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彼の言葉にセイレンは、一度は背を向けたもののまた隣に戻り街を歩いた。雪の国や樹の国の事、道中や街並みを見ながら二人は話をしながら歩いた。



「私の国には魔法を使う者など、殆ど居ない。数十年前に、雪の国から来たという者達だけだ。私も魔法を使ってみたい。ああ、そうだ。私にも扱えそうな魔法の呪文を、教えてくれないか?」


「呪文?何ですかそれは」


「魔法使いは魔法を使う際に、呪文という言葉を囁きながら炎や氷を操ると聞いたのだが」


「その様な言葉はありません。確かに囁きます。でもそれは、自らの想像する現象に問いかけているの。きっと揶揄われたのですよ。例えば、燃えろと言って火が出るのならば、あなたも今までに幾度と魔法を使えたはず。魔法に呪文などというものはありません。また雪の国へ来た際には、法院という場所へ入らして下さい。魔法を知る事が出来るはず…」



「どうした」と言う、慌てる男の前に居る無表情なセイレンの目からは、話しながらシアの事を思い出し一筋の涙が流れ続けていた。初めて彼を見た日や、初めて魔法を教わった時。星を眺めながら話すシアの横顔に、誓を結んだあの時と最後に見た彼の眼差し。セイレンの中で溢れ出ている気持ちを、涙が物語っていた。



「私には、私にはとても大切な人が居ます。その人が、もう数日も行方が知れないの。貴方はとても良い方です。でも私は、今こんな場所でこの様な事をして居られない。今すぐにでも、彼を探しに行きたい。人手が足り無いのならば、貴方達の力も借りたいくらいなの」


「…そうか。行方が分からなくなったのは、雪の国か?それならば人手の心配はいらない。先日私の国から怪物といわれる物が、そちらの国へ逃げ込んだ。それの捜索に、私を含めた騎士も参加する。だから、涙を拭いて。そろそろ会場へ戻ろう」



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