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シアの問いに顔を背けるように黙り込む彼女達に、被害にあった家族の泣き咽ぶ声が響く中、彼は更に話を続けた。



「我はさらに問いたい。幾度もそなた等の様な者は集まり、我等の行動を変えさせようとする。何故、変えさせようとするのだ。何故、自ら変えようとしないのだ。我は法に則り自らが願い描くそれを、実現させる為に可能な方法として使っているだけだ。そなた等がそこに集まり何を叫ぼうとも、何も変わらない。何故、変えさせようとする。何故、変えようとしない。そなた等がどれだけそこで願い叫び反対しようとも、世は変えようとする者に変えられていく。何故、変えてもらおうとするのだ。新たな魔法への試みが、真に必要とされておらずに、または皆がそれを望んで居らぬというのであれば、法を変えれば良いだけの事。しかしそなた等は今日のように、そこへ集まり我等へ声をあげるだけ。そなた等が嫌とそこで泣き叫んで、我の気が変わるとの考えなのか。それならば言おう。そなた等がそこで泣き叫ぼうとも、気が変わることは無い。何故なら、我は変えたいからだ。変えるために日々虎視眈々と、夜々眠る間も費やしこの日や

これからの日に懸けて居るからだ。そなた等はどうだ。我に反対する為だけに、日々を捧げていたのか。それならば申し訳ない。その様な偽善に付き合っている時を、我は持ち得ていない。何故偽善かと……」



怒りの滲む表情に声が荒らぎ始めたシアの目の前に、人影が現れ彼の胸元へ手を添えた。「言葉が過ぎていますよ」と、顔を隠す様に被った布を下ろした。自分の目を疑うように、シアの目が見つめる目の前に現れたのは、ヒスイだった。彼は開いたままの口を閉じ、少し咳払いをした。そしてヒスイの方へ微笑み「謝謝」と呟くと、魔法陣へ向かいまた手を翳した。シアが囁き始めると、魔法陣が光を放ち始めた。その変化にこれまで受け入れるように俯き、表情を変えなかった男の顔にも恐怖が見てとれた。そうした次の時、鈍く何かが軋むような音と男の声の様な音がひととき重なり響いたと思えば、瞬く間に男の姿は消えてしまった。



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