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そんな時間と、降り積もる雪のように書き列ねた書物が積もりに積もる頃、それを纏めた物へ目を通すために、普段よりも早く彼は姿を見せた。



「おお、シア様!お久しい。お身体は変わりありませんか?」



「ああ、問題ない。お前も元気そうだな。心配り、感謝する。ヒスイは何処だ?」



いつもは一人で居るそこには、書物を片手に瓶を揺らす者や眺める者、机に向かい物書きをする者や、それを見ながら言葉を唱える者で賑わいを見せていた。そしてシアに気付いた彼等は、歓声を上げるように彼へ挨拶をして、それに彼も応えていた。そこへ奥の部屋から、ヒスイ等が戻って来た。



「あら、シア様。珍しい事もあるものですね」



「お前が皆に姿を見せないと、纏めた物を見せないと言うたからだ」



「またそんなことを。いつもこんな風に、皆に姿をお見せください。今ここに居るだけでも、数十の人間が気に掛けているのですよ?若くしてそれだけの力に、その立場。それだけでも化け物染みているのですから、姿を見せないと、本当に化け物だと言われますよ」



「お前も我と歳は変わらんはずなのに、口だけは我より歳を重ねているようだな」



そう言われたヒスイは、纏めた書物を彼の顔面に投げ付けて、そのまま何も言わずに彼等を置いて帰っていった。



「シア様、もう少し彼女へも心配りを願いますよ」



顔を抑えながら踞るシアを囲みながら、その場は笑いで包まれていた。そしてまた、彼を残し他の者が帰った後に、ヒスイに投げ付けられた書物を片手に、夜を見つめる場所へ向かった。




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