2話 蝉リス
蝉リスがそこには沢山存在した
蝉とリスを組み合わせた存在 それが蝉リス
この世界では普通の動物は存在しない
全てはキメラのような状態で存在していた
レンガ
「キメラ世界に成り果てた現実が
俺達を襲っている
それが認識出来たのは、俺が地上へと出かけた時だった」
出かけた時にレンガはリスを見かけた事がある
酷く臆病なリスだった
何かを怖がるような仕草でレンガの背中へと駆けあがった
しかしレンガに待っていたのは大群だった
それが蝉リスという恐怖であった
レンガ
「あの時、蝉リスに恐怖を感じた
大群で群れていた蝉リスが口から血を流していた
それは蝉リスの血では無かった
食事をしていた血であった
それはリスを狙っていた事が分かった
だから俺はリスと一緒に秘密基地へと潜んだのだ」
レンガはそこでリスと秘密基地で潜んだ
そしてやり過ごした
リスをそれから見ていない
あの時期からもう5年は経過した
さすがにもういないだろうと感じた
秘密基地に着くとそこには蝉リスが存在した
レンガ
「リスはどこだ?
まさか…食ったのか?
それまであいつは生きていたのか?
俺を待っていたが故にか?脅えて暮らしていた為か?」
どちらにしてもレンガは後悔した
そして蝉リスの口から出ている食事の後の血を見て
レンガは蝉リスに恐怖心を無くしていた
レンガは右ストレートを放った
そこに蝉リスを壁へと撃ちこむ拳が走る
レンガ
「俺にこんな力が存在していたのか?
これが覚悟力の備わった力…
恐怖心に打ち勝つのは
恐怖心以上の反発精神力
その反抗心剥き出しの心が
蝉リスを壁へと撃ちこめたのか」
レンガは一言言い終わったが
そこから少し距離を付けた
それは蝉リスが、直ぐに気絶から取り戻したからだ
蝉リス
「人間が…餌として食われればよいものを」
レンガは蝉リスが喋れる事に驚愕した
蝉リス
「喋れない昆虫精霊はいない
人間はそれ以下の生き物だからな
結局は人間は一番下の無属性だ
だからこそ昆虫精霊より劣る」
レンガは蝉リスを寸前で回避した
蝉リスから回避するには、あの素早い羽音からして一瞬を見極める俊敏さが必要だと感じたからだ
蝉リス
「ほう
人間にしては中々やるではないか
しかしな人間
その考えはまるで甘いぞ
何故なら、お前の意思は手に取るように感じているからだ」
蝉リスが同じように襲撃
レンガは回避するが、背中を手足で持っていかれる
レンガ
「離せ!
どうすりゃいいんだ
俺みたいな人間には力が無い
昆虫精霊という弱属性にすらかなわないちっぽけな存在だ」
蝉リス
「そうだ
人間は無属性だから何の能力も持てない
そして、無属性の中でも人間がどうにかして力を付けようとしているな
しかし蝉リスの大群はそれらを食い尽くそうと考えている
無属性の天下を食えば、それだけレベルも上にいく
昆虫精霊はエネルギーとして力に変換出来る持続スキルを持っているからな」
レンガ
「だったらまずいな
俺も全身全霊を持って食らいつきたい
レンガはそのまま右ストレートを腹に入れた
そこで蝉リスは内蔵を吐き出した リスの内蔵だ
蝉リス
「まさかお前
最初から腹狙いで!?」
レンガ
「そうだな
全身全霊を持っても今の俺の力では蝉リスにはかなわない事が
さっきの攻撃で分かったのだから
だから弱点になるものを考えないといけないと感じた」
蝉リスの腹をもう一発殴ってから手足から解放されてレンガは地上へと着地した
レンガ
「どうだ?
お前のエネルギーは低下したか?」
リスの内蔵から出てきたのは、幼いリスであった
生き残ったリスがこの秘密基地で生きていた事だけ分かって
レンガは少し元気を取り戻した
レンガ
「臆病なリスは死んだのか…
だとしたら俺は蝉リスを倒さなければな」
蝉リスは脅えてはいない
むしろ笑っていた
蝉リス
「私に勝てると思っているのか?
だとしたら誤算だ
何故なら、蝉リスとはこういう生き物だからだ」
蝉リスが共鳴音を鳴らした
その音は寄声であり、地響きを鳴らすほどの強烈な音波だった
レンガもリスを囲んでから耳を閉じる
蝉リスへの攻撃のチャンスではあったのを
レンガはその瞬間見逃していた
そして見逃していた光景も束の間
蝉リスの羽音が聞こえだす それは近づく音だった
蝉リス
「私が倒される前に
私の仲間を呼べばいい
昆虫精霊は大群で潜んでいる
それを忘れたとは言わないだろ?
