第2章 誘拐
黒いパーカーを持ってきて正解だった。
俯かず、ポケットに手も入れず、自然体のままパーカーのフードだけを被る。そうすれば、黒い壁だらけの高層ビル群の中じゃ私なんて空気同然になれる。
こっちが気をつけてさえいれば、他人とぶつかることもない。
あれからまだ2日か、と不意に感じる。
何不自由なく、ただただ単調な暮らしをしていた時は2日なんて気が付けば過ぎていたが、意識しなければならない羽目になると、時間が異様に長く感じる。
「衣食住」の「住」の要素が欠けた状態でこんな少女が独りで生きていくのは、それなりに至難の技であるが、幸い私は月に1000円ほどの小遣いを貰っていた。それを持ち出しもしなかったので、順調に貯まっていった暁に、13000円近くになっていた。倹約すれば、1ヶ月はゆうに生きられるだろう。
私が持ち出したのは、必要最低限の服と、その小遣いと、それらを入れるリュックサックのみ。はたから見れば、学校をサボり、都会に買い物に出てきた女の子程度にしか見られない──はず。
なるべくこのまま、この空間に溶け込むようにしないと。
だがこのままあてもなく彷徨っていても、体力の無駄な浪費をするだけだと考えた私は、その場にあった、木目調に彩られた壁が目を惹く喫茶店に入ることにした。
カランコロン、とドアに付けられたベルが鳴る。
正真正銘、ベルそのものだった。電子音が主流の中で未だにそれを愛用していることに、微かにロマンを感じた。こういう部分は、父さんに似たのかも知れない。
客はまばらだ。昼下がりに集まって、他愛も無い話を周りの静けさには適していない大きな声で続ける貴婦人数名が目立ったが、ここなら一、二時間座っていても何ともないだろう。
「ご注文は?」
席に座るや否や、待ってましたとばかりに──というか待っていた──女店員が注文を聞いてきた。
「カフェオレで」
私は応えた。
「かしこまりました」
──見たところ小学生なのに、何でこんなにも慣れてるんだ……?いいトコのお嬢様なんだろうな……。マセやがって──。
その目が、そう物語っていた。
失礼の無いように、としたのだろうか、彼女は磨かれたその白い歯を見せてきたが、失礼は既にされていた。
確かにこんな少女が独りで喫茶店にいるのはよくあることではないし、最近は喫茶店に行く人の方が俄然減っているから、大人だって行ったことがない人も大勢いる。私だって初めてだ。
けどカフェオレを1つ頼むのにオドオドするなんてことはないだろう。常連みたいな口調だとかそんなのないだろう。
みたいなことを考えながら、私は窓の外を見て待っていた。何も意識せず、魚のように死んだ目で。
時折、その窓のすぐ前を暗めの服の人が通る。その時に窓に反射して映った顔は、不細工と言う他なかった。
「……家出、かい?」
私の耳に、適度に低くて心地よい声が届いた。最初、それが私にかけられた声だとは思わなかった。
だが、私が頬杖をついていた窓際の4人がけテーブルに、私の両の掌で包めるくらいのティーカップに入ったカフェオレが置かれた時、私はその置いた人を見た。マスターと思しきその男性は、私の答えを優しい笑顔で待っていた。
声の主は、どうやらこの人らしいと理解した。
「そう……なんです」
私は苦笑いしながら答えた。
答えてから気付いたが、この2日間で私に、家出か、と訊ねてきたのはこの人が初めてだ。
そうかい、と笑顔のまま言うマスターであろう人。
「私のような一介の老人には何があったのか見当もつかないが、君も大変なのだね……。まあ、気の済むまでゆっくりして行きなさい」
ありがとうございます、と私は頭を下げた。
うむ、と彼は言うと、カウンターまで戻った。やはりマスターだったのだな。
さて、カフェオレを頂くことにしよう。改めて思うが、私のこの小さな掌で覆いきれるのだから、これで250円となると、少々お高いカフェオレだ。
口をつける。程よく暖かい。歩き疲れた身体に染みるような感覚。
美味しい。甘過ぎず、苦過ぎない。グルメを気取るつもりは無いが、恐らく私が飲んできたコーヒーの中ではダントツで一番美味しい。
前言を撤回したい。これで250円なら、十分に安い。
ふぅ、と思わず息をつく。なんだか今まで息を止めていたみたいに苦しくて、その苦しみから解放された気分だ。
