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それよりまた数時間後に、シアは目を覚ました。瞼は重く、開くも閉じるも何も見えない真っ暗な部屋の中で、肘を付きそして手を付き身体を起こした。暗闇に慣れた目は扉を見つけ、その方へ向かおうと脚を立てた。ふらつきながらも辿り着き扉を開けると、ヒスイが魔法使い達と話していた。
「シア様!大人しくして下さい!」
「構わない、もう体調は優れている。身体が、ふわりと重いだけだ。我はどれほど眠った」
「三日程です。あの、シア様。お伝えしなければならない事柄が…」
ヒスイは彼が眠っている間に起きた出来事や、医師の言った事を話した。それを聞いた彼は、両手で顔を拭うようにした後に、立ち上がり上着を求めた。
「何処へ行かれるのですか!?まだ身体を安らげる場所へ置いてください!」
「いいや、直ぐに白王へ会いに行く。あの魔法により、彼等は亡くなったのだ。これは我に責がある。さらに彼等は、その辺りにいる魔法使いではない。それぞれの町で、名を知らぬ者が居ない程の使い手であろう。それが、一夜に亡くなったのだ。城へ行った後、町へ赴く。ヒスイ、お前にも同行を頼みたい」
そして夜も深まる頃、城へ着いた二人が白王に事を伝えていると、そこへセイレンも姿を見せた。そしてそのまま歩みを止めることなく、シアへ顔を埋めるように身体を寄せた。彼等が戸惑う様にしていると、直ぐに後からリアリも姿を見せた。
「シア様、どうにかもう少し娘を惹きつけては頂けませんか?貴方様と恋仲なのは周知の中、寂びしさ等に苛まれ、どこぞの男へ会いに抜け出す始末。惹きつけるのが容易に無いならば、貴方へ縛り付けて頂けませんこと?」
定期的な面会ではなく、急遽訪れたシア達に城内が騒然とし従者や魔法士団も見られる中、彼女の言葉に白王は声を荒げた。
「場を弁えろリアリ!この様な多勢に見える中で、何故この娘を辱める様なことを。シア殿には申し訳ないが、まだ何の誓いも契約も交わしてはおらぬ。この度は娘にどうか、許しを貰えぬか」