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星に願いを。



シアが目を覚ますと、蝋燭の灯りがあちらやこちらに灯って見えた。酷く重たい身体を起こすと、側にはセイレンが椅子に座ったまま眠っていた。痛む頭へ手を当てながら、記憶を辿り自らの状態に現状とを合わせ暫く眠っていた事を察した。眠っている彼女へ毛布を被せて、ふらつきながら部屋を出た。


そうすると扉の外にはヒスイが座っていた。シアは彼女に動じる事なく、ヒスイも淡々と彼が眠っている間に自らが動いた事柄を話した。シアはそれに頷き、何も言わずに上着を受け取り外へ向かった。ヒスイはまだ弱っている彼の後ろ姿を見ながら、ゆっくり離れていくシアをそのまま行かせた。以前であれば安静にと、シアが外へ出るのを止めさせていただろうなどと考えながらも、ヒスイはただただ彼の後ろ姿を見つめていた。


靴も履き替える事なく外へ出たシアは、空を見上げて月を探した。見つけたそれはとても小さく、そして遠くに見えた。彼は陽のもとへ出ていた事を思い出しながら、彷徨うように人里を離れて雪原も越えて森へ行った。直ぐに履き物は雪に浸され足は凍てついた。しかしシアには丁度良く、凍える寒さに震える身体も、凍てつき悴む痛みすらも心地良さを感じていた。


何を考えるでも無く、何かを考えないでも無く、歩いた足跡は疎らに残り、それを見れば彼の心情は見て取れた。どれほどか歩き続けた時、彼の周りをいつの間にか獣達が取り囲んでいた。それは真夜中の人里を離れた場所ならば、自然な当然の事柄だった。彼等は息を潜めながら茂みからシアを覗き、爪を立て始めた。



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