6
シアの魔法に、口を閉ざされているかのように静まりながら、彼等は城へ戻った。広間に入る頃、ようやく魔法が解けたようにそれぞれに声の灯りが見え始めると、団欒に談笑と温もりひとときの緩みを見せた。
「法院の頂にある方のお力、私も圧倒されてしまいました。娘をよろしくお願いしますね、シア様」
リアリは丁寧にお辞儀をして、シアに背を向けた。彼女の後ろ姿に、彼は少し頭を下げた。そして皆それぞれに挨拶をして、帰路についた。そしてこの日から、晩餐での噂を耳にした魔法使い達が法院へ訪れるようになった。何故かそれぞれに身を潜めるようにひっそりと現れ、互いに顔を見合わせ賑わい、以前以上に法院は活気付いた。もう彼が、夜に一人で居ることは少なくなった。これまでは誰もが邪魔をしないようにと、夜には法院へ近付かなかったからだ。それは先代の頂が、夜に訪れるものを拒んだからだった。しかし今は良くも悪くも、シアと共に魔法に仕えようと訪れる者が現れる。そんな日々が続く中、見送ると口実にセイレンと法院を抜け出した。城へ向かいそして通り過ぎ、シアは彼女の手を引き晩餐の時に雪を降らせた雪原へ出た。
「シア様と二人になるのは、お久しぶりになりますね」
「あの晩餐以来、法院へ訪れる者が増えたからな。好ましい事だ」
「ああ、晩餐の夜。母がとても失礼な振る舞いをして、ごめんなさい」
「いいや、構わん。謝ることなど、何も無い。我はそなたの母と会えて嬉しい。それよりも、ここへ」
夜空を見上げながら不意に彼はしゃがみ込み、話しながら雪を掻き分け始めた。そして出来上がった雪穴に寝転がると、隣へ彼女を呼んだ。誘われるがままにセイレンが隣へ寝転がり夜空を見上げると、それは夜空を覗き込む窓のようなものだった。彼の衣に共に包まれ手を握り、雪の窓から光る星や不意に流れる星たちを追い、追った先にある彼の横顔に、彼女はシアイの頬に口付けた。