家出なんてドラマでしか見たことないが、私みたいな小学生が家を出るのを描いたドラマはない。ましてや、親に反抗心を抱かずに出て行くケースは恐らく数少ないだろう。
私はそれだ。生意気にも、親を護るために、そして友人を護るために、私は皆のもとを離れたのだ。
だが私は一つミスをしでかした。
親に、何も言ってこなかったのだ。書き置きもしてない。一切無言だ。
──逆に『家出します』と伝えて『はいそうですか』と家を出す親が何処にいるのだという話でもあるが──。
度々(たびたび)だが、もう家を出て行方をくらまして2日だ。
いい加減、捜索届を出されていてもおかしくない。 だがまだ私のところまで来ていないのは多分、警察が本腰入れて捜査していないからだと思う。
あるいは近隣の住民に声をかけて捜査に協力を仰ぎつつ、まずはその区域から捜査を開始したか。
とにかく県を一つ越えたこんな場所にいるなんて、わかるはずが──。
バンッ!!
何かが破裂したような音だった。
驚いて、座ったまま飛び上がってしまった。その拍子に持ち手を指にかけていたカップが傾き、派手にこぼれてしまった。
それが爆発音ではなく、ドアが激しく叩きつけられた音だとわかると、私はほんの少し身体を縮め、陰になるものも無いのに、隠れるようにしていた。後から思えば、それが逆に目立ってしまう行為になるのに。
「お客様、そのドアは老朽化が進んでおりますので、おやめ下さい……」
さっきの女店員が申し訳なさそうに注意しに行った。
「すまない。こういう者だ」
“お客様”である黒スーツの大柄な男が、身体に見合った低い声でそう言った。そして服の裏ポケットから取り出したのは、そのスーツと同じような色の二つ折りの手帳。
ビビッと来た。間違いない。アレもドラマで見たことがある。よく父さんが見ていた推理ドラマで。
大男が出したアレは、警察手帳ってヤツだ!
しまった……。警察が来てしまった。
焦っているお陰でよく聞こえないが、所々聞こえる単語から察するに、やはり私を捜している。
逃げられない……。窓は開閉式じゃないし、ヤツは入り口の前に立っている。店員用の裏口が恐らくあるんだろうが、カウンターまでもそれなりの距離がある。
万事休すだ。
そう思い、むしろ普通にしてやろうと、涼しい顔で窓の外を眺めていた。
だがそれまでの挙動が不審だったので、案の定、すぐにバレた。
「君が、皆木 姫花、ちゃんだね?」
私が座るテーブルの前に立ち、男が尋ねてきた。さっきはよく見えなかったが、なんて鋭い目なのだ。
「そ、そうです……」
私は囁くような声でそう言った。
その時点で、私の中で、これから起きることの大まかなプロットが完成した。
「怪しい者ではない。少し君から話が聞きたい」
彼は言う。プロット通り。
頷く私に対して彼はこう言う。
「少し場所を変えようか」
プロット通り。
「あ、すまない。身分証を提示しよう」
先ほどの手帳を出す。プロット通り。
ムツカシイ漢字の羅列が目立ったが、とにかく彼は警察官の相野木慎であることがわかった。
「君に対しての捜索届が出ている。少しの手続きの後、親御さんのもとに必ず返す。だから、少し署まで付いてきてもらえるか?」
一切表情を変えずに、台本に書いてあったかのような口調の男。プロット通り。
「……わかりました」
断る理由も無いのでそう返す。プロット通り。
慎は、彼のぶんの注文を聞きにきた女店員に、私のカフェラテの値段を払ってくれている。ありがたい。
「では、行こうか」
女店員が少々驚き気味でお代を受け取ったのを確認すると、慎は店を出るのを促した。
私は素直に立ち上がり、まださっきの衝撃でミシミシ言っているドアのもとに向かう慎についていく。
やはりどうしようもなかったんだ。
早かれ遅かれいつかはこうなると判っていた。
いつかこうして警察に連れられて、家に帰らされて、政府に返還されて、どうにかなる運命だったんだ。
そう言えば、政府の支配下に下ったあとはどうなるんだろう。よく調べてこなかったな。どうせならこのオジサンに訊いてやろう。
そう思って、俯いていた顔を起こし、慎を見上げた時だった。
慎は、誰かに殴られていた。
思い切り。その屈強な身体が吹き飛ぶ程の勢いで。
これは私のプロットには無かった。と言うか、想定の範囲に無かった。第一こんな展開を誰が予想する?
