表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/77

5



その日から、シアは夜になると森林へ趣き気まぐれに獣を狩るようになった。ただ材料としてなのか、快を得ているのかは本人にしか分からないが、研究は捗り始めた。そしてヒスイは彼から距離を取るように、顔を合わせる機会が減っていった。彼女は日が落ちる頃には自室へ帰り、血についての詳細を整理することや、偶に顔を合わせるシアの様子など、それ等を踏まえて『夜』を綴っていった。そしてしばらく、そのような時が経つと、夜な夜な人目に触れるようになったシアの噂が立ち始めた。



「夜な夜な彼は何処へ行くのだろう」


「朝靄の立ち込める頃に戻って来るらしい。すれ違った者に聞いた話では、黒い霧を纏うような姿で薄らと血の匂いがするらしい」


「まるで化け物だ。いくら法院の頂だとしても、王は何故あの異様な者へ不信を抱かない」


「逆らえないのさ。王族は魔力も弱いと聞く。そしてあの王女と結ばせ、

関係を良好に保ちたいのだろう」


「ああ、あの王女か。どちらもど……」



巡回しながら話す魔法使いの側を、白王が横切って行った。彼等の会話を聞かれた事は、明らかだった。いつもならばすれ違い時は、彼等へ労いの言葉を白王は必ず掛けるからだ。それが今は怒りを抑えきれない様子で、足早にその場を後にしていった。そして噂通りに夜な夜な何処かへ姿を消すシアを想いながら、その夜もセイレンは自室で一人窓の外を眺めていた。



「あの人は、今宵も何処へ。その場には、彼女も居るのでしょうか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