餌として狩り取られる人間よ」
蝉リスは大群になって
人間をエネルギーとして食らい尽くしていた
レンガ
「そうして蝉リスは
随分と食物連鎖を脅かしていたのか…
リスの後に次は人間か
ラスタの言っていた無属性としての頂点
なってやるのもいいものだな
だって、こういった人間を弱属性を滅亡させる上位属性を倒せるんだからな!」
人間の力から見た事のない衝動が走っているのを感じる
蝉リスは大群で存在しており、その見知らぬ力ですら数で上回ると感じていた
蝉リス
「蝉リスの大群は、私と同じように丈夫に感じているぞ
それでもレンガは貫くというのか
だとしたら人間の無属性の力もここで朽ちる事となるな」
蝉リスの大群のその遥か後ろで何かが食われているのを察知した
レンガの望遠力で、その遥か後ろにある視界を見ていたからだ
レンガ
「あれは…動物精霊?
動物精霊を食い殺したのか?」
蝉リス
「たった今私達に備わったエネルギー強化によって
数で群れた事で、動物精霊という上位属性を滅亡させた」
蝉リスは精霊属性の中で上位に立っていた
しかしレンガは恐れなかった
蝉リスの大群が襲撃する
蝉リスがレンガを囲んだ
蝉リス
「結局は口だけだったという事だ
どれだけ無属性が発言した所で
私達を上回る事は不可能――」
レンガは蝉リスの囲い込みの中で弾ける
その弾けた武装力が蝉リスを弾いて
そして一つ一つ挫く力が有った
蝉リス
「蝉リスの大群がたった一人の人間に抑えられているだと?
何故だ!?あんな人間見た事がないぞ」
ラスタ
「そらそうだの
何故なら、お前ら蝉リス昆虫精霊の天下者は
人間の中の天下者を知らないからだ
人間の中の天下者は、覚悟力と馬鹿力を有した者の事を言う
それを人間は仙人と呼んだ」
レンガは、蝉リスをぶっ飛ばしてぶっ飛ばす
大群であった蝉リスを襲ってくる時点で全て倒していく
蝉リス
「あれだけ蝉リスとの力が不足していたのに
エネルギーを有した私達が負けるはずが」
ラスタ
「だからこそ昆虫精霊だ
昆虫精霊は性格があると感じているのだがそれは違う
昆虫精霊にあるのは食物連鎖に従う事だ
だからずっと群れていたのだ
群れる事は悪い事では無いが
そこに頭があるとは言い難い
何故なら」
そこで蝉リスに対してラスタは馬鹿力で力を込めて一発放つ
ラスタ
「イレギュラーである存在を探知出来ないからだの」
ラスタの一発によって蝉リスは跡形も無く消え失せる
馬鹿力を上手く扱う事で、細胞の一つも残さない力となる
レンガ
「仙女の力はそれか…
俺にも出来るだろうか」
ラスタ
「その力はどこから出すんだ?
無属性の激怒心からか?
それとも他の何かか?」
レンガは臆病リスを見た
その臆病リスは現在内蔵だけが子リスに寄り添っているだけだ
レンガ
「勿論、俺の力は存在出来なくなった者達の為だ
激怒でもあるが、これは強者になるための覚悟力だ!」
ラスタはその目で見た
覚悟力で包まれた力を蝉リスへと叩きこむ力を
ラスタ
「いいではないかの
仙人の中では、血流力を有した馬鹿力を備えたり
色々な仙人がいるからの
レンガはレンガで自らの意思で叩きこめ」
蝉リスの大群をラスタが見守る中
レンガは全て馬鹿力で駆逐していった
そして最後に後ろに存在していた女王蝉リス
レンガ
「まさかとは思うが
逃げるとは…ないよな?」
女王蝉リスは羽音を出して
幼虫蝉リスをレンガに向けて飛び出させた
しかし幼虫蝉リスは遥かに劣った生き物であり
それは馬鹿力を持った仙人レンガからしたら圧倒的に駆逐される運命にあった
レンガ
「幼虫蝉リスも無くなったな…」
女王蝉リスに一発叩きこむ
女王蝉リスはそのまま死んでいった
レンガ
「ここに属性世界の内、昆虫精霊を駆逐したな
しかしまだまだ属性世界からの上位属性が存在する」
ラスタは驚愕した
そこに圧倒的な力がいきなり不時着したからだ
そしてそれは大樹を打ち殺すような音で森林が無くなっていくからだ