慎の身体は、ドアのすぐ傍にある背もたれの裏に激しく打ち付けられた。木造のそれが軋む音が、まるで店の建物自体があげた悲鳴のようだった。そのまま倒れこみ、しばらくの間立ち上がらなくなった。
「おい、お前!」
「はい!」
何者の叫びか判らなかったが、とにかく私に対してのものだとすぐに判断できた私はそう叫んだ。
「こいつについて行っちゃダメだ!俺について来い!」
ドスの利いた声でそう言うと、声の主は私に答える隙もくれず、私の細い腕を片手でガシッと掴み、私の身体を強制的に店外へと連れ出した。
「へ……!?」
事態がどう動いているのか全く判らなかった。
だいぶ勢いよく引っ張られているお陰で、視界に広がる光景は斜めに傾いているし、目の前で人が殴られ、しかもその殴った張本人に連れ出されているのだろう。だとしたら緊急事態だ。
「誰か!誰か助け……」
「お前……!大きな声出すんじゃねぇ……!」
通行人に助けを求めようとしたが口を塞がれた。やっぱりこの人、誘拐犯だ……!
必死に抵抗した私だったが敵わず、そのまま駐車場に停まっていた誘拐犯の車に乗せられた。
家出したことを後悔した。
こんなことなら、どうなるかはわからないけど、安全な国の管理下に置かれるべきだった……!たぶんこのまま連れ去られて、何日かこの男のアジトに監禁された後、人けのない港で黒いサングラスをかけた人に高値で売られるんだ……!
「おい、ちゃんと座ってシートベルトしろよ。ケガするぞ」
男は命じる。なるほど、私という商品に傷をつけないためか。
「そろそろあの男が追いかけて来るとこだろう。早めに逃げなきゃな」
“あの男”。恐らく慎のことだ。警察だから逃げて当然だな。
男は後部座席に座った私をルームミラーで確認すると、駐車場から車を出した。
ちょうどその時、慎が後ろから追いかけて来るのが見えた。頭からは血を流し、右肩を左の手で抑えながらフラフラと走って来る。
そんなものはお構いなく、私と男の乗る車は発進した。心なしか、初速度が遅い。いや、家のが速すぎただけかも。最新車種だったから。
徐々に速くなる車。後部座席に座る運転経験の無い私ですらヒヤッとする運転だ。
後ろを見ると、やはり慎の車が付いて来る。運転手本人と同じくフラフラで、車にこそぶつかってはいないが、代わりにそこら中の壁やガードレールにガンガンぶつかり、お陰で前方部分はベコベコに凹んでいる。
「しっかり掴まっててくれ」
男は私にそう言うと、それ以上ないくらいに勢いよくハンドルを右に曲げた。何に掴まれば良いのかまだ決めてなかった私は身体を激しく振り回された。酔いそうだ。
慎の車もそれに惑わされ、角にあった建物にぶつかって一時停止した。
「手荒ですまないな」
男は言う。
まだこの男を信用出来ていない私は、返事をせず無言でいた。
その男の口から、とある言葉が出るまでは。
「俺は松月 之親。戦国武将みてぇな名前だろ」
なんて名前だ、と言いたかったが一切無言。
「……お前、“人造人間”だろ」
「えっ……!?」
無言ではいられなかった。2日前まで、自分でも気づかなかったのに。そうだと聞かされなければそうそう気づくものではない事実に、この男──之親は辿り着いている。
「さっきお前の腕を掴んで確信した。お前みたいなお嬢さんの腕なら、骨を知るのも容易だ。“堅構骨”は、普通の骨と僅かに握った時の感覚が違う」
この男は何者なんだ……!?
