青い春の色。
「綺麗ですね・・・」
そう言いながら叶は膝上に乗った私の頭を優しく撫でてくれていた。
私は『うん』と答え、叶の膝の上でうつらうつらとしていた。
昨夜はほとんど眠れなかった。
眠ろうとすれば同級生たちの言葉が頭の中を駆け巡り、過去の思い出が火山の如く噴火していた。
生きていれば色々なことがある。
本当に・・・色々・・・。
「吸い込まれそうな青・・・ですね」
叶のその言葉に私は閉ざしたばかりの瞼を押し上げ、その『吸い込まれそうな青』を叶の膝の上から見つめ見た。
砂浜に横たえた私の身体は残暑の残る日の光に焦がされ、そこそこに暑かった。
「・・・青い春の色だ」
私のその言葉に叶は『え?』と声を漏らした。
「叶は・・・モテるでしょ?」
私はそう言って横に向けていた身体を仰向けにし、頬を赤くした叶を下から見つめ見た。
叶は私と視線が合わさると慌てて視線をそらし、小さな声で『そんなことありません』と言っていた。
そんなところが可愛くて私は必要以上に叶をいじめてしまうことがある。
反省はしないけれど・・・。
「そう言う紫月さんは・・・どうなんですか? モテます・・・よね?」
そう訊ねてきた叶の声は不安そうだった。
だから私は・・・。
「モテるよ? モテないと思った?」
なんて嫌な言い方をしたわけで・・・。
確かにモテるかモテないかと聞かれれば私はモテる。
けれど、私には彼氏が居た期間が一度もない。
しかし、私は処女ではない。
私には数人の不純なお友だちが居た。
そう。居た・・・。
今は居ない。
叶と付き合いだしてから・・・。
「そうです・・・よね」
そう言って寂しそうに目を伏せた叶が可愛い。
私は大きな溜め息を吐き出して身体を起こし、そのまま立ち上がり、キョトンとしている叶の手を引いた。
それに叶は従いつつ『紫月さん?』と不思議そうな声をあげた。