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ただ、青い。  作者: 小鳥遊 雪都
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若い。

「珍しいですね」


そう言って私の運転する車の助手席で嬉しそうに微笑むかなえは若い。

確かにかなえは若い。

かなえは今、高2でまだ16歳だ。

16歳はまだ子供・・・。

そんな子供を日曜の朝早くから連れ回す私はどうかしているし、そんな子供としかも同性と恋仲関係にある私はもう本当にどうかしている。

今更のことながら・・・だけれど。


「迷惑だった?」


攻撃の意味は込めずにそう訊ねてみたけれど、それでもかなえは苦い笑みをその若いかんばせに滲ませた。

じわり・・・と。

それは布に滴った水がシミを作るかのように・・・。

それを見た私の内には僅かな罪悪感が芽生えだしていた・・・。


「とんでもないです! 嬉しいです! 紫月しづきさんから私を誘ってくれるのなんてその・・・珍しいから」


「・・・そう。ごめんね。ありがとう」


私はそう答えて車を止めた。

赤信号に引っ掛かったのだ。

アイドリングストップ機能によりエンジンの止まった車内は静かだった。

運転する時、私はいつもその日の気分に合った音楽をかける。

けれど、今日はなぜだかどんな音楽も聴く気にならなくて出発前にボリュームを0にしていた。

それを私は今更、後悔した。


紫月しづきさん・・・何かありました・・・よね? それも・・・嫌なこと・・・」


かなえは急に私の方を向くとそう言ってきてゴクリと喉を鳴らした。

そんなかなえに私は吹き出した。


「な!? なんで笑うんですか! 人が心配しているの・・・」


「ありがとう」


頬を赤くし、可愛らしく怒りだしたかなえの言葉を私は無理矢理に遮った。

それにかなえの頬は更に赤みを増してかなえは俯き、なぜか『ズルいです』と呟いた。

それに私は小首を傾げ、俯くかなえの頭を軽く撫で車を発信させた。

ブレーキを離された私の愛車は僅かな唸り声をあげて動き出した。

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