きっと“人造人間”を扱う職の人間なんだろうが、それにしてはこの運転……まるで逃げることから教わったかのようだ。
「さっきのあの警察名乗りの男、あいつはその身体を狙った誘拐犯だ」
「……どう言うこと……?」
感嘆以外の声が、とうとう私から漏れた。
「裏社会での密貿易だよ。人間の臓器が売れるってのは昔から変わらねぇが、2071年に“人造人間”の18歳の女が拐われた事件以後、“堅構骨”が高値で密貿易されている現場は度々目撃されている。まあ警察が現行犯逮捕出来たのは、たった2件だけらしいがな」
私の……骨……?
持ち主である私もこの骨が珍しいことは判っているが、そんなスジの人間に好まれているとは……。寒気がする。
「“人造人間”を拐う人間は、政府の“人造人間”管理局のコンピュータと繋がっているんだ。何処ぞのジジイが危惧した事態が、既に現実になっている。1人の“人造人間”が今何処で何をしているのか、政府に送られているそんな情報を奴らは盗み見てやがるんだ」
またゾッとした。
城石教授が考えたことが、本当に起こっているなんて。いや、ひょっとすると最初にそれを始めた人間は、それにヒントを得たのかもしれない。
「何故そうだと自信を持って言えるか、わかるか?」
之親はどこか自慢げに質問を投げかけてくる。私が首を振ったのをミラー越しに確認すると、彼は話した。
「理由は2つだ。1つは手帳を出したこと。
世間一般にはあまり知られていないが、警察は密かに警察手帳の完全撤廃を行ったんだ。外部とネットワークを繋がない折り畳み型の携帯端末を作り、それに警察手帳と同じ機能を収録した。
たぶんヤツは刑事ドラマの見過ぎだろう。未だにドラマの世界では警察手帳を使いまくってるからな」
いや、刑事ドラマなど見ていなくても、そんなことは予測がつかないハズだ。
「2つ目はお前の親を連れて来なかったことだ。コレはこうした警察を装っての未成年の誘拐を防ぐ為の対策だ。
捜索願を出された未成年が発見された時、署への同行が必要な場合は必ず親権者の同行が必要とされる。これも警察の間でしか流れていないルールのハズだ。まあウラの人間でも知っているケースが多々あるが。恐らく今回の犯人はいわば誘拐初心者だろう。ラッキーだったな」
ペラペラと流暢に話すなぁ、としか思えていなかった。
慎の暴走車は追いかけてきてはいないので、先程よりかはやや遅くなったが、それでもなかなか危険な運転をしている。そんな中、これだけペラペラと話せるものだろうか。この男、元レーサーか何かか?
いや、もしかしたらこれは台本なのかも知れない。
慎と之親はグルで、之親は救いに来たのだと見せかけ、二重で誘拐を企んでいるのかも知れない。
しかしそうだとしたら合点のいかない点がある。
仮にグルなら、あんなにフラフラでも追いかけて来るだろうか。なるべく人目につかないように、周囲に溶け込むくらいに安全な運転を心がけるのではなかろうか。
いや、或いは、この男と慎は同業者ではあるがライバル同士で、私のことを取り合っているとか……!?
