実ですよユキさん」

「そうだぜユキ。こりゃ、ユキの事を調べようと色んなヤツから付け狙われるかもな」


 そうアルゴが言った後、レイリスが目を細めながらこう言い放つ。


「そんなヤツがいたら、あたしが全員成敗してあげるわ!」

「じょ、冗談ですから、そんな物騒な事を言わないで下さいレイリス様…」

「お、落ち着いて下さいレイリス様」


 アルゴとファニスがレイリスを落ち着かせていると、シエスが手を握ってきた。


「一緒に残りを観る?」

「そうだな」

「じゃ、座ろ?」


 レイリス達を放置し、シエスと一緒に残りの試合を観戦していった。







 それから約2時間後、上級のトーナメントが終わり、武闘大会は終了した。

 決勝はヴァイとバルバの対決だった。

 だが、それなりに消耗しているヴァイに比べ、バルバは殆ど消耗していなかったためか、バルバの猛攻にヴァイはついていけず、袋叩きにされバルバの勝利で試合は終了した。

明けましておめでとうございます。


今年ものんびりとではありますが、更新を頑張っていきますので、これからもどうぞ宜しくお願いします。


それと、次話で第3章の本編は終わりです。

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