3話 遺物属性の巨人
ラスタ
「まずいな
愉快な気楽者が現れたのか?」
レンガ
「何が現れた?
だとしてもこの巨人を考えれば分かるか
これは遺物属性だ
俺達では適いそうにねぇな」
ラスタもレンガも逃げていくが
その巨人は大樹をなぎ倒す傍らで見つけたものを見る
それは子リスだった リスをそのまま掴んで手のひらに乗せる
ラスタ
「レンガ!止まるのではない」
レンガ
「わりぃなラスタ
けど、俺はここで立ち止まらなきゃ駄目だ
出なければ、この覚悟力は俺のものでは無くなるからな」
巨人
「なんだこいつ?生きてるのか?
俺の身体を上ってきやがる」
巨人の身体を登っていく姿
その華奢で小さい存在に疑問視する
そこで気が付く巨人
巨人
「あ、なるほどなぁ
こいつの食事だったのか
でもわしは食事を大切にするから安心してくれ
わしが食ってやろう」
巨人はそのまま片方の手でグーパンで手のひらに叩き込んだ
レンガはそこで止まった
そしてその視界に映ったのは、グーパン解放され手の平の臓物
巨人
「なんなら分けてやろうか?
わしは生まれてこの方、弱属性を見た事は無い
お前が弱属性なのだろう?」
振るえた拳をレンガは巨人へ伝える
レンガ
「お前が殺したそいつこそが弱属性だ!
そして大樹も弱弱属性だ!
見えてない場所でお前は殺しているんだ!」
巨人はむかしを思い出す
確かに、自分が見ていた中で何かを踏みにじる音が聞こえていたのを思い出す
巨人
「まさか…あのプチプチ音が弱属性の最後だったのか?
鬼ごっこしていただけなのに?」
巨人は笑い転げる
巨人
「ははは!それはすまなかったな
許してくれ
弱属性に謝罪はいらないだろうが、さすがに理不尽すぎるかな」
笑い転げた巨人へとレンガは一発ぶち込んだ
それは体に与えても、脂肪へと吸収されるだけだと感じたので
レンガは一発、巨人の笑った口の歯へと与えた
すると巨人の歯が折れる
巨人
「ん?なんだ?わしの歯が折れているぞ
お前…弱属性なのにわしに歯向かうのか?それがどういう事か分かっているか?」
ラスタは必死にレンガを連れて逃げ出そうとする
しかしレンガは挙動しない
ラスタ
「なんだこいつ
私の馬鹿力を持ってしても
一歩も動かないぞ…
それ程に、巨人へと怒りをあらわにしているのか?」
ラスタの思いを蔑ろにしてまで待ち望んだ巨人との戦闘
巨人
「かと言って
わしみたいな巨人に対して
無属性の人間風情がどうするというのだ?
もう一度歯を狙おうとするのなら無駄だ
わしは口を閉じるからな」
巨人は口を閉じたが
レンガはそのまま右ストレートを口チャックされた歯の部分へと攻撃する
巨人の口を通して歯へと至らしめる力が籠められ
またしても巨人の歯が折れた
巨人
「人間はこうまで強いのか?
小さいながらも、わしの歯を折るとはな
面白いではないか…来てみるがいいさ」
ラスタは驚いていた
レンガが波動力を覚醒していた事に
実践において、レンガは仙人として開花すると分かった
ラスタ
「全てはレンガの修行場になるというのか?
今まで色々な仙人を見ていたが、レンガのような実践向きは早々いない」
レンガは巨人へと言い放った
レンガ
「まずはてめぇを右ストレートでぶん殴って
それから左アッパーで半殺しにして、鳩尾にナックル決めてやらぁ
ついでにてめぇの金玉を右ストレートで殴ってやるからな!」
巨人
「ははは
わしの金玉を殴るとな?
遺物属性のわしが弱点を持つ訳がなかろう?
金玉なぞ痛くも何ともないわ!」
巨人が自らの金玉をもぎ取る
レンガ
「金玉をもぎ取りやがったよこいつ
右ストレートはブチこめぇか…
金玉片手にどうすんだ?投げても無駄だぞ」
巨人の手の平に金玉を叩きこむ
レンガはそこから手のひらから降りて逃げざまに見るが
金玉が爆発していた
巨人の金玉は直ぐに生え直していた
巨人は人間と同じカラクリ造形をしていない
巨人
「わしの金玉投球はどうだったかな?
わしの金玉は人間の言う弱点にはならない
巨人の金玉は武器なのだよ
爆発液を溜め込んだ爆発巣となっている金玉からは」
そこにレンガがいない事に驚くが
感触を見つける
レンガは金玉めがけて向かっていた
レンガ
「巨人よりも小さくてもな!いくらてめぇがでかかろうと
それでも俺はてめぇの金玉に一発ぶち込みてぇんだ!」
レンガは金玉を殴った
しかしそこからは巨人の金玉の爆発でしかなく
それはレンガを巻き込むものでしかない
何をやっているのか困惑した巨人だが
そこにはレンガの波動力を介して金玉の奥で爆発する構造が見えた
巨人
「波動力を介して
わしの金玉の奥にねじ込んできやがったか
だが、わしはそれでもダメージとしてはまだまだだ」
巨人はピンピンしていた
しかしレンガは巨人の中に既に入っていた
巨人
「わしの中に
金玉の排出口から入ってきているのか
まず波動力で金玉を爆破させてから内部破壊された場所で波動力を続けてぶち込めて
そこから体の内部に」
レンガは巨人の外部ではかなわないと感じて
内部から攻略する事にした
内部からは、レンガの攻撃は巨人を攻撃する事が出来た
「幾ら巨人であっても
細胞の中に、体の中に侵入されればやばいか
人間と違って爆発物で出来上がった存在だから
人間と同じような消火液が存在しない」
消化液が存在せず、そこで内部破壊する事にしたレンガ
レンガ
「遺物属性破れろ!!」
巨人は内部から分泌されるように肉が飛び散る
波動力と覚悟力を込めた攻撃がレンガから繰り出されたからだ
巨人は爆散した
そして巨人が喋る事もなかった
ラスタ
「巨人を…倒したのか?
私でも無理な光景を…レンガはやってのけた」
仙女のラスタは感心した
巨人がいなくなった後の静けさで辺りは沈黙
しかしそこには自然と生え出す植物達
ラスタ
「元々この森林は昆虫精霊のものではない
元々は、植物精霊のものだった
感謝されているからこそ、レンガは食われていない」
ラスタとレンガが森林を出ると
植物精霊の森林はその姿を現した
レンガ
「肉食植物?」
ラスタ
「そうだな
この属性世界では、弱いのだが
そこに入った者は生きられない
しかし、だとしても彼らは最低限だけ食事にする
食物連鎖に一番弱くて一番忠実だったのだよ彼らは」
レンガ
「そうか
今まで俺を救ってくれてありがとう森林よ」