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Volumus stella



「…。我が申すことは何も無い」



妃の言葉に怒りを表し、白王の言葉にそれを剥き出しにしようとしたヒスイを止めるように、彼は自らに身を寄せるセイレンへ触れることなくそう言った。



「はあ。そのような構えで、娘と居られたのですわね。その程度の想いで、過ごされていたのですね」



それに対して伏せ目な彼の目は、リアリを睨むように捉えた。そして彼が口を開こうとした時、顔を埋めていたセイレンが顔を上げた。



「シア様、私はあなたへ縛られるなら、願おうとも叶わないほどに、

幸せなことです。許されるならば、私はそれをあなたに願います。どうか…」



彼を見上げる彼女の目は涙の流れで赤くなり、何度も涙を拭ったであろう目元や頬は赤らんでいた。そこへ染み込むように流れる様な涙を、彼は手で救うように彼女の頬を撫でた。



「何とも言い難い、不思議な心地だ。数多の選択肢が有りながら、我の選ぶ答は自らも理解の外だ」



セイレンの表情を見て、彼は微笑みながら深く呼吸をして話した。そして上着をヒスイへ預けると、白王を見た。



「先程伝えた事柄が落ち着き次第、セイレン様と婚姻の結びを申し込みたい。そして今ここで、誓いを結ばせてもらおう。彼女の願いと我の想いを示したい。妃の期待にも応えさせてもらう」



そう言いながらシアは、着衣している胸元と袖口の留め具を外し緩めた。そしてセイレンの前へ立つと、彼女を見つめた。



「セイ、そなたと結ぶ初めの誓いが、このような物になるのは少々心許無い。これから行うものは、誓いと言うより、呪いと言う方が近い。それでも良いか?」




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