えっちな○ーメン
「ねぇ……私、もう準備できたよ」
蜜に濡れそぼった彼女ーーお金を挟んだ付き合いではあるが、ここ数年、毎日のように夜を共にしている。便宜上、彼女と呼ばせてほしいーーは、期待するかのようにこちらを誘惑してくる。
「ああ、俺ももう、限界だ」
こんな関係は間違っている。俺には付き合っている女がいるのに、何の気遣いもなく密会を重ねているのだから。
もう1日だって離れたくないと思うのに、事が終わると彼女は何も残さず消えてしまう。
彼女が残してくれるのは、この香りだけだ。
彼女も高まってきたのか、口元にはとろみのある濃厚な蜜が、ねっとりと付いてきた。彼女のは、他よりも濃い気がする。
「もう、限界……っ!」
「ああ。わかってる」
蕩けた彼女の蜜はぬらぬらと、艶やかに彼女を彩る。
「ねぇ……付けてくれないの?」
「っ……ごめん」
最低だ。いくら気持ちがはやったからって。付けないなんて、あまりにもマナー違反だ。
しっかりとつける。良い匂いがするやつだ。彼女の体にも良くあっているらしい。
そして、ついに向き合う。
気持ちも、身体も。お互いの準備が整った事は、長い時間を共に過ごしてきたからよくわかる。
「いくよ……っ!」
そして俺は、黒光りした固い棒で、彼女の中をかき回した。
激しく、奥まで行き届くように。強く、強く、愛した。
***
「ンアッー!」
そして、時間にして10分。早い方だと思う。けど、彼女もしっかり果てる事が出来た。
「水、浴びてくるね」
「ああ」
そう言って部屋の奥へ消えた彼女は、きっともう今日は帰ってこない。
「はは、馬鹿みたいだ……」
残ったのは虚無感と、やっぱり強い、彼女の香り。
俺は荷物を持って、席を立った。
「ありがとうございました!またのご来店を!」
「はい、ありがとうございます」
店を出て、多めに入れたニンニクの香りを放ちながら、夜の街を歩く。
「ああ、またやっちまった」
塩分過多。身体が逆流性食道炎という病に侵されようと、この味だけはやめられない。
やっぱり家系ラーメンは……最高だ。