表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/22

コンビニ

放課後、図書館脇のコンビニ。

「いらっしゃいませー……って、げ」

「げってなんだよ、げって」

夏樹がレジに立っていると、なぜか制服姿の冬が入ってきた。

「なんでいんの?」

「やー、夏樹、バイトはじめたつってたじゃん? 働きぶりをみてやろうと思って」

「うわー……」

「なんで嫌そうなんだよ」

むっとしてお菓子を見に行く冬。しばらくすると、グミとチョコ菓子を持ってレジに戻ってきた。

「人いないね」

「この時間ならね。368円になりまーす」

「おごってー」

「この前学食でサンドイッチ買ってやったとこでしょうが。今日はダメ」

「ちぇー」

ぶつくさ言いながら、お金を出す。

「夏樹、いつ終わんの?」

「今日は六時」

「そっか。じゃあ図書館で暇つぶしてるから、一緒に帰ろ?」

「別にいいけど」

断ったところでごねられるだけなので、最初から折れる。

「あ、ホットドックちょうだい」

「へいへい」

追加でお金を出し、袋を受け取る。

「ホットドックとかのソースってさー、このケチャップとマスタード入ってるや」

「お客さん入ってきたから、またあとでにして」

自動ドアを通ったのはスーツ姿の男性。話を遮られた冬は不満ながらコンビニを出た。


冬が図書館前のベンチで借りた本を読んでいると、学校の制服に着替えた夏樹がやってくる。パタンと本を閉じた。

「遅いんだけど」

「あがったら速攻着替えて走ってきたんだけど」

時計を見れば、まだ六時4分。

「あ、あとこれ」

そう言って冬が差し出したのは、ホットドックについていたソース。真ん中を折って指で挟むとケチャップとマスタードが出てくるあれだ。それにマスタードだけが残っていた。

「俺さー、マスタード苦手なんだけど、捨てるのもったいないからあげる」

「……ありがと」

パンにでも塗って食べようと、通学カバンに突っ込んだ。

「よいしょっ」

本をリュックに入れ、冬は立ち上がる。

「じゃ、帰ろっか」

そう言って、先に歩き出す。夏樹も並んで帰路についた。

「コンビニにさー、両手塞がった人が入ってきて、なんか慌ててる感じの。その人がファミチキ買って、『手ふさがってるから口に入れてください!』って言ってきたら、入れる?」

「すごい剣幕で言われたら入れるかなー。すっごい嫌だけど」

「あー、やっぱ迫力って大事だよねー」

そんな、壮絶なまでにどうでもいいことを話しながら歩く。

「じゃ、俺こっちだから」

「うん。また明日ね」

「はーい、じゃあねー」

二人で歩いた距離は、二百メートル足らず。それでも嬉しいのか、冬はやけに上機嫌だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