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「良かった。これで触れることが出来ますよ」


「…凍てつき、ですか」


「その通りです!流石ですね。しかし、私が与えた凍てつきは…」


「その凍てつきは時が経てばこの子を、ただの氷にしてしまう」


「よくご存知ですね。そう、ただの氷にしてしまうでしょう。でも…」


「でもその時が来るまで、何にも触れられないのは哀れ、ですか」



セイレンと話が通じた様に感じ微笑むヒスイが彼女を見ると、セイレンの表情は冷ややかに静まり、作ることが出来る表情が怒りしか無いことを覆うように、無表情にヒスイを見つめていた。



「あの人と。シアイ様と、同じことを仰るのですね」


「同じこと?セイレン様どうなされ…」


「ごめんなさい。申し訳ありません。やはり私は、ヒスイ様とは楽しげに談笑など、友人やその類いの関係には、なれません。いえ、シア様を知ってしまったからでしょう。あの人が居なければ、私はヒスイ様ともっと、もっと知り合えたと感じます。しかし、もうこれ以上は堪えられない。彼に付随するように居る貴女は、私にはとても邪魔な存在です。

無礼を、お許し下さい。失礼致します」



セイレンはとても遠くに距離を取るように立ち上がると、見下しながら声を震わせ荒げてヒスイにそう言い放つと、静かに扉の側まで歩き少し振り返ると、伏せ眼がちに頭を下げて部屋から出て行った。扉が閉まりその方を見つめたままのヒスイは、少し微笑み腰を掛け直した。冷え切った葉湯を一口含み、部屋の静けさに落雪の音を微かと、暖炉で燃える薪の音を聞きながら。





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