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短いです。
あの仮面舞踏会から三ヶ月。
夢のようだった・・・。
殿下と踊れた。
わたしのこと、覚えていなかったみたいだけど。
この瞳は特徴的だから、覚えていてくれたら、一発でわかるはずなのに。
この三ヶ月、一か月に一度、社交パーティーには参加したけど、アラン殿下がいらっしゃるパーティーではなかった。
別のパーティーで、コトリア様と一緒に踊る殿下を見たとこの前のお茶会でマリエールが言っていた。
気が滅入る。
でも、“次”の約束をしてもらえた。
いつのパーティーに殿下がいらっしゃるなんてわからないけど、きっと会える。
そんな気がする。
今日は、兄様とミリタリーお姉様と一緒に参加する王宮のパーティー。
兄様たちは婚約を発表して以来だから、一年ぶりくらいのパーティーじゃないかしら。
今日は若草色のドレス。
実はミリタリーお姉様が着ていたものをリメイクしてもらったの。
ミリタリーお姉様は背が高いから、もう着れなくなったドレスをいただいて。
私もお手伝いさせてもらって、けっこう自信作。
王宮のパーティーには貴族がほとんど参加する。
コトリア様ももちろんいるけど、私は私。
頑張るんだから。
「意気込みは素晴らしいんだけど、行動しないと」
「うぅ、わかっているの、わかっているんだけど。」
兄様たちと別れ、いつもの三人で壁の花。
視線の先はホールで踊るアラン殿下とコトリア様。
次に踊るのは私だと、群がり待つ令嬢たち。
「もういっそ、あの令嬢の群れにベリナも行って来たら?」
とんでもないことを言う。
「私はツリイデくんと踊ってくるわ。」
ルーシェは最近気に入った男の子が見つかったらしい。
今日も二度目のダンスを踊りに行くそうで。
「「いってらっしゃーい」」
マリエールと一緒に見送る。
「わたしたちも踊りに行こうか」
これでも誘ってくれる殿方はいるわけで。
うじうじしていても仕方ないし、軽く踊ってこよう。
ありがとうございました。