そう考えていると、後ろが何か騒がしいことに気がついた。気になって見てしまった。私はバックウィンドウに映った景色に、驚愕した。
微かに黒煙があがっている慎の車が、まだ追いかけて来ていた。
しかもここはここら辺一帯では一番栄えている繁華街。大きな事故を起こしてしまえばただ事ではすまない。
「チッ……しぶといヤツだ。ここじゃあは派手な動きは出来ねぇってのによ」
派手な動きぃ!?やっぱりこの男、単純に悪いヤツ……いや待て、それが出来ない……?
繁華街だから車線は3、4本あるし、動きとしては十分可能だ。ってことは、一般人に危害が加わることを防ごうとしている……?注目されないようにするためか……?嗚呼もう、疑心暗鬼になり過ぎて頭が痛い。
「仕方ない、またスピード上げるぞ。しっかり掴まっとけ」
宣言通り、之親はまたスピードをグンとあげた。若干むち打ち気味になっている。首も痛い。
「空高速を使ってもいいが、あの意識朦朧野郎をあそこへ運んだら被害が拡大しちまう……!……ったく、エラいもんに喧嘩売っちまったな」
空高速とは、地上35メートルの高さに出来た、浮遊走行システム対応車のみが走れる浮遊高速だ。現在所有されている大半の車が対応している。勿論この車も慎の車も対応車だ。
確かにそんな場所で暴れ回ったら大事故が起き、しかも浮遊走行機能が制御不能になれば、その下にいる人々にまで危害が及ぶ。
被害が拡大する……。これも注目を避けるためか、それともただの善意なのか。
その後も手荒な運転は続く。こんな運転をしていて、なぜ警官は来ない……?
なるほど、これでどうやら、後ろから追いかけている慎は警官ではないことがようやく確信に変わった。
暫くすると繁華街から離れ、少し人けが少ない場所に来た。ここに来て之親はふいに、「しめた…!」とニヤついた。
「今からかなりアブナイことをすると宣言しよう。勿論、お前の安全は最優先だが、残念ながらそういうことも言ってられない」
『覚悟しろ』的なことを横目で訴えて来る之親。だがどうしろと言うのだ。
今までよりアブナイ事なら、今までみたいに手すり握ってどうにかなる問題じゃないハズだ。
「よし、このタイミング……!準備出来たな!?」
「いや、ちょっ、まだ……!」
「出来てなくてもやるんだがっ……!」
語尾に力が入ったのは、
之親が、ペダルが外れるのではないかと言うほどブレーキを思い切り踏んだからである。
最近の車はブレーキ性能も良く、今くらいのスピードなら、超急停止して速さを殺せる。
対処法を必死に考えていた私のフワフワな身体は、誰かに突き上げられたみたいに浮き上がった。
けれど一切浮遊感などはせず、浮いたと判っていながら私はまだ対処法を考えていた。前の座席の背もたれを必死に掴もうとしていたし、最悪ドアから飛び出ようとか思っていた。
その思考が私の身体に起こっていることに追いつき、シンクロしたのは、
私の身体が、その反動で、私の座っていた座席の背もたれに激しくぶつかった時だった。
嗚呼、魂が抜けるってこんな感覚なんだ、と思った。何か大事なものが私の中から抜けていく。そして遠のいていくのが判る。
意識が薄れ朦朧とする中、私の目だけはまだ動いていた。正常ではないが。
ウインドウの向こうで、慎のボロボロの車が追い抜いて行ったのが見えた。
そのまま車は、正面にあったT字路でも止まることなく、その先の清涼飲料水の宣伝看板に激突して止まった。
これが、私がぼやける視界の中捉えた、最後の光景であった──。