7話 秩序
レンガ
「高速道路まで駆けていったが…
どこにいる?
車の下か?」
根を張られて動かなくなった車の下を見る
そこにはいなかったが、後ろに察知した
振り向くとそこに子供がいた
子供
「ねぇ
この都市は好き?」
聞かれたが、そもそも来た事は一回も無かった
レンガ
「今の状況の都市だと楽しさが分からないな」
レンガの発言によって
仮想幻影の子供は、都市を仮想反映させる
現実に反映された光景は偽物であり
視覚を利用した仮想反映だが
レンガにはその幻を見破れる方法は無い
レンガの周りに車が飛び交う
そして辺りには、バルーン型の機械が飛び交い
パフォーマンスのように空の景色を彩る
子供
「ラゼスシティは、人間の理想都市
掲げられた秩序を守る事で、理想を一つ一つ積み上げられた」
子供はそのまま高速道路を車が走る中駆けていく
急いでレンガも向かうがギリギリで回避して焦りながら向かった
レンガ
「危ないだろ」
子供
「大丈夫だよ
セーフレティが施されている
もし僕が事故死するとしたら、寸前にブレーキがかかるし
搭乗者も怪我をしないようになっている
こんな風にね」
レンガの前で、子供は上階の高速道路を
後ろを見ずに落ちていく
急いで向かうも、それは助かっていた
レンガ
「バルーン機械が守った?
乗っている…
人間は機械に守られながら生きていたのか…
けど俺は、そういう世界で生きてこなかったから
野生の勘が言っている…そいつら危ねぇぜ?と」
子供
「危ない?ははは、冗談言っちゃいけないよ
この子達は、都市を護ってくれるんだから
秩序もあって、この人間の理想都市を構築してきた」
レンガ
「じゃあ何で滅んでる?
この景色は、何か施した状態なんだろ?
その後も同じ光景が続く訳もあるまいよ
それは機械海月と機械生命体の稼働エネルギー源を見れば分かる
しかしこの都市には稼働エネルギー源が備わってないのではないのか?」
子供
「うん…そうだね…
僕たちはもうすぐ滅ぶんだ…
機械生命体は、秩序を構築したかったみたいだ
僕たちには興味があった訳では無いんだ
理想の違いって訳だね」
機械海月も砂イルカも砂海も
小さな秩序の中生きていた
上手く食物連鎖などを汲み取る形でそれらは存在した
レンガ
「俺達をエネルギー源としたいのか?
人間はもう数少ない
砂海に人間の死体が埋まってあった
稼働エネルギー源としていたのは…
つまり秩序からはみ出た奴らなのだろう?」
レンガはその目に宿った涙の景色を見過ごさなかった
子供は後ろへ向いている 一見景色を見ているように
レンガ
「稼働エネルギー源こそが
残った人間…だろう
機械生命体は今の何処かで稼働エネルギー源を探しながら」
子供
「最後の最後で反逆出来て良かったよ
ラスタの方は反逆者となった人達の亡霊なんだけどね」
ラスタの方角を見る
そこでは建物が落ちていて離れ離れになっていた事を今更気付いた
子供
「最後に僕のバルーンへと来てくれないか?」
レンガはそこへと飛び込んでいく
そして最後に手を触れる
消えていく仮想幻影の子供
最後の存在 最後の反逆者が秩序に反逆して滅んだ