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ただ、青い。  作者: 小鳥遊 雪都
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人の死。

ざぁ~・・・ちゃぷちゃぷ・・・ざぁ~・・・ちゃぷちゃぷ・・・。


文字にするとそんな感じの柔らかい波音に混じり『・・・さん。・・・づきさん』と言うような微かな声が聞こえてきた。

その声は愛らしくて若くて小鳥の囀ずるような声だった。

不意に好きだな・・・なんて思った。

抱きしめたいな・・・とも。

それと同時に泣き出したくもなった。


「・・・紫月しづきさん? なんで・・・泣いてるん・・・ですか?」


波の音を掻き消し、そうはっきりと聞こえてきた声に私は『え?』と声を漏らし、頬を伝うそれにぎょっとさせられ慌ててそれを指先で拭い取り、繕うように笑って『なんでもないよ』と言おうと口を僅かに開いた。

けれど、口を開いただけで私が『なんでもないよ』と言うことはできなかった。

目の前に居るその子が・・・かなえがあまりにも心配そうな・・・真剣な・・・大人な表情かおをしていたから・・・。


「・・・かなえ・・・隣に座って?」


私の申し出にかなえはホッとした表情を滲ませた。

それは先ほどまで大人だった表情かおが一気に子供の表情かおへと戻った・・・変わった瞬間だった。

まるでそれは蕾だった花が綻び咲いたようなサナギから蝶が孵ったようなそんな神秘的な瞬間だった。

かなえは私のすぐ横に腰を下ろして砂の上に座ると私が話し出すのを急かさずに待っていてくれた。

それを私は嬉しく思った。

急かされるのは好きじゃないし、私は話をするのが得意な方じゃない。

ましてやそれが自分に関わることになると尚更だ。

情けないことに・・・。


「・・・同級生がね・・・死んだんだ」


私はあえて明るい声を出し、目の前に広がる海原を『綺麗だね』と言うような調子で言っていた。

目の前に広がる海原は・・・濃い灰色をしていた。


「え? ・・・事故・・・ですか? それとも・・・ご病気?」


かなえの問いに私はゆるゆると首を横に振った。

かなえの方はあえて振り向かなかった。

かなえの方を振り向いてかなえと目が合ってしまえば私は途端に言いたいことを言えなくなってしまうだろうから・・・。


「自殺だよ」


私の言ったその一言に時は止まった。

人の死は人を縛る・・・。

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