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「今宵は静まり安らごうと、それに心を掛けて下さいね」



シアを暖炉の前に座らせたあと、植物や布を片しに行くヒスイを見たセイレンは、彼女を追って後に続いた。



「私も、お手伝いさせて下さい」


「セイレン様、先程はありがとうございました。片付けは、私一人で大丈夫。それよりも、今はシア様の側に居てあげて下さい」



それにセイレンは頷き、シアのもとへ行った。彼女の背中を眺めた後、ヒスイはそれに背を向けて歩いて行った。セイレンが戻ると暖炉を囲み暖を取るように、シアの周りは魔法使いで溢れていた。彼女はひたりと彼の横に座り、彼等が話す魔法についての様々な意見を、ただただ聞いていた。



「今宵は謝を感じたい。身を軽んじた。セイ、そなたにもだ。申し訳も無い」



城へセイレンを送り届けた後、数日シアは身を休めようと安静に過ごした。そして腕の状態が回復すると、彼はまた陽に向かう日々を始めた。しかし、持ち得る知り得るあらゆる魔法や薬剤を試すも、望む結果は訪れなかった。



「何故、何故にだ!我は、何故陽と相容れぬ。何故交われぬのだ」



積み重ね上げられた書物を叩き倒し、机や椅子は投げとばされた。その物音に、ヒスイが駆け付けそっと部屋の扉を開けると、棚を抜け柄に床に飛び立ったような散らばる書物に、眠り方を知らない様に机は寝転がり、椅子は脚を上げて寛ぐその奥で、一筋の陽の光が窓から突き刺さっていた。そして部屋の片隅で、散乱している中の書物と見紛うように、棚へ項垂れてシアが眠っていた。



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