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あの日の約束
「ベリナは俺のこと好き?」
秋。ある午後のよく晴れた日。
庭園の見える2人のバルコニーで、隠しもらってきたお菓子を食べていたとき、彼はそんなことを尋ねた。
「もちろん大好きです。」
ほほを少し赤く染めながら、ベリナははっきりと答えた。
どこか安心したように、それでも愛らしく私の王子さまは微笑んだ。
舞い込んできた春風が金色の髪をなびかせる。
「俺もベリナが大好きだよ。大きくなったら僕と結婚してくれる?」
「結婚ですか?」
十歳のベリナにはまだ遠い未来の話。
「うん、結婚。そうだな・・・、ずっと一緒にいようっていう約束。」
ずっと一緒、その言葉を聞いただけでうれしくて仕方がない。
「もちろんです。ずっと、ずうっと一緒にいたいです。」
王子さまはさらに嬉しそうにかわいらしく笑った。
「約束だよ。」
そういって私の瞼に優しいキスをくれた。